女帝の採用面接。……あるいは、重合体(ダマ)から生まれる愛
「……ふにゃぁ。……なんだか、要塞のハッチから『蒸されたささみ』の良い香りがしますわ……」
私の放った高分子重合パッチ(ポリグリシン)によって、空飛ぶプロテイン工場は完全に機能を停止。温泉の源泉へと不時着した。
立ち込める白い湯気の中から、一人の女性が、自身の筋肉で弾け飛んだ軍服の破片を散らしながら姿を現した。
「……私の最高傑作を、……ただのアミノ酸の『ダマ』で黙らせたのは、……どこの不届き者(天才)かしら?」
現れたのは、帝国の皇帝バルバラ。
六十歳を超えているはずが、その肌はリリアーナの失敗作(美容液)を浴びたかのように瑞々しく、肩周りの三角筋はギリシャ彫刻のように鋭くカットされていた。
「(……ひ、ひゃぅぅぅっ!! な、何ですの、あの究極の『枯れないバルク』……! 血管の浮き出し方が、……芸術の域ですわ……っ!!)」
「リリアーナ様、気をつけて。彼女は帝国の理そのものだ。……貴女の化学を、力ずくで『ソースコード開示(略奪)』しようとしていますよ」
フェリクスが私の前に立ち塞がるが、バルバラ皇帝は彼を視線一つで(物理的に)吹き飛ばし、一直線に私のもとへ歩み寄った。
「貴女ね。……私のエンジンに『目詰まり』という名のデバッグを仕掛けた小娘は。……いいわ、気に入ったわ。貴女を今すぐ帝国の**CTO(最高技術責任者)**として、私の膝の上で永久採用(終身雇用)してあげる!」
「……っ!! ……し、終身……!? ……そ、それは……、……定時退社は……保証されますの……?」
私が震える声で(熟女のオーラに当てられて)問うと、皇帝はニヤリと笑い、私の細い腰を引き寄せ、その圧倒的な「広背筋の谷間」へと私を埋没させた。
「ふにゃにゃにゃにゃっ!? ……お、重圧が、……大気圧の十倍くらいありますわぁぁ……!!」
「うふふ、いい子ね。帝国のラボは二十四時間年中無休。でも大丈夫、疲れたら私がこうして『全自動・人間マッサージ機』になって、貴女をヨシヨシしてあげるわ。……さあ、二人で新しい『新元素・マッスルニウム』の合成を始めましょう?」
「……っ!! ……新元素……!! ……おっさん……いえ、職人の血が、……沸騰しますわぁぁ!!」
「リリアーナ様!? その内定を受けてはいけない! 帝国の労働基準法(仕様)は、我が国以上にバグだらけだ!!」
フェリクスが鼻血を噴き出しながら叫び、アレン王子とカシアン兄様も「僕たちのアイドルを、帝国の重役にするなんて許さないぞ!」と、要塞の残骸をバーベル代わりにして抗議のデモンストレーションを始めた。
こうして、リリアーナの「平穏な隠居生活」への道は、帝国の「最高技術職(という名のヨシヨシ地獄)」という新たな巨大プロジェクトによって、完全に上書き保存されるのであった。




