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48 あめあめ・・・ 3ページ目









今日は天気が悪いからか、外が暗くなるのも早いです。




貴族の世界には、私の知らない事がまだまだたくさんあります。


リンカーラさんは、キールさんとの事でずっと悩んでいたのですね。リンカーラさんは、キールさんと後から離縁をするのであれば「婚姻」ではなく「結婚」の方が手続きも少ないので、キールさんとは結婚だったのでしょう。



お話を聞いたら納得できました。


・・・でも、それってキールさんがどう思っているのか、リンカーラさんも分からないって事ですよね?




「・・・どうやら、長居してしまったようだ。迎えを呼ぶので、少し失礼する。」

リンカーラさんはそう言うと立ち上がって外に出てしまいました。




もしかしたらリンカーラさんとキールさん、お2人が「お互いをどういった風に思っているのか」を知らないのではないのでしょうか?




私は、寂しそうに座っているリープさんを見て思います。




「リープさん、リープさんに魔法の言葉を教えましょう!」

リンカーラさんが帰ってくる前に、私はリープさんに声を掛けます。







お土産に黄色ベリーアのジャムをお渡しして、リンカーラさんとリープさんをソールさんと一緒に見送ります。








そろそろ夜ご飯の準備を始めましょうか。今日は雨のせいか少し冷えます。冷蔵庫を確認したら鶏肉とミルクがあったので、クリームシチューにしましょう。


・・・パイを作った時の生地が少し残っているので、ポットパイも良いですね・・・。





「おかしゃん・・・。」

野菜類を炒めていたら不意にソールさんに声を掛けられます。どうしたのでしょう?



「ソールさん、どうしました?」

コンロの火を止めてソールさんの傍に行きます。


「りーぷは、だいじょぶでしかね?」

ソールさんは心配そうに私に尋ねて来ます。



「・・・リープさんは大分気落ちしていましたが『魔法の言葉』を教えたので、大丈夫だと思いますよ?」

私はそう言います。リンカーラさんとキールさんが揃っている夕食の時に言ってね?と伝えたので、問題は無いはずです。周りに「他の誰か」が居ればもっと良いのでしょうが・・・。


・・・リンカーラさんのお家は家事メイドさんが居ると言っていた気がします。その方も一緒に夕食を取るのでしょうか?給仕ですかね?・・・まぁ、どちらでも良いので、今日の夜はリープさんに頑張って頂きましょう!



「まほうのことば?でしか?」

ソールさんは不思議そうに聞き返してきますが、私は「内緒です」と言ってソールさんにお皿に乗せた黄色ベリーアを渡します。


「もう少しで夕食の準備が終わるので、もう少し待っていて下さいね。」

私がそう言うと、ソールさんは「みゅっ?」と言って首を傾げます。


「ご飯が出来るまで、一緒に食べましょう?」

ソールさんはその言葉に、嬉しそうに「あいっ。」とお返事を返してくれます。




チラッと時計を見て見ると、今は夜の6刻半を過ぎた頃です。いつもならば、アスラさんは帰って来ている時間です。


いつもの夕食の時間が夜の7刻なので、今からポットパイをオーブンに入れればいつも通りの時間に夕食が食べれそうですね。時間までゆっくりしても大丈夫でしょう。


ソールさんは黄色ベリーアをソファーの傍のテーブルに乗せて、ウキウキした様子で私を待っています。

オーブンの温度を調整して、使った物をサッと片付けてソールさんの待っているソファーに向かいます。




「リープさんは大丈夫です。リンカーラさんとキールさんも居ますから、今度会う時にお話を聞いてみましょう?」

ね?と言って、黄色ベリーアを一緒に食べます。





その後、夕食のポットパイに驚いたソールさんが興奮状態になりましたが、いつも通りの夜を迎えました。




ソールさんと一緒にお風呂に入って「さぁ寝ましょう!」となった時に多少問題が起きましたが、ベットに入ったソールさんの枕元で物語の本を読んでいたら、ソールさんはスヤスヤと眠ってしまいました。



ソールさんは本当に良い子です。



私が「おやすみなさい」とソールさんのお部屋から出たのが夜の10刻だったので、アスラさん用にタオルとお風呂の準備をして帰りを待つ事にしました。




雨は止みそうにありません。






日付の変わる頃にアスラさんが帰ってきました。



「おかえりなさい。」と迎えた私に驚いたのか、扉を開いた状態でアスラさんが固まってしまいました。

アスラさんは出勤する時はネコさんと一緒にお家を出たのですが、雨足が強いのでネコさんは騎士団の獣舎に預かって貰ったそうです。


・・・ネコさんは濡れるのが苦手なのでしょうか?




「・・・そんな事があったのですね。」

アスラさんは雨に打たれて帰って来たので、先にお風呂に入って貰いました。アスラさんが落ち着いた頃に「リンカーラさんが来ましたよ。」って伝えて、その流れで日中のお話をしてしまいました。



「・・・それにしても、キール殿の婚約者ですか・・・。」

お風呂上がりのアスラさんにお茶を淹れます。寒い夜なので、ミルクたっぷりのミルクティーです。

アスラさんはカップに入っているミルクティーに驚いていますが、今日は眠る前のソールさんにもホットミルクを出しました。・・・怪しい飲み物じゃありませんよ?


あれ?ビーネの蜜を入れて温めたホットミルクの方が良かったですか?



アスラさんは、ミルクティーを軽く一口飲んで驚いたように私を見ます。



「ふふふっ。お口に合いましたか?」


「えぇ。色合いに驚きましたが、とても美味しいです。」

アスラさんは私の問いかけに答えて、カップに残っているミルクティーを飲みます。



「・・・そうでした、キール殿の婚約者についての話でしたね。


私の記憶している限りですが、キール殿の婚約者は、リンカーラ様です。」



???



「リンカーラ様はサイジェル領の跡取りでしたが、本来はリンカーラ様の兄君が跡取りだったのです。

それで兄君の補佐にキール殿が付いて、リンカーラ様と婚約・・・と、本来ならばリンカーラ様が16歳になった時にキール殿と婚約を発表する予定だったみたいです。

ですが、リンカーラ様が15歳の時に兄君が病気となり、急遽リンカーラ様が後継ぎになったと聞きました。リンカーラ様は婚約発表をする事なく、学院を卒業してすぐに領主後継ぎの手続きを始めたそうです。」


私と隣り合わせでソファーに座っているアスラさんが言葉を続けます。



「・・・リンカーラさんのご家族の方は、何も言わなかったのでしょうか?」

私の疑問にアスラさんも頷きます。


「えぇ、私もそう思います。

もしかしたら、リンカーラ様に伝える事が出来なかった『何か』があったのかもしれません。」

アスラさんはそう言います。




「それにしても、相手のお名前くらいは伝えるのでは?」


「・・・そうですよね。」

私とアスラさんも他所のお家の事なので、あまり言えませんが・・・。このまま放置されている状態では大変な事になりそうな予感がします。




「・・・?」

不意にアスラさんの腕輪が光ります。通信用の魔石でしょうか?




「すみません。」

そう言ってアスラさんが立ち上がります。お仕事関係の連絡でしょうかね?



お邪魔してはいけないので、アスラさんのお部屋を暖めて来ましょう。私も立ち上がり2階へ階段を上ります。






アスラさんのお部屋にソッと入って、温石をベットに忍ばせます。

ソールさんと私のベットには入れてあるので、今日はぬくぬくのベットで眠れますよ!




1階に降りたら、アスラさんはまだお話し中でした。

私に気付いて困ったようにしていますが、どうしたのでしょう?






「どうやら、リープ嬢がフィーナに教えて貰った『魔法の言葉』は大きな効果があったようですよ。」

時間が経ってぬるくなったお茶のお代わり用にお湯を沸かしていたら、お話の終わったアスラさんにそう伝えられました。



リープさんは頑張ったのですね!



アスラさんは、私の様子に「良かったですね。」と言ってくれました。



「ふふふっ。何て言ったって、ソールさん直伝の『魔法の言葉』ですからね。絶対に大丈夫だと信じていましたよ。」 




アスラさんは私の言葉に「???」としていましたが、何か感じ取ってくれたのか「そうですね。」と言って困ったように笑い返してくれます。





「今度はキール殿と3人で来ると言っていましたから、大丈夫でしょう。」












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