アイランと緑癒と黄結姫
女神様と2人っきりで観光をした後、教会へ女神様を送った。
「アイランさんありがとう、明日、また教会に来てね」
「はい、よろしくお願いします」
「それじゃあ、本当にありがとう!」
教会から緑癒様が出てきた。
「あー!!!主人様!!!一体どこにいたのですか!!!」
「うわっ、緑癒、まぁ、観光を楽しんでいたのよ」
「勝手に1人で行くのは危ないじゃないですか! ふぅ、周りの目もありますので、後で詳しく聞かせてもらいますからね」
「はーい、まっ、無事に帰ってきたんだから」
「そういう問題じゃないですよ! そもそも、この馬車は」
すると、女神様は手を出して、先に行けとジェスチャーした。
馬車は動き出し、緑癒は中にいた人物を確認できなかった。
「主人様! もう! で、さっきの馬車に乗っていたのは誰ですか?藍介さん? それとも、灰土さん?」
「勇者教の人よ」
「えー!!!!」
こうして、凪は緑癒にアイランの話をして、時間がもうないからと、凪の魂は本体へ戻ったのでした。
そして、次の日。
アイランは女神にまた明日と言われたので、朝早くから教会へ向かった。
「こんな、朝早くから、まだ女神様は眠っておられますので、僕の部屋へ案内しますね」
迎えてくれたのは凪教教祖、緑癒であった。
「女神様から事情は伺いました。お兄さんが急に行方不明になるなんて、大変ですね」
「はい、真面目な兄さんが私に何も言わずに居なくなるなんて、絶対に、兄さんに何かあったに違いません!」
「はい、その、何かに僕の仲間である紫水も関係しているのですよ」
「紫水、聖女様の護衛の彼ですか?」
「えぇ、こちらも、急に彼の消息がわからなくなってしまいましてね。現在、彼の行方を探しています。そして、彼が最後に出会ったのが、貴方の兄、ハインズさんだったのですよ」
「兄さんが!!!」
「はい、他の方の証言ですと、ハインズさんは聖女が夜の街へと行こうとするのを止めた時、聖女の怒りに触れ、投獄され、その時に牢屋に捕まっていた紫水と出会ったそうなんですよ」
「え!紫水さんが見かけなくなったと思っていたら、牢屋に入れられていたのですか!?」
「貴方は何も知らないようですね」
「はい、私は何も知らなかったです」
「まぁ、大っぴらには出したくない情報ですからね。勇者教は、聖女を律する事が出来ていないという事ですね。偽物に、騙され可哀想に」
「偽物ですか? 聖女様の力を一度拝見しましたが、あれは、紛う事なき、神の力そのものでした」
「ほお、彼女は浄化に向かったのですか?」
「いいえ、私と初めて会った際、神の光を特別に見せてもらいました」
「アイランさんは聖女様のお気に入りといったところでしょうかね」
「どうなんでしょうか、やたら、夜の護衛をお願いされましたが、兄さんが助けてくれていたので」
「うわっ、あの女、イケメンなら誰でもいいんですね。まぁ、主人様も」
緑癒様は、私の顔をまじまじと見つめた。
「やはり、女性は中性的な顔立ちが好きなのですかね? 貴方よりも、僕の方が断然、イケメン、尻も完璧、なのですか」
「知り?」
「まぁ、そこは一旦置いといて、主人様が黄結姫さんを呼んだのでもうそろそろ、来るはずなのですが」
すると、廊下からキャーっと女性の声が聞こえた。
「あー、転びましたね。ちょっと、失礼」
緑癒様は立ち上がると、部屋を出た。私も何事かと思い、緑癒様の後を追うと、廊下で、黄色の糸が無数に散乱し、その中央で女性が黄色の糸、ではなく、黄色の髪に体が絡まり、動けなくなっていました。その、どうやったら、髪が体に絡まるんですか!?
「はぁー、黄結姫さん派手にやりましたね」
「緑癒さん、ごめんなさい。手伝ってーーー」
「はいはい、すみませんが、アイランさんも手伝ってください」
「あ、はい!」
私は緑癒様と一緒に、とても長い髪に絡まった女性から髪を解きました。
「ふぅ、やっと、解けました。黄結姫さん、紫水がいなくなって不安だと思いますけど、貴方が動揺しちゃダメでしょ。あの紫水が簡単に死ぬような奴じゃないですからね」
「はい、あの子が簡単に死ぬわけないって思います。だけど! 紫水の居場所が分からないんです! 私の祀念結びにも反応無しなんです!!! そんな事一度もなかったのに、うぅゔ、紫水、何処に行っちゃったのぉ」
「まぁまぁ、何度も言いますが、あの紫水が殺されるわけないですし、彼を殺せるのは、そうですね、神ぐらいなんじゃないですか?」
「そうだとしても、紫水の反応がないんです!」
「まぁまぁ、落ち着いてください。ひとまず、私の部屋で話しましょう」
「はい」
こうして、とても長い髪のメイドの黄結姫さんと緑癒様と一緒に兄と紫水さんの居場所について話し合った。
すると、部屋にカサカサと黒光りした虫が1匹侵入し、私は驚き叫んでしまった。
「虫だぁ!?!?!!!!! は、はやく、倒してください!!! 私、虫、苦手なんです!!!」
「えーと、僕が捕まえますね」
緑癒様は立ち上がり、虫を掴むと、部屋から出て行った。そして、何事もなかったように部屋に戻って来た。
「いい情報が入りましたよ。やはり、紫水とハインズさんが手を組んで勇者教、教会内の最深部へ向った後に行方不明となったみたいですね」
「なら、今すぐに勇者教の教会へ行きましょう!この方は勇者教の司教なら、簡単に侵入できますよね!」
「最深部である牢屋には、許可が降りた方しか、行けないのです」
「そうなのですか、私の大切な息子を牢屋になんて入れた女を一発、いいえ、顔の原形が無くなるまで殴ってやらなくちゃ!!!」
「はい、ちょっと、黄結姫さん、腹立つのは分かりますが、落ち着いて」
「私はやると決めたらやるんです! その、聖女を見つけて、ぶん殴る!そして、紫水の居場所を吐かせる!ん? 」
『黄結姫さん、紫水がなくなる瞬間、巨大な魔力が放出されたみたいでして、もしかしたら、紫水はこの王都にはいない可能性があります。なので、祀念結びの範囲を国全体へ広げてみてください』
『藍介さん、その情報は正しいのですか?』
『私の配下の証言なので、確かです。なので、一度やってみてください』
『はい! でも、国全体。私、頑張ります!!!』
黄結姫さんが黙った時、急に立ち上がり、彼女の黄色の髪が淡い光りを放ち、彼女の足が浮かんでいた。
「髪が光っている!? あの、緑癒様、彼女は一体、何をしているのですか?」
「しぃっ、静かにしてください。もしかすると、お兄さんが見つかるかもしれません」
「え!」
10分後、彼女の髪から光が無くなった。
「やっと! やっと!見つかりました!!! 紫水は生きています! あと、アイランさん、貴方のお兄さんであるハインズさんは現在、紫水と一緒に北部にある雪山で遭難しています!!!」
「遭難!? しかも、北部の雪山って、ここから、とても遠いですよ! 馬車を走らせても、3ヶ月以上、かかるのに、どうして、兄さんがそんな場所に」
「ちょっと、待ってくださいね。紫水に聞いてみます」
そして、絶賛、雪山で遭難中の2人は、洞窟の中にて、2人は抱き合い、互いの体温を保とうとしていた。
『しすい!しすい!!!!』
遠くの方から母親の声が聞こえ、紫水はとうとう、幻聴が聞こえ始めたのだと考えた。
「ハインズ〜、どうしよう〜、母さんの声が聞こえてくるよぉ〜」
「紫水!それは幻聴です! 聖炎!!! ほら、さっきより、暖かくなってきましたよ」
「ハインズ〜、ありがとう〜」
『紫水!!!紫水!!! 私ですよ!』
「ん〜〜、やっぱり〜、母さんの声がさっきよりもくっきり聞こえ始めて来ちゃったよ〜、どうしよう〜、俺死ぬのかな〜、嫌だなぁ〜、凍死なんて〜」
『凍死!? 紫水! 起きなさい!!!』
『ひぇ!? も、もしかして、本当に母さん!?』
『やっと、気付きましたね。紫水!生きててよかった!!!』
『うわぁぁぁああ!!!母さんだぁ!!!! かあさぁぁぁーん!!!!』
黄結姫は紫水に今までの経緯を聞き、そして、紫水の近くに村があることを伝えた。紫水は久しぶりの母親の声を聞き、涙を流した。
「なっ!? 泣かないでください、私だって、泣くの我慢しているのですよ!」
「うぅ、ハインズ、ここは北部の雪山で、2キロ先に進むと、村があるんだって」
「はい? 一体、その情報は何処から」
「母さんが思念伝達で教えてくれたぁのぉ〜!!! ハインズ〜!!! 頑張って〜、村に行こう〜!!!」
「思念伝達? その情報は正しいのですか?」
「俺の母さんを〜、疑う気なの〜? 仕方ないな〜、ハインズも少しだけ繋がってもらうか〜」
『兄さん!!!兄さん!!!』
急にハインズの頭に弟の声が聞こえた。
「アイラン!? 一体、どういうことなんだ!」
『よかった、兄さんが無事でよかった。紫水さん、兄さんを助けてくれてありがとうございます』
『いいよ〜いいよ〜』
「この頭に直接声が聞こえるのが思念伝達ということですか?」
「そうだよ〜」
そして、少しだけ弟と会話をしたハインズと母親と話した紫水は、近くの村へ向かったのでした。
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