50 ピカピカの・・・ 1ページ目
50話目となります!
この作品を読んでいただきありがとうございます!
みなさんこんにちは!
3月となり、騎士団の東方遠征が行われました。2月の中頃に辺境伯領に向かう師団の皆さんの時には壮行会が有ったのですが、今回は行われないようです。残念な気もしますが、1月くらいで帰ってくるので帰ってきた時に慰労会が開かれるそうです。
西の工業都市に出向している騎士団員さんも交代の時期の様なのですが、何も雨の降りやすい3月に行わなくても良いと思うのです。
今回東方遠征に向かうのは、第6師団の第6部隊から第9部隊の4つの部隊だそうです。
アスラさん達は今まで通りの業務みたいなので、生活が変わる事はありません。
この雨の時期が終わると、夏の様な天気が続きます。前世の世界を知っているとこちらはとても穏やかな暑さなのですが、暑い事に変わりはありません。暑さに弱い私は、今から憂鬱な気持ちになります。
「おかしゃ~ん、そーるとあしょびましょ~。」
ソールさんはごろ寝スペースに置いたクッションに仰向けでゴロゴロしているので、いつか落ちるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまいます。
どうしても長雨の時季は活動範囲が狭くなってしまうので、現在のソールさんは絶賛だらけています。
最初の内は絵本を読んだり、積み木で遊んだりしていたのですが、ほぼ毎日同じ事をしていたので飽きてしまったのでしょう。
・・・これはアスラさんにお見せできない姿ですね。
「お洗濯物を干したら、行きますね~。」
私の言葉にお返事があったので、大丈夫でしょう。
外が雨だと洗濯物を干す所の確保が大変です。本気で衣料用乾燥機が切実に欲しいと思います。
乾きにくい衣服は1階の裏口付近に干したので、乾きやすいシャツ類を2階に干します。2階の私の部屋の入口前に紐を張って、洗濯物を掛けて行きます。
アスラさんは昨日がお休みで、今日から早出の出勤です。
一昨日まで「中継ぎ」だったので遅出になるのかと思ったら、早出だったので驚きました。
アスラさんに聞いたら、一昨日までは東方遠征や工業都市への出向を控えての勤務時間変更だった様です。今日の出勤から順番に交替していくみたいです。
私が1階に戻るとソールさんは案の定クッションから転がり落ちていたようで、私と目があって恥ずかしそうに「おちちゃったの・・・。」と言いました。そう言われた私は、ソールさんが可愛らし過ぎて悶絶してしまいました。この場にアスラさんが居なくて本当に良かったと思います。
暖炉の傍はとても暖かくて、本当ならば洗濯物をココに干したいくらいです。
お昼は昨日焼いたパンでサンドイッチを作ってあるので、お洗濯が終わった後は問題無くまったりできます。今日はお昼ご飯を食べた後に、ソールさんと一緒にパンを作ろうと思っています。
我が家はアスラさんとソールさんの食欲にパンの供給が追い付いていません。
朝にもご飯を炊けば問題無いのですが、アスラさんが早出の時には朝食も早い時間となるので、楽をしたい私は朝にご飯を炊く事はありません。・・・いえ、リクエストされた時にはご飯にしますよ?・・・多分。
前日の夜にご飯を炊いておく事も考えたのですが、冷蔵庫も万全では無いので、この長雨の時季には作り置きは出来ません。他に食材も入れていますし、危険な賭けはしないようにしています。
ソールさんとのんびり本を読んでいたら、呼び鈴が鳴りました。
配送屋さんです。
我が家の「メイの実」使用率はとても高いので、お店から定期的に運んで貰っています。
ついでにお野菜なんかも持って来て貰えるので、有料なのですが私はこのサービスを利用しています。最近はご近所さん達も利用するようになったみたいで、お店のヒトに「ありがとう!」と言われました。
どうやら、ご近所さん達も「どういったサービスなのか」が分からなかったみたいです。重い物を運ぶのは大変ですからね。皆さんも「メイの粉」を配達して貰っているみたいです。
「はい、メイの実2袋とメイの粉1袋。確かに。」
配送屋さんに玄関まで運んでもらえれば、後はアスラさんが運んでくれます。
ソールさんは珍しく配送屋さんが一緒に持ってきたお野菜にくぎ付けです。
「お!ボウアが気になるのか?」
ソールさんは配送屋さんの言葉に頷いています。アスパラガスの様なボウアは今の時期には珍しいです。
・・・配送屋さんが、ソールさんを見て私を見ます。
「ボウアも頂きます・・・。」
ソールさんの私を見る期待に満ちた瞳に負けたのです。決して、配送屋さんの策略に負けたわけではありませんよ!
「毎度どうも!」
そう言って配送屋さんはお向さんのお家に向かって行きました。
「ボウア、どうやって食べましょうかねぇ~。
バター焼きに、お肉で巻いて焼いたもの、お野菜と一緒に炒めても良いですね・・・。」
ボウアを見て、ソールさんを見ます。昨日アスラさんとお買い物に出たので、冷蔵庫の中の食材は選び放題となっています。私も久し振りに見たボウアに気分があがります。
「おにく!」
(食事的に)肉食系ソールさんからのリクエストが入りました。
今日はアスパラの肉巻きとしましょう。
お昼を食べて、まったりしてからパン作りを始めます。
とりあえず、材料を混ぜて発酵までの手順を私が行います。
前世ではパン生地の発酵に時間が掛かりましたが、ここでも同じように時間が掛かります。
なので、ソールさんと一緒におやつタイムを挟んでのパン生地生成をします。
1斤分のパンを焼きたいので、パン生地を型に入れて発酵させます。多めのパン生地を作っていたので、残りの分で丸パンを作りますよ。
ココからがソールさんの出番です。
私がある程度丸めたパン生地をソールさんに渡します。
ソールさんは一生懸命「何か」の形にしているのですが、何の形なのかは私には分かりません。
「ソールさん、何を作っているのですか?」
私はソールさんに先手を打って聞きます。
「ねこ!」
ソールさんは自信満々に教えてくれます。
・・・なるほど、立体的に作ろうとしているのですね。
ソールさんは一生懸命ネコさんを立体的に表現していたようですが、パン生地は柔らかいので頭部分を胴体部分に載せると下の胴体部分の方が潰れて行きます。きっと、パンが焼き上がる時にはホラーな出来上がりになるでしょう。
ソールさんも上手く形にならない事に泣きそうになっていますから、ココで折衷案を出させて頂きます。
「ソールさん、こうしたらネコさんになりますよ。」
パン生地を気持ち薄く伸ばして、平らにネコさんを形作ります。
「みゅっ!?」
ソールさんは驚いたように私の手元を見ていますが、尻尾を作った所で「ねこ!」と言ってくれたので大丈夫でしょう。ソールさんはその後も良く分からない物を作っていましたが、楽しそうにパン種を丸めていたのでそのまま焼き上げました。
丁度アスラさんが帰って来た時にパンが焼き上がって、ソールさんが嬉しそうにアスラさんに報告しています。
「とても良い匂いがします。」
着替えてきたアスラさんが台所に入ってきてそう言いますが、お腹が空いているのでしょうか?
「お1つ食べてみますか?」
パンはオーブンから出して粗熱を取っているところですが、火傷をする程の熱さはないので食べても大丈夫でしょう。触ってみて熱くないパンを1つ選んで、アスラさんに渡します。
「良いのですか?」
アスラさんはそう言いますが、アスラさんに抱えられているソールさんは食べる気満々で、ヒナ鳥のようにお口を開けて待っています。
「夕食まではまだ時間のありますから大丈夫ですよ。お腹が空いているようでしたら直ぐに準備しますが、どうしますか?」
アスラさんはソールさんの様子に困ったようにしていますが「まだ大丈夫です」と言ってパンを半分に割ってソールさんに渡します。
いつの間にか雨は止んでいたみたいです。
そうそう、先月の中頃に植えたキュウリの種は順調に育っていて、ソールさんは成長の様子を見て楽しそうにしています。蔓が伸びてきたので、そろそろ支柱を立てた方が良いかもしれません。明日にでも支柱になりそうなものを探してみましょう。
私はソールさんが「精霊様」と言う事もあって、(お家的に)大木は無理なので小さな花木を育ててみようかな?何て画策しています。・・・ほら、お話にも良くあるじゃないですか?前世の私イチ押しの組み合わせですよ?規模は違いますが、妖精と世界樹。
なので、今度アスラさんと一緒にお出かけする時にはお花屋さんを見てみようと思います。
お花の種を育てるのも楽しいかもしれません。
私がそんな事を思いながらメイの実を研いでいたら、アスラさんがメイの実と粉を納戸に運んでくれました。
私も重い物を運べるように鍛えようとしたのですが、お義母さんに「やめて!」と止められたので、ヒッソリとソールさんを抱っこして鍛えています。
焼きたてのパンが気に入ったソールさんが、そっとパンの入っているバスケットに忍び寄っていたのをアスラさんによって阻止されていましたが、夕食前なのでパンをマルッと1つ食べるのは控えて欲しいなぁ・・・。何て思いながら、お2人を見ながらアスパラの肉巻きを作っていきます。
今日も平穏な1日でした。
「ネコ」型のパンは、次の日の朝、ソールに惜しまれながらソールのお腹に入りました。




