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あそこの山小屋が、私の家なの♡

亥・子の章、更新いたしました。

 森を抜け元の街道のメリーナ達が戻ると、バサラの指示通り、そこには犬人族の姿はなく一行はセゴクメドウへの最後の峠へと向かって行った。


「うわ~!街が一望できるのね。素敵な街じゃない」

馬上でエスターテが、昼下がりの峠のその向こうに広がる湖とその湖畔に連なる高級そうな別荘群を見渡しながら関心ていると、前にいるメリーナがため息交じりに後ろを振り向きながら、エスターテに言葉を返す。

「違うの本当の住民の村里は湖の下手にある、あの集落なの」

メリーナが指差す方向には別荘群とはあまりにも落差のある民家が立ち並んでいる場所だった。

「え、あそこなの・・」

「一応、商店も有るし、ギルドの出張所もあるんだよ」

「そうなんだ。じゃあ、あそこにメリーナの実家も有るの?」

その言葉にメリーナは首を振りながら別の場所を指差した。

「あそこの山小屋が、私の家なの♡」

向かい側にある高原の中腹に一軒だけ見えている炭焼き小屋の様な家をメリーナは指差していた。


「ほう、あそこですか?バサラ、あの家の住人が、今どの様な状態でいるか判るか?」

サンテラが、バサラに問いかける。

「え、あの家は無人だったはずですが?あの家は街から離れていましたから、たまたま何度か立ち寄っていたんです」

「無人って・・」

メリーナは目を丸くして驚き、少しうつ向いてしまった。

「鼠め。何かしやがったな!」

シンダラが悔しそうに叫ぶと、アニラが今度はメキーラに問いかける。

「何か、役に立ちそうな街の情報はないの?連絡係だったんだろ」

「え、私は街道の監視と連絡だけが直接任務だったし・・正直、鼠とは苦手というか関わりたくないと思ってたんですよ」

メキーラが嫌そうな顔で答えると、すぐさまバサラも同意する。

「あいつは、たしかに街の乗っ取りの達人だけど、わたしも余り関わりたくなかったのですよね」

サンテラは少し考えながら口を開く。

「わたしは、蛇や鼠が乗っ取った後の街の運営が仕事だったからな・・」


「結局、あなた達は街の内情をまるで知らないって事じゃない」

元十二魔将たちの会話にエスターテが呆れた様に言い放った。

「鼠がどういった手段で街を乗っ取るのかは、大体見当は付いているんだよ。ただ本来は、見た目はそのままで変化など感じられないはず。だから無人になった家がある事の方が想定外なのよ」

サンテラがエスターテにわかりやすく現状を説明する。

「それは、メリーナの家だけ何か有ったって事じゃない」

エスターテが苛立った表情で言い返すと、メリーナは顔を上げシンダラに向かって口を開く。

「お願い、雲を使ってわたしを家まで連れて行って」

メリーナの真剣な表情にシンダラは即座にうなずくと少し笑いながら即答する。

「そう言ってくれると思ってたよ。一緒に確認してみようぜ」


皆を峠で待機させると、メリーナはシンダラの背におぶさると雲にのり実家に向かって飛び立っていった。




お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。


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