月夜の戦い 前編
木に登り、エビィとアニエスの様子を観察していたネルガルと子蜘蛛達は2人のイチャイチャ姿を見ているだけで、暇そうにしていた。
『イツマデ、ミナキャイケナインダ』
『僕、眠くなってきちゃったなぁ。あっ、ネルガル、手鏡盗んだいたから、何かあったら、これ使ってみて』
ネボスケは黒い円のなかから手鏡を取り出すと、ネルガルに渡した。
『何かあったら、起こしてね、すぴー』
『俺が心配し過ぎだったか?』
そして、時間が流れ、アニエスが40回目のポーズをとっている時、暇すぎた子蜘蛛達はしりとりをして遊んでいた。
『ウ○コ』
『オイ、キタナイ、モノハ、ナシダ!』
『ウ○コハ、セイメイ、カツドウヲ、スルウエデ、カナラズ、シナイトイケナイコト、キタナクナイ』
『コーヒー!!!』
『コーヒー、そうなると、ヒからでいいか?』
『イイヨ』
『日の出!』
『デ、デ、デンゴン』
『ン、ガ、サイゴ、オマエノマケダ』
『アッ!ヤッチャッタ! ワタシノマケダァ』
こうして、時間を潰していると、エビィとアニエスに動きがあった。
『やっと、ポーズが決まったんだな。ネボスケ、起きろ』
『すー、ん?んんん?終わった?』
『多分な』
『ヤット、カイホウ、サレル』
『チョウド、シリトリオワッテ、ヨカッタネ』
ポーズをとっていたアニエスにエビィが口付けをした。
『ねぇ、カップルのイチャイチャ見続けるだけだったね』
『そうだな、おい、なんか、アニエスの様子がおかしくないか』
アニエスの体が石に変化し始めたいた。
『やっぱり! ネルガル! 手鏡準備! あいつをやっつけよう!!!』
『くそぉ、でも、どうやって、石に、やっぱり、眼をみたら、なのか』
『ほら、チンタラしてないで、助けに行くよ!』
ネルガルは木から降り、水槍を作り出し、石化したアニエスの元へ向かった。
その頃、アニエスを石化させたエビィは、美しい石像となった彼女を見て、涙を流しながら、喜んでいた。
「美しい! 天塩に育てた甲斐がありました! 僕の作品でアニエス、君が1番美しい! だが、一ついらないものがある。ラス、いるんだろ?」
「はーい、エビィ、とっても美しい作品つくれて、おめでとう。私の天国と一緒に飾りましょう」
「ラス! そうしよう! 君の描いた天国もまた美しいからね、だけど、ヤイトニーロに本を贈ると約束をしてしまっていてね。ラス、この首を切ってくれないか?」
「えぇ! 彼女なら、ヤイトニーロちゃんが喜ぶ本になれるわね! あの子、悲劇のヒロインが大好きじゃない! いいわ!いいわ!私が綺麗に截斷してあげる! エビィの力じゃ、顔を削ることしか出来ないしね」
「君が異常な怪力ってだけで、僕は成人男性としては、なかなか、強いと思うんだけどな」
ラスが斧を取り出し、アニエスの首を切断しようとした時、魚人が槍を構えて走ってくるのを見たラスは、斧を魚人に投げつけた。
「あら! あらあらあらあらあら!!!! エビィの次の作品が走ってきてるわよ!しかも!武器を持って!!!」
「うわっ!」
ネルガルは飛んできた斧を槍で弾き飛ばした。
『あの飛ばしてくるなんて、暴力女だ!』
『ネルガル、オレタチ、モ、テツダウ』
ネルガルは槍を構え、力強く地面を蹴り、技を放った。
「槍魚壱の型 、魚群突!」
カッキーンと鉄と鉄が当たる音が辺りに響き渡った。
「あらあら、まさか、一瞬で距離を詰められちゃうなんて驚いたわ。エビィは何もしないし、もう、私の絵の具にするしか、ないわね」
ネルガルの一撃を斧で受け止めたラスは斧から片手を離し、ブローチから新たな斧をとりだして、ネルガルに切りかかろうとした。ネルガルは反応できたが、子蜘蛛達が、糸を使いラスの攻撃を防いだ。
「きゃっ!? 糸!? 」
「おや、まさか、魔物を使役していたのか」
ネルガルは一旦距離を取り、エビィに話しかけた。
「アニエスに何をしたんだ!!!」
「何をした? 僕は彼女を美しい作品に作り上げたんだ! この美しい翼をみてくれ! これほど、翼見たことがない! はぁ、次の作品も時間をかけてゆっくり、仕上げたかったんだが、仕方ない。今すぐに!僕の作品てあげよう!」
エビィの目が赤黒く光った時、ネルガルは、手鏡をエビィの顔に向けて翳した。
そして、石となったのは、手鏡であった。
「おい、ネボスケ、これは、聞いてないぞ!」
『嘘だぁ!? どうして、手鏡が石になってるの!?』
「僕の眼を知っていましたか、でも、お伽話は全て真実だとは、限らないのですよ。そして、僕は悲しい、僕の眼を封じたら僕に勝てると思われていることを」
エビィは服の袖からナイフを取り出し、ネルガルが持つ石となった手鏡に向けてナイフを投げた。
ネルガルは手鏡が割れた瞬間、頭を右に傾けて、ナイフを避けた。
「魔眼さえ、どうにか出来れば余裕かと思ったけど、違いそうだな」
『2対1は分が悪いよ! ネルガル逃げよう!』
『でもよ、あの部屋見ただろ、あいつら、絶対にアニエスの首を切る気だぞ、流石に、頭がなくなったら、治すことが出来ないじゃないか』
『もう、わかった! 偽シルビー強そうだったから、僕が連れてくる! みんな! ネルガルを守ってね!僕、行ってくる!!!』
『あっ、おい!』
ネボスケは小さな空間を作り出し、そこへ飛び込んだ。
ネルガルは槍を構えて相手の動きを観察し、隙を見計らっていた。
「おや、1匹飛びましたね。でも、いなくなっている。特殊個体の魔物というわけですか、まさか、ここまで、準備を整えているということは、屋敷の情報が漏れていたと言う事。ラス、ネルガルを僕の作品にした後、屋敷にいる全ての生き物を君の絵の具にしていいですよ」
「いいの! いいの!!! 全て絵の具に変えていいの!!! やったー!!! 私、頑張る!!! ん? ねぇ、それって、エビィも入ってる?」
ラスは光悦した笑みを浮かべてエビィを見つめた。
「屋敷にいる僕以外の生き物が対象だよ」
「なんだぁ、エビィの絵の具見てみたかった。でも、エビィが居なくなるのは寂しくなっちゃうし……。そうだ!エビィがヨボヨボのおじいちゃんになったら、私が絵の具にしてあげる! そういえば、老人の絵の具作った事がないわね。どんな色になるのかしら!!! エビィ、早く、おじいちゃんになって、私の絵の具になってね!」
「僕までも、絵の具にしようとするなんて、僕にとっての家族はラスだけなのに、悲しい事を言わないでくれ、あと、僕は普通に年齢を重ねるつもりだから、おじいちゃんになるのは、そうだな、後、80年後かな!」
「それって、エビィ、100歳越えるわね!!! うん!うん!おじいちゃんの絵の具楽しみ!」
「う、うん。それまで、僕を殺さないでくれよ」
「絵の具にする約束をしたんですもの! 80年後まで、絵の具にしないであげるわ!!!」
エビィは、今すぐに殺されないために、80年後の自分に妹をなすりつけ、今、殺される事を回避できて、内心、安心した。
ネルガルは一番やばいのが、女の方なんだと、認識した。
『蜘蛛達は男を攻撃、女の方は俺が担当する』
『リョウカイ、6ニン、アノ、オス、ノ、アシドメ。オレト、ネルガル、デ、ツヨイ、メス、ヲ、タオス』
『ラジャー!』
『ワタシ、ガンバルワ!』
ネルガルとリーダーの子蜘蛛でラスを攻撃、残りの子蜘蛛達はエビィの足止めを始めた。
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