↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落内円は落ちている  作者: 七風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
188/555

企業案件

 ガブリエルが配信を始めて、しばらく経った頃。


「……これは、どういうことですの?」


 ガブリエルの前に、一通の手紙が置かれていた。


「お店からの手紙だね~」


 ニコラが横から覗き込む。


「ゴールのお店みたいだよぉ~」


「お店?」


「うん」


 ガブリエルは封筒を開く。


「…………」


 しばらく読み進める。


 そして――。


「企業案件ですわ!!」


「……企業案件?」


 マドカが首を傾げた。


「なんか、新しい魔道具?」


「違いますわ!」


 ガブリエルが勢いよく立ち上がる。


「わたくしの配信で、このお店の商品を紹介してほしいそうですの!」


「へぇ」


「つまり宣伝だね~」


「宣伝……」


 マドカがガブリエルを見る。


「ガブちゃん、もうそういうの来るようになったんだ」


「ふふふ」


 ガブリエルが胸を張る。


「人気配信者ですもの!」


「まだ初配信してそんなに経ってないよね?」


「人気が出るのに時間は関係ありませんわ!」


「自分で言うんだ……」


 リゼットが苦笑する。


「それで、どこのお店なの?」


「ゴールにあるお店ですわ」


 ガブリエルが手紙を読む。


「えーっと……『王都帰りの商人が開いた、新しい生活用品の店』……」


「生活用品?」


 ニコラが興味を示す。


「何売ってるの~?」


「魔道具や調理器具、収納用品など……ですわね」


「それ、結構便利そうだね~」


「でしょう?」


 ガブリエルが頷く。


「しかも!」


 手紙の続きを読む。


「『実際に商品を使用していただき、その感想を配信内で紹介していただければ幸いです』……」


「なるほど」


 マドカが頷く。


「ちゃんと使ってから紹介してほしいってことか」


「そうみたいですわ」


「それなら、変な商品じゃなさそうだね~」


 ニコラが笑う。


「お店の人も、ガブちゃんが実際に使った感想を聞いてほしいんじゃないかな~」


「なるほど……」


 ガブリエルは少し考える。


「では、受けますわ!」


「即決?」


「もちろんですわ!」


「でも、王族なんだから、勝手に宣伝して大丈夫なの?」


「そこは問題ありませんわ」


 ガブリエルは得意げに答える。


「わたくし個人の配信ですもの!」


「……まあ、そういうものなのかな」


 マドカは少し考えてから、ニコラを見る。


「ニコラ、こういうのって大丈夫?」


「契約内容をちゃんと確認すればいいと思うよぉ~」


「じゃあ、見てもらおう」


「うん~」


 ニコラが手紙を受け取る。


 しばらく目を通して――。


「問題なさそう」


「本当ですの!?」


「うん。紹介料と、提供してもらえる商品。それと、宣伝内容についても書いてあるね~」


「提供?」


「実際に使う商品を無料でもらえるみたい」


「……!」


 ガブリエルの目が輝いた。


「つまり!」


「うん」


「商品をもらって!」


「うん」


「紹介して!」


「うん」


「さらに報酬までいただける!?」


「そういう契約だね~」


「素晴らしいですわ!」


 ガブリエルが拳を握る。


「配信者というものは、こんなにも素晴らしい職業でしたの!?」


「そこだけ切り取ると危ないよ」


 マドカが呆れる。


「でも、面白そうじゃん」


「マドカ?」


「せっかくだし、お店に行ってみようよ」


「よろしいんですの!?」


「うん。ゴールのお店なら近いし」


「では、決まりですわ!」


 ガブリエルが勢いよく立ち上がった。


「初めての企業案件!」


「なんか楽しそうだね~」


「ニコラも来てくださいまし!」


「私も?」


「ええ!」


 ガブリエルは満面の笑みを浮かべる。


「魔道具のことを聞かれたら、わたくしでは答えられませんもの!」


「そこは私を利用するんだね~」


「もちろんですわ!」


「まあ、いいけど~」


 こうして。


 ガブリエルの初めての企業案件は、ゴールにある一軒の店から始まることになった。


 そして数日後。


「皆様ー!」


 配信画面にガブリエルが映る。


「本日は、ゴールにあるこちらのお店へ来ておりますわ!」


 その隣にはニコラ。


「今日はお店の紹介だよぉ~」


「なんと、わたくしが実際に商品を使ってみますの!」


「まずはこれだね~」


 ニコラが商品を持ち上げる。


「家庭用の収納魔道具」


「こちら、なんと――」


 ガブリエルがカメラへ向かって商品を見せる。


「お片付けが苦手な方でも、簡単に収納できるそうですわ!」


「ガブちゃん、そういう人なの?」


「…………」


 ガブリエルが止まる。


「今のは聞かなかったことにしてくださいまし」


「コメント欄、めっちゃ笑ってるよぉ~」


「ニコラさん!」


「はいはい~」


 そんな二人のやり取りを見ながら、店主は笑っていた。


 自分の店の商品が、こんな形で紹介される。


 思っていた以上に楽しい。


 そして――。


 配信終了後。


「……思ったより人が来ましたね」


 店主が呟く。


「ええ」


 店員も驚いた顔をする。


「さっき紹介した収納魔道具、問い合わせが何件も来ています」


「…………」


 二人は顔を見合わせた。


「……またお願いしてみるか?」


「次の商品も?」


「ああ」


 こうして。


 ゴールの商人たちは、少しずつ学んでいくことになる。


 ガブリエルの配信は。


 ただの王族のお遊びではない。


 **ちゃんと商売になる。**


 そしてガブリエル本人は――。


「次の案件は何ですの!?」


 完全に楽しみ始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。