二重スパイ
「紫水が見つかって本当に良かったです。ふぅ、これで、ぐっすり眠れます」
黄結姫は安心したのか、ソファーで横になり、眠り始めた。
「黄結姫さん、眠っちゃいましたか。まぁ、これで、アイランさんとお話ができるというものです。それで、アイランさん、提案なのですが、二重スパイしてみませんか?」
「二重スパイというのはなんでしょうか?」
「貴方は勇者教の司教、その地位にいるのなら、勇者教の内部情報をこちらに流して欲しいのですよ。そして、こちらの偽の情報を勇者教幹部に流して欲しいのです」
「それは、私に密偵になれということなのでしょうか」
「はい、貴方は凪教の信者ならば主人様、女神様の役に立ちたいと思いませんか?」
「女神様の役に立つ、私なんかが出来るでしょうか」
「出来なければ、ここで消すまでなので、貴方はこの部屋に入った瞬間から拒否権は無いのですよ」
「え!? そんな!?」
「受け入れてくれるのであれば、こちらの凪教限定特別ブロマイド女神様のウエディングドレス姿です!」
結魂式で主人様が来ていたドレス姿のブロマイドをアイランに見せた。
「これは!? 女神様が、より、美しく、神々しい!!!」
アイランは緑癒が見せた絵に釘付けであった。
「そして、密偵での任務特別報酬では、女神様が欲しいものを何でも一つ作ってもらえます。あと、密偵で使う魔道具も女神様に作ってもらえます」
「それは、魅惑的な報酬ですね」
「それで、受けますか?死にますか?どっちにしますか?」
「受けるしか私に選択肢は無いのですね。でも、兄さんの無事も確認出来ましたし、分かりました。死にたくないので、お受けします」
「そうと決まれば! 手に入れて欲しい情報と流して欲しい情報はこちらでして」
アイランは二重スパイとなった。
その後、アイランは女神様にスパイ魔道具を貰い、そして、特別なプロマイドを貰ったアイテムボックス機能がついた指輪に収納し、凪教の教会を後にした。
兄さんが見つかって良かった。それに、早くも女神様に役に立てるなんて、なんて言う幸運。私は頑張らなくては! そして、女神様に褒めてもらうのです!
アイランは勇者教の教会へ帰ると、寮の自室へ向かった。
「アイラン、今日は一体何処にいたのですか」
初老の男がアイランに話しかけた。
「 ホーモル大司教様。最近、女神が降臨したと噂になっている凪教の教会へ向かっていました」
「ほぉ、アイラン、まさか、改宗する気なのか?」
「いいえ、私達の敵はどのような存在なのか偵察をしていたのです」
「もしや、女神様に会えたのか?」
「はい、女神凪は、噂通り、石像を人に変え、信者達と交流をしています」
「その人は本当に神なのか?」
「石像を人の姿に変えて動かす魔法は聞いたこともありませんし、出来たとしても、それは、神の領域なのでは、ないでしょうか」
「そうだな、アイラン、勝手に凪教の教会に向かうのは危険な行為だ。敵の出方を見ることも大切だが、まず最初に、私に話すべきだった」
「すみません。兄さんが行方不明となり、犯人の候補に凪教の教祖、緑癒の名前があったので、つい、頭に血が昇ってしまい。このような事を、ホーモル様、申し訳ございません」
「そうだな、それなら、アイランには、聖女様の護衛をしてもらいたい。ここの所、聖女様がとある男娼に夢中でな、聖女様を止める為にも、護衛を変える必要が出たのだ」
「私は護衛としての能力は低いのですが、本当に私なんかが、聖女様の護衛になって、よろしいのでしょうか」
「護衛が無理なら、従者になれば良い。アイラン、明日から聖女様を任すぞ」
初老の男は去っていった。
聖女様の相手ですか、男娼に夢中、聖女なのに、少しは控えてもらいたい。何故、あの女性が聖女なのでしょう。聖女というのなら、今、話題の歌姫、花茶様の方が、聖女様にピッタリだと思いますね。ですが、聖女様に取り入れれば、情報が早くも得ることが出来るかもしれません。女神様の役に立つために、私に出来る事をしなくては!
藍介は緑癒と水晶を使って会話をしていた。
「藍介さん、アイランさんを密偵にできましたよ」
「緑癒、ありがとうございます。これで、紫水よりも勇者教、教会内部の情報をより詳しく得ることが出来ますね。そして、こちらの偽の情報を与え、敵の隙を作り、勇者教と大罪芸術を一網打尽にするのです!」
「そうすれば、この人間の国は攻略完了ということで、主人様の元に帰れる訳ですね!」
「そうです! でも、油断は禁物です。緑癒さん!慎重に事を進めますよ!」
「はい!藍介さん!頑張りましょー!!! それで、早速なんですけど、聖女が真白さんを手に入れたいと動き出しているみたいなんですよ」
「あの、聖女は何を考えているのですかね。聖女というのなら、清らかな方なのだと普通は考えるのに、勇者教の聖女は何故こうも、男遊びばかりしているのやら、私もこの前、商談で勇者教の教会へ行ったのですよ。そしたら、紙切れを渡されて、夜、私の部屋に来てって書かれていて、鳥肌が立ちましたよ。男であれば、彼女は誰でもいいのですかね」
「イケメンならじゃないですかね」
「まぁ、真白さんが聖女を引きつけているのであれば、あの店を真白さんに任せて良かったという事です。まぁ、まさか、3ヶ月足らずであそこまで有名になるとはね。緑癒さん、真白さんは私達の恋敵であり、主人様の愛人と宣う、傲慢さ、そして! 主人様と一緒にお風呂に入った罪!!! 絶対に許してはいけません!!! 必ず、あいつを、陥れないと! 私達の夫としての立場が危うくなるのです!!!」
「まさか、真白さんがそのような事を、私のお尻をプリップリにしてくれたのは嬉しかったですが、それと、これは、話が違います。今回ばかりは、真白さん打倒のために藍介さんと手を組みます」
「よろしくお願いします。あとは、紫水が帰って来たら、この話をして」
「いいえ、紫水に話したら、紫水ブチギレますよ。そしたら、世界を滅ぼすとか言うんじゃないですかね」
「流石にそんな物騒な事言いますかね? 紫水なら、真白〜殺す〜、長く〜、苦しませて〜、殺す〜とか言うんじゃないですかね」
「うゔぅ、怖い怖い、藍介さん、紫水には話さないでおきましょうよ。絶対に、僕達に火の粉がきますって」
「それも、そうですね。紫水にいうのは頃合いを見てからという事で、報告はこのぐらいでしょうか? 私はこれから、久しぶりにテンサーさんと一緒に魔道具製作をするのですよ」
「あー! 前に言っていた巨大な人形を作っているのですよね! 今度、僕も見に行っていいですか?」
「いいですよ。でも、主人様には内緒ですからね」
「わかってますよ。主人様を驚かせたいのですよね」
「そうですとも、それでは、失礼しますね」
藍介と緑癒は水晶を止め、藍介はテンサーの元へ、緑癒はお尻磨きをしに、行ったのでした。
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