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The sword is mightier than the magic  作者: 櫻井 瑠璃子
the first chapter
20/20

エターナルのウワサ



番外編第三弾です!

今回はフィア視点ですよ〜

裏事情もちょっと分かるかも(?)です!

オッス!オレはフィア!

今日は休みってことでギルドランク2位の《フェニックス》でちょっと特訓してる!

ハクアたちと遊ぼうって思ったけどアイツら用事あるから行けないって言われてな、ヒマだったから《フェニックス》に来た。


…………え?学生はギルドに入ることができないって?

知ってるよ。

オレ、ギルド入ってねぇから大丈夫だ。

学園はギルドに所属するなって言ってるだけだからな。別にギルドに遊びに行って良いんだよ。

遊びの延長線ってことで特訓に付き合って貰ってるだけだよ。


オレ、強くなれる。ギルド、いい奴にツバつけられる。


相互の利益と学園の黙認で成り立ってるから問題はねぇ!


それにオレ以外の奴らも結構やってることだしな。気にしない、気にしない。


つってもオレは将来、《フェニックス》じゃなくて《エターナル》に入る予定だがなっ!


毎年、卒業生で《エターナル》に入れる人は平均2、3人。殆どが一番強い奴ばかりだ。たまに入らない人もいるけどな。


オレは《エターナル》に入る。何が何でも絶対はいる。

だから一番強くなっといたほうが入れる確率が上がる。


だが、ルークやフェイはもちろんのこと、最近転校してきたハクアも強い。

ハクアめちゃくちゃ強い。

ルークだって勝てないって言ってる。


ハクアにルーク、フェイにオレ。

これじゃあ確実に《エターナル》に入れねぇ。


この前フェイに卒業したらどうするって聞いたら《エターナル》入るって言ってたし、ハクアたちは知り合いが《エターナル》だからギルド入るならそこだろうし…………あぁ!もう!考えるのはやめだ!やめ!!


「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」


こういうモヤモヤムンムンとした気持ちは叫んで走り込んで消すに限る。


「おー精が出てんな、小僧」


おっさんが酒片手にやって来た。

おっさんあたりの年代になると昼から酒を飲む奴が多くなるんだよなぁ…


「おうよ!!最近、強い奴が転校して来たからな!このままじゃ目標達成出来ねぇから鍛えることにした!!」


おっさんはオレが特訓に付き合ってもらおうと《フェニックス》の周りをうろうろしていたときに知り合った人だ。

ずっとおっさん呼びだし、紹介さらっとされて名前は覚えてねぇ。

知ってんのは結構強い人ってことぐらい。

この間の魔闘演武で『蒼炎の契約者』にぶっ飛ばされたって笑いながら言ってたしな。


「おーそうか、そうか。で、よく目標、目標って言ってけどどんな目標だ?」


ものによってはアドバイスできるぜ?と酒臭い息を吹きかけてくる。


…………こういう時は素面のときに聞けよな。良い雰囲気が台無しだぜ。


話すか話さないか少し迷う。

だってアレだぜ?わざわざ特訓とかに付き合ってもらってるのに入らないんだぜ?それだったら見るのやーめたになってもおかしくないし、ライバルに塩を送るような真似してるんだぜ?………絶対、怒るだろ。


「お、迷ってんな〜。別に言っても良いんだぞ?オレらのためにもならなくても」

「怒らない?」

「怒んねー、怒んねー」


おっさんがひらひらと手を振って答えたのを見てさっきまで悩んでたのが馬鹿らしくなって言うことにした。


「オレさ、《エターナル》入りてぇんだ」

「…《エターナル》かぁ……」


なんか喋ったらしんみりした空気になった。

どうしよ……


「確かに《フェニックス》もいいぜ?きさくだし…でもオレは《エターナル》で自分の実力試してぇんだ!」


おっさんは上の空でオレの話聞いてないような……って聞けよ!おっさんが言えって言ったから言ったのに…


「まぁ、そこはお前の考えだし、オレは何も言えないな…」


何だよ………その含みをもった言い方…気になるじゃねぇかよ。


「な、なんかあるのか?」


おっさんはオレを見てどうすっかなっと頭を掻いた。

ため息をしてオレの方を向いた。


「いいか?本当か知らないことだから他の奴には言うなよ?」


周りに誰もいないことを確認しながら言ってオレにも念を押すように言った。


…………そんなに凄いことなのかよ。


「あくまでもウワサだからな?ウ、ワ、サ。間に受けんなよ?…………《エターナル》が強いのは…」


オレも唾を鳴らしておっさんの次の言葉を待つ。


「魔力が高い奴を誘拐とかしてるかららしいぜ?」

「は?」


おっさんマジでなに言ってんの?


「いや、ウワサだからな?オレは信じてねぇぞ?でも《エターナル》が気に食わねー奴等は本当だと思ってるけどな…《エターナル》目指してんなら一応、耳に入れた方がいいかなって思っただけだからな」


おっさんは念のためだからな?って言い訳するように言った。


「おっさん……《エターナル》がそんなことするわけないじゃん」

「そーだ。あそこはそんなことしねーよ」


じと目で言うと後ろから加勢が入った。


「マッ、マスター!!」


おっさんが慌ててお辞儀する。

オレも慌てて後ろを振り向くとついさっきまで寝てたような顔のマスターが。


「こ、こんちわッス!」

「よぉ、久しぶりだなフィア」


実を言うとオレ、《フェニックス》のマスターであるアイザックさんと知り合いなんだよね。

この間の魔闘演武のチケットだってアイザックさんから貰ったんだぜ?

…………その割りにはショボいとこでハクアの方に行ったけどな…。


「やっぱりそうですよね。なんせ、あのギルドには『聖炎の覇者』や『冥界の女神』がいますからね」


アイザックさんの断言におっさんはホッと安心したみたいに言った。


確かにそんなことやってたら『聖炎の覇者』たちの信頼ガタ落ちだもんな。


「まあ、常識的に考えても俺が見た範囲でもないなって思っただけだけどな」

「俺が見た範囲?」


アイザックさんはオレの疑問にそういや知らねぇかと呟いた。


「《エターナル》が入る前、《フェニックス(ここ)》がギルドランク1位だってことは知ってるだろ?」

「はい」

「じゃあ、《エターナル》まだ『聖炎の覇者』たちが有名になる前に建ったことは知ってるか?」


アイザックさんの話はオレが知ってることと違った。


「え?《エターナル》は『聖炎の覇者』たちが国を救ったあとに出来たって……………というか『聖炎の覇者』と知り合い!?」

「あーそこはオトナの事情ってことで……つまり、建ちたてのギルドだった《エターナル》の世話をしたのが俺ってこと。あ、これ此処だけの話だぞ?誰かに言ったらお前等の頭にチャレンジザ・トリプル作ってやるからな?」


アイザックさんの言葉にオレとおっさんは全力で頷いた。


…………だってアイザックさん、笑顔で拳を握りしめて言ってるんだぜ?しかも目が笑ってないんだぜ?

本気だってことを物語るのに十分な状態だぞ?気づかないほうがムリだって


「まあ、これは《エターナル(あいつら)》に聞けば普通に答えるから話すけど、あいつらのギルドって最初、少数人数の方針だったんだよ」


つまり、少人数で金に困らない程度で細々とやるってことだな。


とアイザックさんが言った。


正直、オレは驚いた。

だって『聖炎の覇者』も『冥界の女神』もハンパないくらい強いのに細々とやるって……もったいないというか出し惜しみすんなよと言うか………


「まあ、お前等の知ってる通りあの二人が有名になってな…少人数ギルドじゃムリがあるってことで少数精鋭ギルドに変わったんだ」


その過程で色々あったけどな……とアイザックさんは疲れた目をしていった。きっと意識はそのときに飛んでると思う。


「じゃあ、ギルドランク1位になったのは…………」

「あぁ、なるようにしてなったんだよ」


アイザックさん、あの頃はたいへんだったなあ……とまた意識が遠くに飛んでいる。


なるようにしてなったとか…………1位目指してるギルドが可哀想…。


「ま、俺からしたらさっきの噂はデマだと思うぜ。どーせデタラメに流れた噂だ。それでも気になるんだったら《エターナル》のやつらに聞けばいい」


じゃあな、と立ち去ろうとするアイザックさんにオレは声をかけた。


「《フェニックス》と《エターナル》ってライバル関係ですよね?なのになんで……」

「別に俺ら、ライバル関係じゃねーぞ?新人どもがそう思ってるだけだ」

「は?」

「ライバルが世話するか?フツー。俺とあいつらは言うならご近所だよ。ご近所なら助け合いするだろ?」

「え?でも…この間、魔闘演武………」

「ああ、アレ?アレは『蒼炎の契約者』そろそろデビューするから相手ヨロシクって」

「凄い仲良し!!」


険悪だと思ってたオレがバカみたいと落ち込んでたらおっさんに肩叩かれた。


…………若者はみんな通る道さ…って早く言えよ!お前たちが言わないから誤解が生まれるんだよ!!


☆~*~★~*~☆~*~★~*~


ちゃんと言えよ!!と叫んで去るフィアを見届けてアイザックは酒を飲む。


「マスター」

「ああん?」


おっさん───ダンはかえってきたジョッキに酒が入ってないことにため息をつくが何時ものことだと気を持ち直す。


「あの話、本当だったんすね」

「お前もデマだと思ってた口か?」


フィアに言った話はある程度ギルド居れば耳にする話だ。

しかし、殆どの者が信じない。

古参メンバーは当時のことを知っているので大体のものは本当だと分かっているが。


「まぁ……強い相手がいるならその人をライバルだと思ったりするのが普通ですから」


ダンの言葉に普通はそうだよなーと同意する。


「でもアイツらは普通じゃないから」


あっさりと断言するアイザックにダンは苦笑した。


「そう言えば、《エターナル》のデマウワサ、マスターも知ってたんすね」

「アレは結構前から流れてるし、流してんのお偉いさんあたりだからなイヤでも耳に入る」


アイツらってほんと男なのに姑みたいに陰湿なことしやがるとアイザックは顔を顰める。


アイザックも好きではない人物のようだ。


「なら当然、《エターナル》のほうにも………」

「だろうな…………」

「何も言わないんですか?」

「言ってねぇよ」


アイザックはダンのように『聖炎の覇者』───レオに言ったことを思い出す。

あの時、レオは忙しかったこともあってかめんどくさそうに

『言わせたいやつには言わせておけ』

と投げやりに言っていた。


ダンは驚き、それでいいんすか!?と詰め寄る。


「さぁな、俺がとやかく言う権利はない…………ただ…」


《エターナル》の初期メンバーたちと初めて会ったときのことを思い出す。


建物に足を踏み入れた瞬間、警戒するように自分を見た六対の瞳、その奥で怯えたように見る二対の瞳、そして怯えたものを庇うように殺気をこめて威嚇する瞳。


「アイツらにもいろいろあんだよ…」


アイザックの言葉にダンははぁ…としか返すことが出来なかった。




ちょっとシリアスな感じになっちゃいました…(´・ω・`)


《エターナル》の創設話がちょびっと出てきました!!

何れは全部出してみたいですね〜

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