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67 だんらんの、のその後ろでは・・・ 2ページ目


前回の続きです。









今月末で社交の季節が終わる為、帝都に構えているスターリング侯爵家の屋敷にて今回の社交生活での報告と領地に戻る方達への慰労を労う為に、一族の殆どがこちらの屋敷に集まっています。



そんな中、自分達の宗家に続く屋敷で立て続けに起きた「結婚」と「離婚」と言う、まるで「青天の霹靂」と言わんばかりの出来事に一族の「分家」の当主達が食いついてきたのです。



それで今、大広間の中では3つの集団に分かれて座っているのです。



1つはこの報告に食らい付いてきた当主や夫人、擁護に回った当主や夫人とその跡取り達の集まり

2つは1つめの集団には入れない「若い」成人した集団です。ナゼかコルネリウス様とゼーセス様もこちらに入っています。コルネリウス様、貴方は「当事者」ですから1つめの集団に入った方が良かったのでは?

3つめが「未成年」の集団です。ユーレイン様、貴方様がソノ場所にいる事は間違っていますよ。去年成人しましたよね?


多少「差異」が見られますが、こんな感じで分かれています。




「ぴえぇ~~~~~!!い~~にゃぁ~~~~ぁっ!!」

そんな中で最も異彩を放っているのがソール様で、こちらの屋敷に着いた時から(到着前からですか?)激しく泣き叫んでいます。

アスライール様にしがみつき、離れようとしないながらも「帰りたい」と主張するそのお姿に私は感心しました。ソール様がしがみついている為にアスライール様は3つめの集団に混ざっています。




この状態のソール様を完全に放置して話し合いが続いているのですから、驚きますよね。




そんな様子のソール様を泣き止ませようと、コルネリウス様の御子様であるギリアム様とシルミア様が一生懸命気を引こうとしていますが、全く効果は出ていません。一緒にユーレイン様とラヴィアーネ様も頑張っているのですが、アスライール様から離そうとするとそれはもう「火が付いた」と表現できる泣き方になるので途方に暮れてしまっています。・・・アスライール様、諦めないで下さい!


そんな時に、コルネリウス様の大叔父にあたるラクシュ伯の孫娘がアスライール様に近付いていきます。

これにヴァレンタ伯と夫人がそれと無く注視します。



・・・あぁ、コレは駄目な感じがします。



チラと確認したコルネリウス様の周囲には、それと無く未婚の女性が多く座っています。その近くに座っているゼーセス様の周囲も、人数は多くありませんがやっぱり未婚の女性がいます。


この席順もこの社交生活中、何の功績も作れなかった親族達による采配である事は間違いないのでしょうが、スターリング侯爵夫人が静かに微笑んでいるので「静観」の構えで見ていると受け取ります。



「きゃーーーっ!」

そんな中で響いた女性の悲鳴に皆が注目します。


どうしてその状態になったのかは見ていなかったので分かりませんが、先程アスライール様に近付いた距離よりも離れた位置に座りこんでいます。




「ぴにゃ~~~~っ!!おかしゃーーーーん!」

ますます泣き叫ぶソール様に、周囲も「お手上げ」状態になってきます。


そんな中、どの集団にも与さない夫人達の座っている所からヴァレンタ伯爵夫人が立ち上がり、座り込んでいるご令嬢に声を掛ける事無くアスライール様の所に向かいます。




・・・無視なんですね。




まぁ、既婚者である男性に未婚の女性が近付く事は問題視されますからね。

アスライール様は「既婚者」で、令嬢は「未婚」でしたから、近付いて行った令嬢の方に「非がある」と周囲も理解しているのでしょう。



「あらあら、ソールさん。フィーナさんの事が心配なのね?」

そう言ってソール様の頭を撫でます。・・・今までずっと放置していましたよね?


「う・・・、うぎゅ・・・。おかしゃん・・・。」

アスライール様にしがみついたままソール様が返事をしていますが、ヴァレンタ夫人に無視されたご令嬢は顔を真っ赤にさせて自分が座っていた席に戻ろうとしたのですが、席は既に片付けられていたようで憤慨しているようですが自業自得でしょう。


・・・多分、コレによってこの方の家族は、次の社交生活が始まる時にこの場に呼ばれるのか怪しくなりましたね。今もご両親は顔を真っ青にしていますし、跡取りがあの令嬢1人ですから先が見えそうです。





スターリング侯爵夫人に家人が何か伝えているけれど、まさか先程の令嬢を摘み出すかどうかの確認ですかね・・・?

この部屋の中の意識は「全て」そちらに集中しています。



立ち上がった夫人の向かう先は、令嬢の居る方では無く、ヴァレンタ伯爵夫人の方向でした。




「マゼンタ様?お屋敷の方からヒトが来ているようなのですが、如何なさいますか?」

スターリング侯爵夫人は、とても楽しそうにヴァレンタ伯爵夫人に聞きます。



・・・一体誰でしょう?

この集りの時間の最中は、呼ばれていない者は入る事が出来なくなっていると屋敷の者であれば知っていると思うのですが・・・?




「まぁ!一体誰かしら?・・・ゼーセス!貴方、見て来なさい。」

驚いたようにヴァレンタ伯爵夫人は言っていますが、(この集りに疲れて来ている)ゼーセス様への配慮から名指しで大広間から出したと言う事にコルネリウス様も気が付いたようです。


ゼーセス様も1つ頷いて扉の向こうに消えて行きました。



・・・ふと気が付いたのは、アスライール様とソール様を出した方が良かった気がするのですが・・・?




暫く経って帰ってきたゼーセス様は、可愛らしいバスケットを手に戻ってきました。




一瞬、我が目を疑いましたが、ゼーセス様が持つにはあまりにも不釣あ・・可愛らしすぎるそのバスケットは見覚えがあります。アスライール様もハッとしたように見ています。


「アスライール、お前にだ。」

ゼーセス様から手渡されたバスケットにアスライール様も「誰」からの物か分かったようです。ゼーセス様はバスケットをアスライール様に渡すと、ソール様の頭をワシワシっと撫で(?)て座っていた席に戻ります。




バスケットを開けたアスライール様は、中に入っている物を確認して頷きます。



・・・気になる。



多分、私だけで無くこの部屋にいる者は、皆気になっていると思うのです。




「ソール、フィーナからです。」

アスライール様はそう言って、自身にしがみついているソール様にバスケットの中を覗かせます。


「ふぐ・・・。おかしゃん?」

ソール様は元が可愛らしい顔をしていたというのに、泣き続けていた為か今はその面影が少ししかありません。


「えぇ、フィーナからです。」

そう言ってバスケットの蓋を開いて中を見せます。


「まぁ!可愛らしい!」

「本当に!」

その場に残っていたヴァレンタ伯爵夫人とスターリング侯爵夫人が「あら!」とか「素敵!」とか言いながらバスケットの中をソール様と覗き込みます。


「ねこっ!」

バスケットの中からソール様が取りだしたのはカリャンのぬいぐるみでしょうか?



フィーネリオン様がコルネリウス様に、と刺した刺繍の家紋も素晴らしかった。そう言えば、フィーネリオン様の針仕事は「素晴らしい!」とニナさんや父が言っていましたね・・・。



バスケットから出てくる出てくる・・・。

フェンダ、チーラ、ララニー、チムリス・・・。一体どれだけ入っていたのだろう?


ソール様は先程までとは打って変わって楽しそうにしています。



ようやくソール様から解放されたアスライール様は、そのままその場所に留まる事にしたようです。

ソール様の様子に直ぐ傍にいたギリアム様とシルミア様、ユーレイン様とラヴィアーネ様もホッとしたようです。


貴族であれば大きな感情の変化を出さないように幼い頃から躾けられますからね。戸惑うのも分かります。




「あら?コレは何が入っているのかしら?」

ヴァレンタ伯爵夫人がバスケットの底の方に入っていたビンを取り出します。


「開けてみましょう。」

アスライール様がヴァレンタ伯爵夫人から受け取ったビンの蓋を開けました。


「ましゅ!まろ!」

ソール様がそう言ってアスライール様の傍でピョンピョンと飛び跳ねます。



ましゅ、まろ・・・?




私は無意識に隣りにいる父を見るけど、父も緩く首を振ってアスライール様の手元を注視している。




「ましゅまろ!」

そう言ってソール様はビンの中に入っていた物を口に入れます。


「ソール。手は拭いたか。」

「みゅ!そーるだいじょう「フィーナに言いますよ?」みゃ~~~!」


・・・違う!そうじゃない・・・!

その「得体の知れない、白い物体」の正体が知りたいのです!

それと、今、ここで振る舞われているのは飲み物だけで、食べる物はもう少し後!ですよ!



「そうですわね、皆様が集まってから大分時間も経っていますから、少し休憩をしましょう。

ユーレイン、貴方ラヴィアーネと一緒にこちらの子達を連れて西のサロンに行きなさい。飲み物と焼き菓子を準備しているから夕食までゆっくりしていると良いわ。」

「はい、母上。分かりました。」

スターリング侯爵夫人の気転で休憩となったので、未成年の子息令嬢は大広間から出て行きました。

ソール様がアスライール様から離れたがらなかったので、アスライール様も一緒に出て行ったのをコルネリウス様とゼーセス様はとても羨ましそうに見ていました。





「ところでマゼンタ様?ましゅまろ?って何かしら?」

「ソールさんは食べていたので、食べ物の様でしたわね。」


「えぇ、とても甘い香りがしていたわ。」

「ソールさんが掴んだ時にフニッとして柔らかそうでしたわね。」


「美味しそうに食べていましたわ?」

「美味しそうに食べていましたね。」


「フィーネリオン嬢は『甘味』を作らせたら『天才』だと聞いていますの。」

「フィーナさんの作る物はとても美味しいわよ?」


「・・・・。」

「今日は『体調不良』なの、許してあげて?」


・・・スターリング侯爵夫人とヴァレンタ伯爵夫人との会話が両家の当主にも飛び火して、「良いでしょう!」「う、羨ましくなんて・・・!羨ましい!」といった会話が当人達のいない所で繰り広げられ、「たとえ騎士であっても、元は貴族だろう!」の主張をしていた派閥の口を閉じさせるくらい、くだら・・・平和な内容が繰り広げられていました。



アスライール様とソール様は、あれから少しだけ西のサロンに居たようですが夜の6刻頃にお帰りになったそうです。




ソール様曰く「ぴあんぱいがまってるの!」だそうです。





・・・フィーネリオン様、ソール様をあまり甘やかさないで下さい。よろしくお願いします。

後、あの『ましゅまろ』がどういった食べ物なのか、出来れば教えて欲しいです。

















ソールが頑張った事。

・ 泣く事

・ アスライールに近付くヒト(女性)を遠ざける事

・ マシュマロをチビッ子に広めた事

・ ピアンパイを絶対に食べる事



ソールは自分よりも小さい子にマシュマロを分けて、マシュマロの素晴らしさを広げる事に成功しています。問題は、マシュマロがどこにも売っていない事・・・。





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