11
「ヴィオ、私はここを弄ったらもう少し威力が増すと思うわ。あくまで小競り合いのための魔法だから、殺傷能力は控えめにしていいと思うのよね。私は現場を見ていないけれども、互いに死者が出るのを避けたい状況であっているかしら?」
「ふふっ、オーロは頭が回るわよね。その通りよ。私たちが生み出さなければならないのは、死者は出さない方がありがたいわ。互いの国がやっているのは、あくまで戦争ではなくちょっとしたやり合いでしかないの」
世の中にはそういうことを分からずに暴走してしまう人だっていなくもない。そう言う人たちって両国に悪影響を与えたりもしてしまうから困ったものなの。
だってそう言う時勢を読むことなく、好き勝手やられたら大変なのよ? 前に殺傷能力が高い魔法を生み出そうとした研究職も居たわ。成り上がりたいって気持ちを感じて仕方がなかったみたい。
あとは王族に無理に近づこうとする者も居なくもない。功を焦って、その結果、大惨事を引き起こす存在だって私は見たことがある。とはいえ、私にはあまりそういった存在が近づいてくることはまずないけれど。
お父様達が私の元へ辿り着く前に対処してくださっている。私は社交界にも全然顔を出していないから、煩わしい存在とはまず関わってこなかった。
「考えればすぐに分かることだわ。だから私が考えているのは嫌がらせ特化のものね。命を奪うのには至らないけれど、受けた側からしたらたまったものじゃないものを作るのがありかな……って。ああ、でもあまりにもやりすぎてしまったら両国の状態が変わってしまうかしら」
「そうかもしれないけれど、まずは改良してみるのはありだと思うわ。私はあなたの提案したものを実際に作ってみたい」
私は思わずそう言った。
魔法を研究するための費用は多めにいただいている。それは私の所属している部署がきちんと結果を出しているからもあるだろう。小競り合いのための魔法ばかりが目立つけれど他の魔法の研究も進めているしね。国内で国民達の使っている道具の改良も着々と進めていたりもする。
名前は公表されていないけれど、私達の頑張りで改良されたこととかは新聞などにも書かれていたりするの。
私が名前が広まらなくていいかなと思っていたのは、王族であるため権力でゴリ押ししたと勘違いされ好き勝手噂されるのも想像出来たから。他の社交界によく顔を出している面々は、あることないこと噂されたりしていることも知っている。
ちょっとした行動を大げさに取られてしまったり、善行を悪いように広められてしまったり――そんなことがあったりする。もちろん、実害があるぐらいに広まっていたら対応がされるけれど、いちいち全てを対処できるほど騎士達も暇ではない。
私も、表舞台に久しぶりに出たら色々言われるんだろうな。それもオーロのことを連れていたら、あることないこと、余計なお世話なことを言う人もいるだろうな。
それを理解した上で、私はオーロの味方で居ると決めたのだけど。
「なら、早速やってみていいかしら?」
「ええ」
私は頷きながら、嬉しくなって頬が緩む。だって、大好きな友人と一緒に魔法の改良が出来るのが嬉しくて仕方がない。
「ヴィオって、可愛いわね」
「え? どうしたの、突然?」
急に可愛いなんて言われて驚く。
「だって私と一緒に何かが出来るのが嬉しいって、にこにこしているのだもの。そういうところがヴィオが周りから可愛がられる理由なんだろうなって」
「嬉しいもの。あ、でも流石に王女として人前に立つ時は、もう少しきちんとしているからね!」
オーロに可愛いって言われるのも悪い気はしない。それにオーロが嬉しそうで、私も嬉しくなる。ただオーロに私がちゃんとしていない子だって思われるのも嫌なので、そう口にしておく。
私は数少ないけれど、王女として人前に立つこともないわけじゃない。
基本的には好きにさせてもらっているし、社交の場にも全然出ないけれど、どうしても王女として誰かと接することはあるもの。そういう時は、私も表情がころころ変わってしまわないように気を付けている。完全に、プライベートの場だと私は感情が出やすいほうだけど。
「そうなの? そう言う場面でのヴィオを見るのも楽しそうね」
「社交界に出る際は一緒だから、幾らでも見れるわ。少しだけ照れくさいけれど……。オーロも社交界の場では普段と違うのかしら?」
「……どう、なのかしら。私は社交界デビューしてすぐに嫁ぐことになって、結婚後は全然外に出してもらえなかったから。でも周りから見ると普段とは違う様子は見られるかも?」
オーロの話を聞きながらやっぱり彼女の元夫はろくでもないなと改めて思った。社交界デビューしてすぐの年下の子を囲って、切り捨てようとするなんて客観的に見ても最低だと思うわ。私がオーロのことを大切な友人だと思っているからこそ、そう思ってしまうだけかもしれないが。
それにしても社交界デビューしたころのオーロは、きっと今よりも初々しくて可愛かったんだろうな。今のオーロは綺麗で、素敵。めいいっぱい着飾らせたいななんてそんな願望も芽生える。
だって大好きな友達を着飾らせるのってきっと楽しいもの。
「それも楽しみだわ! オーロの身に纏うドレスやアクセサリーは私が用意するからね」
私がそう言うと、オーロは少し遠慮してきたけど押し切った。
その後は、オーロと一緒に魔法の改良を一生懸命頑張ったのであった。




