月夜の戦い 中編
6匹の子蜘蛛はエビィの足止めの為に糸を沢山出し、彼を拘束しようとした。
『コイツ、コウソク、デキレバ、ネルガル、モット、ラクニ、タタカエル!』
『ワタシ、カンバル!』
『ヤー!!!』
エビィは目の前に6匹の小さな蜘蛛の魔物が自分を囲っているのに気付いた。
「おや、魔物は2体だけじゃなかったのですね。にしても、小さい、ですが、僕を殺す気は……。なさそうですね」
エビィは1匹の蜘蛛にナイフを投げつけた。
メスの黄色の蜘蛛はナイフを避けた。
『ワタシ、イチバン、チイサイノニ、ミエタノ!?』
「僕は作品を作る時にしか眼を使わないんだけど、今回ばかりは使わざる得ないな。こんな魔物を石に変えても、僕の心には響かないんだけど、小さ過ぎて見ずらいし、仕方ないね」
エビィの瞳が赤黒く充血した。
「うん、よく見えるようになった。ここだね」
エビィは糸をナイフで切り裂きながら、常に『ヤー!!!』と思念を発している紫色の子蜘蛛にナイフを投げた。
紫の蜘蛛はナイフを避けた。
『ヤー、ヤー、ヤバイ』
飛んできたナイフは1本でなく4本であり、後の3本は石でできたナイフであった。
紫の蜘蛛はナイフを3本避けたが、最後の1本が、まるで、ここに避けると知っているかのように投げられていた。紫の蜘蛛は避けきれず、ナイフが刺さると感じた。
『アブナイ!!!』
青白い蜘蛛が自身を硬質化して紫の蜘蛛に当たりそうになるナイフに体当たりして、ナイフを弾いた。
『ヤー、アリガトウ、ヤー!!!』
『アイツ、オレタチ、ミエテル』
その間も、残りの蜘蛛はエビィに糸を吐いていたが、簡単に切られていた。
『ボクタチ、ノ、イトジャ、ヨワイ、ドウスル』
『ナイフ、ナゲルノウマイ、ヨケルノデ、セイイッパイ』
『ナラ、オレタチ、コウソク、ヤメテ、アシドメ、シヨウ』
『ヤー!!!』
紫の蜘蛛はエビィに向かって前足2本を前に出して、煽り始めた。
『ナイフ、アタッテナイゾ、ヤー!!!』
それを見ていた5匹はコイツの真似をしようとなり、エビィを煽ることに決めた。
6匹の魔物蜘蛛の相手をしていたエビィは蜘蛛の素早さと、連携力によって、魔物など、簡単に倒せると考えていたが、考えを改めた。
「まさか、ここまで知能が高いとは、何ですか、そのポーズ」
6匹の蜘蛛は前足2本を前に向けて
『ヤー!!!!』
と思念で叫んでいた。
「僕をおちょくっているのですかね。魔物が人を煽る。ましてや、知能の低い虫系統の魔物がです。魔法も使えるんでしょうか? 土造」
エビィが人差し指を上にクイっと上げると、蜘蛛達の地面が上がり、一瞬で下り、蜘蛛達は宙に浮かんだ。
エビィはその瞬間、眼に魔力を込め、蜘蛛達を見つめた。
『マニアエ!!!』
宙に浮いた瞬間、黄色の蜘蛛は自身の魔力を全て使い、仲間を糸の壁を作り、糸の壁は石となり、地面にドシンと落ちた。そして、小さく、コツンと石が当たる音もした。
『スコシ、オソカッタラ、イシニ、ナッテタ、アリガトウ』
『アァア!!!! ドウシテ!!! ドウシテ!!!』
緑の蜘蛛が小石のそばで叫んでいた。
『ドウシタ』
『ナカマガ、イシニ』
そこには、仲間を助けた黄色の蜘蛛が石に変わっていた。
『ヤ、イヤァァア!!!!』
『ウロタエルナ、マダ、セントウチュウダ!!!』
「1匹だけでしたか、まさか、仲間を守る為に自身を犠牲にするとは、ここまでとは、貴方の勇姿は素晴らしい! そう! 貴方は僕の作品にしてあげましょう! そう、タイトルは仲間思いの蜘蛛、でいいでしょうか、寂しくないように仲間を全て石に変えてあげます」
蜘蛛達は仲間が石化したことで、怒りを露わにし、足止めでなく、仲間の仇をとると心に決め、今まで使わなかった、自身のスキルを使い始めた。
ある蜘蛛は自身を硬質化させ、投げられたナイフに自身を弾丸のように飛ばし男の心臓目掛けて、ナイフを弾き飛ばしながら、突進した。
エビィは殺気を察知して、体を少しだけ傾けて蜘蛛の攻撃を避けた。
避けられた蜘蛛は男の肩に糸を付け、ゴムのように伸びる糸の弾性を利用して、また、男めがけて突進した。
「ほう、なかなかやりますね」
エビィは肩についた糸を切り、蜘蛛を避けた。蜘蛛も負けじと新たな糸を付け、何度も、何度も、男に突進した。
エビィは繰り返すうちにその蜘蛛の突進する軌道を読み、そして、青い蜘蛛が自身の顔の前を通った瞬間、その蜘蛛を石へと変えた。
その攻防はたった2分であった。その間にも、他の蜘蛛達は糸を飛ばしたり、石となった仲間を非難させていた。
「ふぅ、次は誰ですか?さぁ、仲間と一緒に石となりましょう」
『クソォ、アオマデ』
4匹となった子蜘蛛となった時、ネルガルとリーダーの子蜘蛛はと言うと、相手の女の怪力に驚いていた。
「魚人って青い血なの? それとも、綺麗な赤!!! ねぇ!!! どっちか、みせて!!!」
斧を振り下げ、地面に当たると、ドシンと音と共に石畳の地面が割れ、破片があたりに飛び散った。
「なんだよ、あの怪力!!!」
『ネルガル、シスイサマ、ト、オナジ、デ、ミズ、アヤツレルカ?』
「俺は紫水みたいには出来ないぞ」
『ソレデモ、アノ、オンナノ、カオ、二、ミズヲアテテ、クレ』
「水球!!!」
ネルガルは水の球をラスの顔面目掛けて飛ばした。
「何よそれ」
斧を振り上げ、水球を切り裂いた。
「それで、終わるかよ!!!」
切られた水を操り、ラスの顔に水を当てた。
『ヨシ! ライシ!!!』
リーダーの子蜘蛛は電気を纏った糸を水に当てた。
水に電気が走り、ラスは水の中で声が出ず、感電したが、ラスはそのままの状態で、ネルガルに接近して斧を振り下げ、攻撃をやめなかった。
『ドウイウ、コトダ、レンケイ、カンペキ、ダメージ、ウケテイル、フツウナラ、ウゴケナイ、ドウシテ、ウゴケル!?』
「攻撃の手を緩めるな!!!」
ネルガルは水槍で攻撃を返し、攻めに転じたのでした。
一方、ネボスケは偽シルビーに会いに向かい、無事に偽シルビーに会ったのだが、どうやって、助けて欲しいと伝えようか悩んでいた。
「蜘蛛ちゃーん! 空間を移動できるなんて、ちょーちょぉー!!!!!特殊個体じゃないか!!!!」
偽シルビーは元の姿に戻っており、無精髭を生やした顔立ちは端正なおじさんが目の前にいた。
『助けてほしいんだ!』
「どうしたのでちゅか、もしかして、俺と契約したいのでちゅか、そうでちゅか、そうでちゅか、お兄さんにまかせてくだちゃいね。蜘蛛ちゃーん」
ハイドは勝手に使い魔契約の陣を紙に書き始めた。
『どうしよう、無性にこいつぶん殴りたくなってきた。けど、助けてもらわないといけないし、どうやって、僕の言葉を伝えれば…………。紙、よし!そうだ!』
ネボスケは紙の上に登り、紙に自分の糸で助けてと書いた。
「凄い、でちゅうね……。助けて、何かあったんだ!!!」
『よし! うまく行った!!! この人ぐらいなら、まだ、僕の魔力足りるな』
ネボスケは人が通れる空間を作り出し、この空間に入れとポーズした。
「もしかして、あっちで何か起こったんだな! 分かった、俺が助けてやる!!! だから、蜘蛛ちゃん、後で俺と契約してくれないか?」
『このおじさんを主人にするのは嫌だなぁ。まぁ、助けてもらわなきゃ意味ないし、適当に、流しておこう!』
こうして、ネボスケは強力な助っ人である。ハイドを引き連れて、ネルガルと仲間達を助けに向かったのでした。
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