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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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4/10 二話目

「魅了?」



 オーロは驚いた様子だけど、そこには嫌悪なども何もなくてほっとする。魅了の力って人によっては忌避されるようなものだから。

 オーロが嫌がったら少しだけ悲しくなっただろうから。



「ええ。今は基本的に道具を使っているし、制御も出来るようになったけれど幼い頃ってそうじゃなかったの」



 そう、私は産まれながらに魅了の力を持ち合わせていた。魔力量も多くて、なんというか私の魔力に惑わされる人って多かったらしい。それこそ私が覚えていないようなうんと小さい頃は、数え切れないほど誘拐未遂があっただとか……。




 対処していたはずなのに、連れ攫われて閉じ込められそうになったこともある。あれはそう、五歳の時だっただろうか。



 護衛騎士の一人が魅了にやられて、私のことを自分の娘として大切に閉じ込めてしまおうとしていたのだ。私は魅了の力があるので、その当時は基本的に周りは同性で囲まれていることが多かった。良くしてもらっていた護衛騎士の女性が私を攫ったのだからショックだった。



「そうなのね……。だからヴィオは人前にあまり出なかったのね?」

「そうよ。小さな頃は他の兄妹たちがお茶会などに行くのも羨ましかった。ちょっとでも私が笑ったら、攫おうとする人もいたし……。今考えると私のことを守るためのことだったのだけど、あまり自由もなくて家族に対する反発もあったわ」

「ええ? 信じられないわ」



 それはそうだろう、今の私を見ていたら家族に対して複雑な感情を抱いていたなどとは思いもしないと思う。




 なかなか外に出てはいけなくて、あまりにも人に笑いかけると攫われてしまうって咎められて。

 王族なんていう地位にあるのに、自由に出来ることなんてなかなかなかった。私はそのことがもどかしくて、嫌な気持ちでいっぱいになっていた。それに魅了の力に影響されて、おかしくなる人を見るのも気分がよくなかった。


 私がそう言う力を持っているからと、人生が狂った人もいた。そう思うと、特に子供の頃は気が重かった。




「小さな頃の私はなるべく無表情で居ようって心がけていて、下手に周りを刺激しないようにしていたの。その頃の私を見たら、オーロはきっと驚くと思うわ」

「そうね。想像が全く出来ないわ。今のあなたが、笑えるようになっていて良かった」



 オーロはそう言って優しい笑顔を浮かべている。私のことを思いやってくれているオーロに嬉しくなった。



「今の私が居るの、オーロの影響もあるんだよ?」

「私の影響?」

「ええ。だって私、魅了の力の影響で幼い頃はずっと閉じこもって生きていたの。いざ、人と会っても問題なくなっても、色んなことを考えて足踏みしてしまったりしていたわ。それに……その頃に会った高位貴族の子供が私の力を恐れている人だったし。私みたいな存在が王太子であるお兄様の傍に居るべきじゃないって面と向かっていってきた子もいたのよ?」




 ただの貴族の子供が王族に対してそんな口を聞くのも今考えればおかしい話だ。ただあの頃の私って、王家にとってお荷物だと一部から思われていたのは確かだったのだと思う。

 明確な悪意があったかどうかと言えば、違うとは思う。




 ただ王太子である兄に気に入られたいというその気持ちでいっぱいだったから、ただ良かれと思って行動したのだろう。あとはその子の両親が中々人前にも出れず、政略結婚の駒にもなれない王女だと私のことを侮っていたから。

 当然のことながら、元々王太子の側近候補だったその子供はもう既にその立場は失っている。私にそんなことを言ったからと家族は怒っていたから。




 ……あの当時って、私は可愛げのない子供ではあった。ずっと表情を変えないようにって思っていたせいで素直に感情を出す方法が分かっていなかった。




「王族にそんなことを言うなんて、命知らずだわ……」

「そうよね。私もそう思うわ。私はね、凄く人と関わることに慣れていなくて、友達なんて出来ないだろうなと思っていたの。でもオーロが私と秘密の文通友達になってくれた。私にも友達が出来るんだって嬉しかった」



 私がどれだけ嬉しかったかって、言葉にしただけでは伝わらないかもしれない。



 それに家族との接し方も、幼い頃は分からない部分もあった。兄妹たちは魅了の力を持つ私にどう接したらいいか分からなかったって言っていたもの。考えてみればそれも当然で、私のお姉様とお兄様達って思慮深いから、子供ながらに魅了の力を持つ私のことを思って色々考えてしまっていたみたい。

 それでどう接したらいいか互いに分からなくなっていて、気まずい時もあった。




 そんなときに二歳年上のオーロと仲良くなった。オーロと文通をすることで、私は人付き合いに少しだけ自信が持てた。

 手紙の中で家族との関係も書いたことはあった。オーロがくれた助言のおかげで、行動出来た部分もあったと思う。それに、初めての友達との文通があまりにも楽しくて、自然と笑顔も増えていったと思う。



「オーロと手紙のやりとりをしていなかったら、私もっと暗かったかもしれない。出会わなくても少しずつ私は今の私になったかもしれないけれど、明確に私が良い方に変化したのって、オーロの影響が大きいの」

「そう、なのね。……もしかして眼鏡をかけているのって、魅了の効果を薄めるため?」

「うん。そう。私が直接じーっと人を見つめると、無意識に魅了の力が漏れ出したりしてしまうの。この眼鏡にはその力を遮断する効果があるのよ。今はね、眼鏡がなくても制御出来たりもするけれど、不意に力が漏れたら大変でしょ。だから基本的に眼鏡はかけておくことにしているの」



 私はオーロの言葉にそう答えた。


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