第7話 テトさん
「おはようございます!イフリスさん!」
「あ、ああ。おはよう」
俺の部屋の扉を開けると、そう大声で挨拶をするリリ。
先日ミルルがあんな事を言ったり部屋に戻ってからもなんか色々と・・・・・・恥ずかしい・・・・・・。
『なんで~?私はイフくんの心を代弁して上げたんだよ?なんならあの部屋であんなことやこんなこと・・・・・』
やらないよ!1回黙っとけ!
そう心の中で叫んでから、少しため息をつく。
もう『魂沌』は封印しようと心に決めた瞬間だった。
「まだ少し疲れが残ってるんですか?」
どうやらため息を聞かれたようである。
「いや、大丈夫だ」
「そうですか。あ!ほら!食堂がしまっちゃいますから早く行きましょう!」
そう言って俺の手を取ったリリと俺は食堂へと向かった。
何でこんなことになってるんだろうな・・・・・・。
『私のおかげだよ!感謝しなさ~い』
全て元凶がいうんじゃねえ。
そんなことを思いながらも、女の子と話せるのは少し楽しかったりする。少しだけミルルに感謝しておこう。
♢
「イフリスさんはどれがいいですか?」
「う~ん。サンドイッチでいいかな」
「それじゃあ私も。女将さーん。サンドイッチ2つー!」
リリが店の奥に向かって言うとひょっこりとおばさんが顔を出す。
「はいよー!あらリリちゃん。イフリスくんと手を繋いでどうしたの?早速彼氏?」
「あ!違います!ってすいません!イフリスさん!」
やっと俺の手を話してくれるリリ。いつ言い出そうか迷っていたが、おばさん。ナイス!
「ああ。いいよ。それと、サンドイッチいくら?」
「一つ50ペルだよー」
そう言われて、俺は袋から鉄貨5枚をだそうとすると、リリに止められる。
「昨日助けてくれたお礼なんで私が出します!」
そして、リリにサンドイッチのお金を出してもらい、おばさんからサンドイッチを受けとって席につく。
俺たちはサンドイッチをほうばり、一息ついてから、話しだす。
「イフリスさん。本当に昨日はありがとうございました」
「いや、いいんだよ。報酬ももらえたしな」
そう。実はあいつはギルドで注意司令が出ていたみたいで、人を殺していたことを伝えると、指名手配犯逮捕ということで、報酬をもらった。消し炭にしてしまった事は言ってないけど。
「そうですか・・・。肩の怪我は大丈夫ですか?」
「ああ。まあ少し痛かったけどほっとけば治るさ」
「・・・・そうだ!私の師匠のところに来ませんか?回復魔法のプロなんですよ」
「いいのか?」
「もちろんですよ!怪我も私のせいですし・・。イフリスさんは今日用事とかありませんか?」
「用事か。一応夕方に飛び級試験があるけどそれまでに帰ってこれるか?」
「ええ?!イフリスさんそんなに強くて冒険者登録最近なんですか?!」
「昨日この街について、その日に冒険者登録したんだよ」
「そうでしたか・・・・。たしか飛び級試験は4時でしたよね。それなら大丈夫です。あと、一つだけ聞きたいんですが・・・・・・」
「ん?なんだ?」
「・・・・・・本当に男なんですか?」
「・・・・・・疑う気持ちはわかるが俺は男だ」
「そんな可愛い顔して男なんですね・・・・・。あ!そうだ。これが私のギルドカードです」
そう言って4級と書いてあるギルドカードを出す。
「冒険者同士の自己紹介はギルドカードを見せ合うんです」
「そうなのか。ちょっと待ってくれ。・・・・・ほらこれが俺のだ」
「それどこから出したんですか?今いきなり手に出たような気が・・・・・」
「そこはあんまり気にしないでくれ」
そう言って俺のギルドカードをだす。リリはじっと見ていきなり驚いた顔をする。
「え?!イフリスさん16歳なんですか?!」
「え?リリもそのくらいじゃないのか?」
「私は17歳ですよ。・・・・なんかイフリスさんが年下であんなに強いと私の今までの努力が・・・」
「そんなに自身無くさないで!リリの回復魔法もすごく良かったから」
「本当ですか?!」
ダンッと机を叩いて見を乗り出すリリ。ちょっと顔が近いし、周りの人が見てるんだが・・・・・・。
それに気づいたのか手で顔を押さえてもじもじし出すリリ。何なんだ・・・・・・。
『 リリはかわいいな。俺に見合う彼女になりそうだ 』
おい。俺の思想を捏造するな。
さて、師匠とやらに会いに行きましょうかね。
♢
『あ!ここ!』
そう言って声を上げるミルル。
リリに師匠がいる、という場所に連れられると言われてきたのだが、この建物には俺にも心当たりがある。
コンクリートで窓がなく、魔力の高い人たちが集まる場所。
そして、その建物の扉の前には見覚えのある紫色のスープの絵が書いてあり、
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少し見た目は悪いけど、一度飲めば癖になる美味しさ!!
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と書いてある。
・・・・・・こんな物を作る人に怪我の治療を頼んでいいのか心配だが、ウケはなかなか良さそうだったので大丈夫だろう。
「さっ!早く来てください!」
「おう」
りりに言われるまま怪しい建物に入る。
中は意外にも清楚な感じで、真っ白な壁にオシャレな点灯など、外装からは考えられない内装。
そして、リリは入り口の受け付けに少し挨拶をして中に入っていき、俺を呼ぶ。
色々な機会が置いてある中、地下への階段を降りてもう一つの部屋に入る。
「あら。リリちゃんがお友達なんて珍しいわね」
「まあね。それで、イフリスさん。こちらはこの研究所の最高責任者のテトさんです」
そこには、椅子に座って足を組んでいるお姉さんがいた。別になんという訳では無いが・・・・・・エロイ。
足を組んで太ももを見せている感じや、真っ白な服に胸元の空いた感じが大人のお姉さんだ。
「あ、あの!イフリスといいます!こんな見た目ですが男です。よろしくお願いします」
「そんなに堅苦しくなくてもいいわよ。それより、男の子?・・・・・・まさかリリちゃん・・・」
「違います!!そんなワケありません!テトさんは黙っててください!」
リリは慌てて全否定する。なんか少し悲しい気もするがそれは置いておいて
「回復魔法のプロって本当なんですか?」
「まあそんな所ね。それで?どんなようなの?」
そう聞かれて、俺とリリは今まであった事を説明し、怪我のことを話した。
「なるほどね~。またリリちゃん絡まれてたの?」
「またってどういう事ですか?」
「えっとね、リリちゃんは回復魔法と火魔法の適性があるのよ。あ、魔法の適性って知ってる?」
「いや、あんまり・・・・」
「適正って言うのは自分が扱える魔法の属性のことなのよ。魔素は体の中に入ると魔力へと変換されて、魔力は火でも水でも体を治すことも出来る。だけど、そんな万能物質が誰でも扱えわけがないのよ。そして、属性の種類は 火 水 土 風 光 闇 回復 聖 があるの。その中でも回復の魔法は特別で、ほかの属性の適性があることなんてあんまり無いんだけどリリちゃんにはあるのよ。それと、こんなに可愛くて性格もいいならそれは男どもに狙われるわけよね」
「そんな事でイフリスさんを巻きこんでしまってすいません!」
「いや、だからもういいって。俺は別に怒ってもいないよ」
そう優しく声をかける。まだリリは少し俯いていたけど、多分大丈夫だろう。
何故か横で
「こんなに可愛い顔して男気がある・・・・・・良い」
とか言っているはかせがいるが、これは無視していいだろう。
それよりも回復の事だ。
俺的には回復魔法は一度見ておきたかったしな。
「それよりも治療の方を・・・・・・」
「・・・そうだったね。それじゃあ怪我の場所見せてねーっと・・・・・・あらあら。かなりえぐれてるじゃない。痛かったでしょうに。それじゃあ行くわよ。少しだけ魔力を高めるのに時間がかかるから、待っててね」
そう言って目をつぶるテトさん。さっきのふざけている顔を真面目な顔にして魔力を高めている。
『このテトって人かなり魔力高いね~』
『やっと喋ったか』
俺も目をつぶって話しかける。
『そっか。イフくん魔法苦手だから分からないんだったね。ある程度魔法を使えるようになると、人の魔力を感じれるんだけどこの人はかなりのものだよ。少なくともイフくんの魔力量の半分は超えてるね』
『お、俺ってそんなに魔力高いのか・・・?』
『そうだよ~!何でこんなに魔力量多いのに魔法使えないんだろう。やっぱりお母さんとお父さんに何かあるのかな?』
『なにって?』
『いや~イフくんの記憶を色々漁ってたんだけど、不自然なところが色々あるんだよね~。なんで森の中を走っていたのか、とかね』
『う~ん。だれか知ってる人はいないのかな・・・・・』
『それはこれから旅をしていったら出会うかもしれないしね』
そこまで話していると、今までズキズキとしていた肩の怪我が無くなっていく。
「よし!完~了っと」
「ありがとうございました。それにしても凄いですね。こんなにも綺麗に無くなるなんて・・・・・・」
「でしょ!それより、イフリス君だっけ?」
「? はい」
「どこかで聞いたことがあるんだよね~ぇ。どこだっけな」




