電車の中でも全力です
長い文章が書けない……
ガタゴトと揺れる電車の中で、頭を抱える。
やってしまった。
噛んだのは、まあ私の他にも噛んだ子がいたので特に問題ない。だが、机に思いっきり頭突きを決めたのは私だけだ。
先生まで固まってたなぁ。これは要注意人物表みたいなのに入れられたかもしれない。
あの後、一番最初に復帰した先生が、震えた声で次の人に自己紹介を促すことでうやむやになった。私の後の自己紹介は、机に突っ伏して羞恥と戦っていたためまともに聞いていない。
ああ、どうしよう。あの後は恥ずかしくて、クラスメイトと話していない。誰かが私を見てヒソヒソ話していたし、きっと明日もそうなる。
「うぅ〜……」
明日のことを考えていると、変な呻き声を出してしまった。はっとして周りを見回す。近くの公立高校の制服を来た男の人と目が合った。
聞かれてた!恥ずかしい!
「あの、これは、そ、その!」
手をわたわたと動かして男の人に弁解しようとするも、羞恥心が凄すぎてまともに喋れない。
まずい、男の人の表情がどんどん困った顔になってる!な、なにか言わなくちゃ!
「これは、あれです、濡れ衣なんです!!」
「はあ」
男の人の私を見る目が、残念な子を見るような目になった?!
「とりあえず落ち着いてくれ」
いつの間にか近くに寄ってきていた男の人が、未だに手をわたわたと動かしている私に言った。
「え、でも」
「すごい目立ってるから」
え。そんなまさか、と思いながら車内の他の乗客さん達を見る。ばっちり目が合った。
またやってしまった!
顔に熱が集まってきた。ああ、これは顔が赤くなってる。
「腹減ってるのか?」
手で顔を覆っていた私に、隣に座った男の人が聞いてきた。
え、別に減ってないけど。
「さっきの、腹の音だろ?」
「うぇ!?」
どうしてそんな勘違いを!思わず変な声が出たよ!
「ち、違いますよ!」
「慌ててるってことは、図星ってことでいいよな?」
意地悪な笑みを浮かべる男の人。本当に違うんだよ!
「違いますってば!さっきのは、その、犬のモノマネです!」
咄嗟に思いついた言い訳だけど、結構いいんじゃないかな?
「……へぇー」
しかし、男の人は意地悪な笑顔で私を見下ろしている。なぜ、言い訳は完璧だったはずなのに!
またわたわたと手を動かして慌てていると、車内アナウンスで次の停車駅の名前が呼ばれた。
「じゃあ、俺は次の駅で降りるから」
それだけ言って、男の人は扉の近くに歩いていった。勝ち逃げとは卑怯な!




