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68 だんらんの・・・ 3ページ目







アスラさんとソールさんのブラックホールな胃袋に微妙な羨ましさを憶えましたが、残念な事に私には備わっていない物です。「ソレはソレ」とお風呂に入っている時に割り切る事にしました。




お風呂からソファーの置いてあるリビングに向かうと、アスラさんがソールさんを抱えて階段に足を掛ける所でした。


「アスラさん、ソールさんは眠ってしまったのですね。」

アスラさんに抱えられて、ソールさんはグッスリと眠っています。


「えぇ、日中色々ありましたから疲れたのでしょう。部屋に連れて行きます。」

「そうですね。今日は格上のお屋敷であるスターリング侯爵家に行ってきましたし、周りが大人の中で大人しく座っているだけでも緊張してしまいますし、ソールさんも疲れたでしょう。」

「・・・・・・えぇ、そうですね。」



・・・?私の言葉に何とも微妙なお顔でアスラさんが同意してくれます。どうしたのでしょう?





まさかと思いますが、何か粗相をしてしまったのですか!?





まだ眠るのには早い時間なので、私とアスラさんはソファーでお茶を飲みながらお話をします。



「明日から4月になりますね。旅行の準備をしようと思うのですが、何か『コレは絶対に持って行きたい!』といった物はありますか?」

メモ帳片手にアスラさんに聞きます。


「特には・・・。」

アスラさんはそう言って考え込みます。


「私の実家の方は着替えとかは必要ですけれど、それ以外の物は現地で揃えられますよ。

アスラさん、お義父さんの領地の方はどうなのでしょう?」

私のお家は格式張った事は無いので、高級品とかは必要ありませんよ。だけど、お義父さんのご領地に伺うのであれば、ある程度しっかりした物を準備した方が良いですよね?


「・・・いえ、領地の方は気にしなくても大丈夫ですよ。むしろ、母上が嬉々として揃えていそうですから。」




・・・確かに!




アスラさんの言葉に私も思わず同意してしまいました。多分もう、イロイロと手遅れですよね・・・。






「・・・そう言えば話は変わりますが、今日、フィーナが準備してくれたバスケットの中に入っていた『ましゅまろ?』ですか?母上がとても気にしていました。私もどう説明したら良いのか分からなかったので、ソールに分けて貰おうと思ったのですが、屋敷に居た年少者に配った後だったので残念がっていました。」

その時の様子が面白かったのか、アスラさんは少し笑いながらそう言います。



「マシュマロでしたらそんなに難しい作り方ではありませんから、今度お伺いする時に持って行きましょう。

・・・ふふふ。マシュマロと言えば、ヒースさんとリリーナさんですね。」




長雨の時期に工業都市に帰って行ったヒースさんとリリーナさん、お迎えに来たリックさん。3人が馬車の中で退屈しないように、何種類もお菓子を作って「道中、お腹がすいたら食べて下さいね。」と渡したのです。

日持ちのする焼き菓子やパウンドケーキと一緒に「グミ」と「マシュマロ」も入れて置いたのですが、どうやらこの2つは皆さんに大ウケだったようで「また食べたい」とお手紙に書いてありました。


ヒースさんもリリーナさんも今は工業都市の学園に通っているようで、リリーナさんは1年生、ヒースさんは1年遅れの4年生だそうです。ヒースさんの足の怪我は順調に回復しているようです。良かった!



涼しくなって来たら、マシュマロを送ってみようと思います。






「フィーナが作ってくれる物は、どれも美味しいので食事が楽しみになります。」

アスラさんのこの言葉で現実に帰って来ます。


「そうですか・・・?」

少し驚いてしまいます。アスラさんは「貴族さま」ですから、美味しい物とかたくさん食べていると思うのですが?


「えぇ。本当に。」


「特にそこまで手の込んだ物は作っていないと思うのですが?」

アスラさんの言葉に首を傾げてしまいます。


「そんな事はありません。私もソールもフィーナの料理がとても楽しみなのですよ。」

アスラさんは私を見てそう言います。



「そう言って貰えると、料理のし甲斐があります!ふふふっ。アスラさんもソールさんもたくさん食べてくれるので作り甲斐もありますし、頑張りますね!」

私がそう言うと、アスラさんも「ありがとうございます」と返してくれました。




「そうでした、以前言った演劇ですが、母上が4月の7日か8日頃に領地に向けて出発しますので、その前に行こうと思うのですがどうでしょう?」

アスラさんの言葉に少し考えます。


「出発の時期がすぐのようですし、ソールさんをお任せしては出発の準備のお邪魔になりませんか?」

ソールさんは1人でも遊んでいられますけれど、何かあったら大変ですよね?


「?準備をするのは母上ではありませんから大丈夫ですよ。」



アスラさんはそう言いますが、きっと見えない所でお義母さんはたくさんの指示を出しているのでは無いのでしょうか?



「実の所を言うと、両親はゼーセス兄上が羨ましいので、ソールと仲良くなりたいそうですよ。」

アスラさんが困ったように言ってくる内容に驚きますが、確かにゼーセス義兄さんとソールさんの仲の良さに驚きます。義両親の「あの手この手」がゼーセス義兄さんに一瞬で崩された時は、本当に悔しそうにしていますからね。


「そうなのですね。それでしたら、義両親とソールさんが一緒に食べられるものを作りしましょう。」

「そうですね。それは良いかも知れません。お願いしても良いですか?」

アスラさんも「食べ物作戦」に賛成のようです。


「今日のピアンパイはとても喜んでくれましたから、また焼いても良いかも知れませんね。義両親はピアンは大丈夫でしょうか?食べられますか?」

「えぇ、大丈夫だったと記憶しています。両親も喜びます。」


ピアンはお店にたくさん並んでいますから、何枚でも作れますよ!



「・・・私があまり興味が無かったので良く分からないのですが、『ぱい』と付く物をフィーナは良く作ってくれますが、私はフィーナが作る物以外見た事がありません。」


アスラさんの言葉に軽く驚きましたが、確かにこの世界に「パイ」はありません。


「フィーナが作ってくれて、初めて口にしたのですが私は嫌いではありませんし、ソールも好きみたいです。なので、これからどんな物が出てくるのか、実は楽しみなのです。」

アスラさんは楽しそうにそう言います。


「そう言って貰えると嬉しいです。

・・・ほら、果物って少し高めの金額でしょう?私の家族が皆で食べるのには、少し割高感があるのです。なので、元々パイは『家族皆で』果物を食べれるように作り始めたのですよ。」

果物は帝都よりも商業都市では割安な値段なのですが、それは「金額を見たら」のお話で、やっぱり平民からすると果物は割高感がありました。

私のお家は家族7人だったので、ご飯が優先で果物はその次でした。メイの粉を使って作れる焼き菓子系はたくさん作れますが、果物を使ったお菓子系は値段が落ちた物を買えた時にしか作れなかったのです。


「そうだったのですね。」

アスラさんが相槌をうってくれます。

今は何も気にせずに買ってしまったりするので、少し反省します。


「なので、パイは家族みんなが集まった時に食べていたのです。

アレですね、少し格好良く言うならパイは『家族の味』なんだと思います。」

自分で言っておいてこう言うのも何ですが、恥ずかしくなってきました。


「良いですね。何だか羨ましいです。」

アスラさんがそう言って来ましたが・・・



「アスラさんとソールさんも、私の家族ですよ?」

私の言葉にアスラさんは驚いたようにパチパチと瞬きをしています。


「・・・えぇ!そうですね!」

そう言ってアスラさんは「良かった!」と言っていますが、どうしたのでしょう?



「実は、フィーナには伝えなくてはいけない事があるのです。」

アスラさんが言い辛そうに言って来ます。


「何ですか?・・・・!もしかして、アスラさんには婚約者さんがい「いえ、そのような方はいませんので安心して下さい!決してそう言った内容ではありません!」

アスラさんの重大発表が何なのかは分かりませんが、私のマイブームが「アスラさんに、実は婚約者がいた!」と言う設定なのです。



以前お義母さんに渡された例の本で、5巻目にしてついに私の興味を引く内容が出てきたのです!



・・・そう、お相手ヒーローであるアレックスの婚約者サレスティナ嬢の登場です。


コレがまた美人なんて物ではありません!身分、容姿、性格。どれを取っても素晴らしいご令嬢の登場に、私の例の本に対する興味が一気に湧き出たのです。

テンションが上がった私は一気に最新刊である8巻まで読んでしまったのですが、抗議の手紙はドコに出したら良いのでしょう!

サレスティナ嬢の扱いは「キャラクターの無駄遣い」と言えるような扱いでした。

7巻まで必死にアレックスを支えてきたサレスティナ嬢が、ナゼか不治の病に罹ってしまったのです!

そうして、「私はアレックス様を支える事が出来ません・・・。ミニィア様(※主人公)これから先もアレックス様を支えて下さい。」と言ってフェードアウト。




燃え尽きましたよ・・・。この先、8巻の残り半分を読む気力が全く湧き上がりません。

アスラさんは漸く2巻に入ったので、私のサレスティナ嬢ロスは理解して貰えませんでした。


なので、「アスラさんに婚約者さんは居なかったのですか?」と、アスラさんに聞いてみたのです。

アスラさんにはもの凄い勢いで否定されましたが、その後何回も聞いているのでそろそろ止めようかなと思います。



「いえ、そうでは無くてですね、休暇中にフィーナのご実家に行った後、我が家の領地に行く事になっていますよね?その時に伯父上もご家族でいらっしゃるようです。」

「ぴっ!」

おっと、アスラさんが変な事を言ってくるので変な声が出てしまいましたよ。


「その際、『スターリング侯爵家の移動と合わせないか?』と言って下さったのです。

私としてはネコで行こうと思ったのですが、もし馬車の方が良いなら伯父上にそう伝えますが・・・。

フィーナはどうしますか?」


「・・・アスラさん、私達はネコさんで行きましょう。」

私はアスラさんの手を取ってそう答えます。



イエス!もふもふ。ノー、緊張!旅はまったり、のんびりと!ですよ。



あっ。ソールさんは馬車の方が良いですか?転がり落ちたら大変ですからね!














フィーナのお家ではパイを8等分にすると1枚余りますが、それは「いつも頑張っている」お父さんにフィーナが差し入れしています。ゴマすりゴマすり。


毎年の聖誕祭の時にケーキを作って食べるのも「誕生日にはケーキでしょ!」と思ったフィーネリオンの言葉から始まりました。毎年自分のお家用とニリアのお家用の2つケーキを準備していました。


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