抱きついたままでいさせて♡
申・鳥・戌の章、更新いたしました。
バサラは夢中になって弁当を食べ終え、ふと周りを見渡すと、かつての仲間だった十二魔将四人とメリーナとそしてもう一人に囲まれ眺められている事実に気が付く。
「あ、話し合いでしたよね」
ひきつった笑いを見せながらバサラはみんなに問いかける。
「本当に可愛い~ぃ♡」
メリーナの横にいる少女、エスターテが声を上げメリーナの手を取りながら共に歓声をあげあう。
「へっ?」
バサラは状況が呑み込めずにキョロキョロと周りを見渡すと、四人の元十二魔将から嫉妬のこもった目線が自分に向けられていた。
「話し合いですよね・・」
状況がわからないままバサラは、一番年上のサンテラに助けを求める様に問い直す。
「・・お前の処遇についての話し合いだったんだが、あるじ達は多分お前を仲間にする事が決定事項になっている様子だぞ」
少し羨ましそうにサンテラが答える。
「え・・、話し合いは無くなったんですか?わたしは、総帥には忠義を誓っているんですよ!わたしの意見は聞き入れてもらえないんですか?」
バサラは絶望した様な表情を見せ少しずつ後ずさっていく。
「そんなことないよ!ちゃんと話し合うから安心して!」
メリーナがあわてて声をかける。
「怖くない、怖くないよ」
隣りでエスターテが迷子の子供を諭す様にささやくような声をだす。その様子にバサラは増々身の危険を感じ取ってしまう。
(総帥、わたしはここ迄かもしれません・・)
バサラは天を仰ぐと、六人の自分に向けられた何とも言えないプレッシャーに、とうとうその場にへたり込んでしまっていた。
暫くして、バサラは我に返ると自分の目の前に「自分」がいて優しく微笑んでいた。
「話し合いは・・?したよね?あれ?あの子に抱きつかれたよね?あれ・・?」
光り輝く目の前の自分がゆっくりと金髪の少女に変わっていく。
「メリーナさん?」
「もう少し・・抱きついたままでいさせて♡」
メリーナはそう言うと再び抱きつき、鼻を近づけ匂いを嗅ぎながら幸せそうな表情を見せていた。
(あぁ~、わたしは総帥のところには戻れなくなったんだ・・)
そんな考えがよぎりながらも、自分がもっていた総帥への忠誠心が薄れてゆき、目の前の少女が凄く愛らしく感じ始めていた。
「まあ実際、可愛いんだけど・・」
メリーナに聞こえないくらいの小声でバサラはつぶやいていた。
「バーちゃん、お風呂に入ろうよ」
猿人達が温泉からあがると、待ちかねたようにエスターテがバサラを引っ張て行く。
「え~、エスちゃん。わたしも付いて行く!」
エスターテのお気に入りとかしたバサラを追いかけてメリーナも後を追う。
その様子を見つめながらシンダラが腕を組みながら、他の三人に声をかける。
「バサラの奴が羨ましいけど、なんか羨ましくないんだよな」
その矛盾した物言いにサンテラ、アニラ、メーキラは、共に頷きあっていた。
お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
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