定時退社の大爆発(ビッグバン)。……あるいは、全人類一斉強制ログアウト
「…………ふにゃぁ。……ホッピーの『ナカ』が、……足りませんわ……」
帝国の空中要塞、ヨシヨシ・バトルロイヤルの中心地。
白目を剥いて倒れていた私の口から、魔導蒸気(加齢臭まじりのアルコール臭)が漏れ出た。
「リリアーナ様!? 意識が……いや、レジストリが書き換わっている!? この魔力波形、……まるで前世の『居酒屋の常連客』のような安定感だ!」
フェリクスが眼鏡をガタガタ震わせる。その横で、私の「保守権限」を奪い合っていた王子、兄、皇帝、そして元帥が動きを止めた。
「……ふにゃぁぁ……!! ……皆様、……聞こえますわね。……**定時**を過ぎたあとの、……『無駄なやり取り(ヨシヨシ)』は……、……すべて、……**スパム(ゴミ)**ですわぁぁ!!」
カッ、と目を見開いた私の瞳には、もはや「令嬢」の輝きはなく、締め切り直前の「修羅場エンジニア」の狂気が宿っていた。
「ひゃっはぁぁぁ!! ……全回路、……開放!! ……ターゲット、……この要塞の『全リソース』!! ……**定時退社**を、……物理的に実行しますわ!!」
【究極魔法:定時退社(強制終了)の反応式】
Work(全タスク) + Pressure + [ナカ(焼酎)] → 0 (完全消滅) + Energy(爆発)
Energy = Δm · c²
(Δm: 残業時間の質量、c: リリアーナのブチギレ速度。負のエネルギーが極大に達し、因果関係をデリートする)
「な、なんだこのエネルギーは……!? 筋肉が、……筋肉が『定時』という概念に吸い込まれていく……!(王子)」
「リリアーナ! その魔法は、……世界そのものを『再起動』してしまうぞ!(兄様)」
「……構いませんわ!! ……明日、……明日の私が、……なんとかしますわぁぁ!!」
私は、空中要塞のメインリアクターに、ホッピー(三冷)の黄金比を流し込んだ。
一瞬の静寂。そして。
ドォォォォォォォォォン!!!!!
空中要塞が、白ホッピーのような黄金の爆炎に包まれ、大気圏を揺るがす大爆発を起こした。
爆風は「定時退社音頭」のメロディを奏でながら世界中に広がり、過労死寸前の騎士も、ブラックなギルドの技師も、全員が強制的に「布団の中」へと転送された。
「……っ!! ……リ、リリアーナ様……! ……私は、……貴女というバグを、……一生追いかけ続けると、……今、……決意しました……!!」
フェリクスが爆風に飛ばされながら、鼻血を噴き出して愛の誓いを叫ぶ。
「あー……。……さっぱり、……しましたわ……」
爆発の中心地。
ボロボロになった要塞の瓦礫の上で、私は前世の「おっさん」のような座り方で、幻影の大将がくれた「つくね(タレ)」を齧りながら、沈みゆく夕陽(定時の合図)を眺めていた。
世界は救われた。……「筋肉」でも「愛」でもなく、「もう今日は帰る」という一人の職人の執念によって。




