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天然ドジっ娘の伝説はここから始まった
またやってしまった
「次、片岡さん」
先生の声を受け、私はゆっくりと立ち上がる。すぐに全方位からの視線を受けて、心臓の拍動が早くなる。
私は小さく深呼吸をして緊張を誤魔化すと、これからの三年間を決める勝負に出た。
「北中出身の片岡雪です。誕生日は5月24日で、えっと、おうし座です?」
ここまで言うと、どこかから小さな笑い声が聞こえてきた。今の自己紹介のどこがおもしろいのだろう。首を傾げる私に、先生から突っ込みが入った。
「片岡さん、5月24日はふたご座ですよ」
「え?」
先生がそう言った途端、教室中から笑いが起こる。向けられる視線が微笑ましいものを見るそれに変わり、羞恥心を大きくする。急速に顔に熱が上ってくるのがわかった。
やっちゃった。入学初日からやっちゃった。
立っているのが恥ずかしくなって、早口に自己紹介を続ける。
「え、えと、その、よろしくお願いしましゅっ!」
噛んでしまったが気にしない。私は最後に、腰を折り勢いよく頭を下げた。そして、
「ぃうっ!」
勢いのまま、額を木製の机に叩き付けた。