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64 だんらんの・・・ 1ページ目







昨日の事です。

夜出勤のアスラさんがお仕事に出発する前に「明日ですが・・・。」と前置きをしてから、言い辛そうにこう言って来たのです。



「フィーナ、明日のお昼過ぎに屋敷に行きましょう。」と。



お仕事に向かうその時にアスラさんにそう言われて、初めは「?」だったのですがその後に「母上から呼ばれたので。」と言われて納得しました。



・・・とりあえず、明日は義両親と一緒に食べれるようにピアンパイを準備しましょう。なんて考えていて、アスラさんの様子を気にしていなかったのです。

それよりも、ピアンの方に気を取られていましたからね。ピアンはモモの様な果物で、今の時期が旬なのでしょうか?たくさんお店に並んでいます。ピアンは私の好きな果物なので、シロップ漬けにして寒くなっても食べれるように保存してあります。

1番はそのまま食べるのが好きなのですが、傷みやすいのでなかなか手が出し辛いのですよね・・・。


アスラさんを見送ってからピアンパイの材料を確認して、昨日は1日を終えました。






・・・そして今日。


朝に帰宅したアスラさんは「少し仮眠をとって来ます。」と言って、軽く朝食を取った後にお部屋に下がって行きました。



そんなアスラさんを見て、今日のソールさんは「何か」を察知したのか朝から私の後ろをピヨピヨと付いて回ります。この様子はとても可愛らしいので是非ともアスラさんにも見て欲しかったです。




「おかしゃん。きょうはそーるとあしょびましょ!」

お洗濯を終えてアスラさんが起きてくるのを待つだけになって、一息入れようとお茶の準備をしていたらソールさんからお誘いを受けました。


あれ?ソールさんとは毎日遊んでいますよね・・・?



「おかしゃんといっしょ、でし!」

ソールさんはそう言ってゴロ寝スペースに私を引っ張っていきます。


今日のお昼の準備は朝の内に終わらせていますし、ピアンパイも焼き上がっているのでアスラさんが起きてくるまでソールさんと遊びましょう。





「ソールさん、今日はお屋敷に行くので、昼食が終わったらお着替えしましょうね。」

「みゅっ!?」

そろそろ昼食の時間になったので準備をしようと思ったついでに、ソールさんにお屋敷に行く事を伝えたらソールさんのお顔が一気に「警戒」レベルの表情になりました。



・・・あれ?



「ソールさん、どうしました?」

お顔を強ばらせてしまったソールさんのほっぺをムニムニと解していきます。

こんなに柔らかいほっぺを強ばらせてしまうなんて、ソールさんは罪作りな幼児さまです。


「・・・そーる、いかないでし・・・。」


ソールさんのマシュマロほっぺに気を取られていて、ソールさんの言葉への対応が遅れてしまいました。


「・・・?ソールさん、どうしたのですか?今日は皆で食べれるようにピアンパイを準備したのです。

義両親にも連絡をしているので「そーる、や!」・・・えぇ~~。」




ソールさん、まさかの「反抗期」ですか?



「そーる、いかないでし!」

ソールさんはそう言ってゴロ寝スペースのクッションに蹲ります。アスラさんが起きてきたら考えが変わるでしょうか?・・・もしかしたら、ギリギリまで伝えなかった方が良かったのでしょうか・・・。








「・・・なるほど。」

「なんだかすみません・・・。」

昼食の時間となって起きてきたアスラさんにソールさんとのやり取りと結果を話しましたが、ソールさんはこちらを警戒してのポーズを崩しません。アスラさんに事情を話している最中もソールさんは私達を見ているので、会話を聞いているのですがクッションから離れる気配がありません。



ほら、ソールさん大好きお父さんですよ~~。






「・・・・仕方がありません。ソールは置いていきましょう。」

「ぴぃっ!!」

「えっ!・・・アスラさん、それはチョット・・・。」

アスラさんの言葉に私もソールさんも驚きます。



「フィーナ、大丈夫ですよ。こう見えてソールも良い年齢です。1人で留守番くら「や~~!」出来ますよ。」「やっ!」

アスラさんの言葉に衝撃を受けたソールさんがアスラさんに突撃して来ました。

ソールさんはそのままアスラさんの足にしがみ付いていますが、アスラさんは気にしていないのかそのままソールさんを放置して会話を続けます。


「両親には今日向かう事を伝えていますし、ああ見えて忙しいヒト達なので時間を作って貰っていますから余程の事が無ければ、今日向かいます。」


・・・そうなのです。何だかんだ言ってお義父さんはお城でそれなりに高い地位にいるので、お休みは1週間の内に2日有るか無いか・・・。と聞きました。なので、職務中の脱そ・・・息抜きは余程の事案が無ければ大目に見て貰っているようです。宰相さんとは「陛下への愚痴を人目を気にせずに言い合おう」が合い言葉の「同士」と言っていました。きっと、皇帝陛下がキチンとお仕事をして下さったら、お義父さんと宰相さんは週3くらいのお休みになるんだろうなぁ・・・。何て思います。


お義母さんも他の貴族の奥様方との「お茶会」と言うなの情報交換や孤児院などへの慈善事業を行っているので、忙しくしています。領地にいらっしゃるコルネリウス義兄さんと帝都の学園にいるギリアムさんとシルミアさんの「橋渡し」もしているので、家族間の交流もお義母さんが担っているようです。ゼーセス義兄さんは「怒らせると怖い」と言っていましたが、私のお母さんも怒ると怖いので大丈夫ですよ。



「や~~~っ!!」

アスラさんの足にしがみついていたソールさんはそのまま私を見ます。



ソールさんは大きい瞳をウルウルとさせながら私に訴えかけてきます。


・・・なんて・・・。なんて、あざと可愛いのでしょう!



「うぅ・・・。」

返事に困った私は視線を彷徨わせてしまいますが、ソールさんは「だめなの!」と頑なに拒否します。



・・・。ここまでソールさんが嫌がるのは初めてです。

今までであれば、アスラさんのご実家であるお屋敷に行く時には率先して準備するのに・・・。



「ソールさん。どうして『ダメ』なのか聞いても良いですか?」

私はソールさんに目線を合わせて聞きます。



「・・・あのね・・・。」

ソールさんは説明してくれようとはしているのですが、どう説明したら良いのか分からないのでしょう。


「ソール、ゆっくりで良い。少しずつ説明してくれないか?」

そんなソールさんの様子を見てアスラさんもそう言います。


「あのね、・・・・だめなの!」

ソールさんは一生懸命「何か」を伝えようとしてくれているのですが、やっぱり分かりません。


「そー「ソールさん、今日は義両親にお呼ばれしているので、『行かない』と言う事は失礼になってしまうの。それでも行かない方が良いの?」

義両親には理由を伝えれば大丈夫かな?と思いますが、ソールさんが嫌がる「理由」が分からないので説明が出来ません。アスラさんの言葉を遮ってしまいましたが、多分アスラさんも同じ事を言おうと思っていたに違いありません。大丈夫ですよね・・・?


「!・・・あいっ!」

それまで下を向いていたソールさんがパッとお顔をあげて返事をします。


「フィーナ、それならば私が屋敷に向かう事にします。」

アスラさんはそう言ってソールさんを抱き上げます。


「・・・取り敢えず、母上に連絡します。」

どこかホッとしたようなアスラさんは、ソールさんを抱えたままお義母さんに連絡を始めます。



取り敢えず、せっかく焼いたピアンパイは持って行って貰おうと思うのでバスケットにパイを入れます。



「はっ・・?・・・あ、あぁ。

えぇ、そうですね。・・・・・・・えぇ。分かりました。では、また今度・・・、はい。伝えます。」

お義母さんと会話をしていたアスラさんは、不思議な相槌を打って会話をして通信を切ります。



「フィーナ、すみません。

フィーナが『体調不良』と言う事で、フィーナは今日の訪問が無くなった事になりました。今日は外出を控えて貰っても良いですか?」

アスラさんは私の傍に来てそう言います。


・・・?


「私、元気ですよ?」

私が気付かないだけで何か病気になっていたのでしょうか?

おでこに手のひらを当ててもいつも通りの温かです。私は健康優良児ですからね。大病はした事ありませんよ?



「えぇ、それは私も分かっています。

ですが、今日のフィーナは『熱が出た』と言う事になっています。すみません。」


「?」と首を傾げる私を見てアスラさんも困ったようにしています。



「・・・まぁ、お義母さんがそう言ってきたと言う事は何かあったのでしょう?

今日は大人しくお家の中にいますよ。

あっ、それと、ピアンパイどうしましょう?お屋敷に持って行きますか?」

バスケットに入れたピアンパイをアスラさんに渡そうとしたのですが、アスラさんの腕の中にいるソールさんが「あいっ。」ととても良いお顔で受け取ろうとします。


「いえ、今日は顔だけ出して戻ってきます。こちらは私達で食べましょう。」

アスラさんのその言葉にソールさんのお顔はますます輝いていきます。



「では、出発の準備をしてきますね。」

アスラさんのその言葉で、ソールさんの手にバスケットが手渡される事はありませんでした。


ソールさんはアスラさんに抱えられたままなので一緒に階段の先に消えていきました。


「そーる、たべるの~~~。」

アスラさんの腕から脱出できなかったソールさんの声がお家の中に響いていました。




私は「病気」になったようなのでベッドに入っていた方が良いのかしら?



そんな事を思いながら傍に置いていたクッキーを食ながら、アスラさんが降りてくるのを待ちます。

あっ、昼食は食べていくのかしら?アスラさんに聞かないと!












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