表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第八章 ターニングポイント
394/402

狂喜勇気分岐

<勇者>視点たくさん


章の最後の方では<魔王>視点もあります

「時間がどれほどあるかわからない!メーノ!すぐに<ダンジョン>の入り口を囲うよう<結界>と、薬品を揃えてくれ!」

「はいはい!」

「シート!索敵と時間稼ぎを!」

「わかりました!」



 これでまずここの安全は確保できる。次は<ダンジョン>だ。



「カミラ!この<ダンジョン>のマップを作ってくれ!名前は二の次でいい!」

「はい!」

「なあソルス、俺は?」

「今はやることがない」

「えっ」

「その代わり、俺が潜っている間一番大変なのはマイゲスだ。今のうちにウォーミングアップでもしていたらいい」



 軽く笑みを浮かべマイゲスに返す。俺も準備をしなくては。



<インベントリ>から<ヒールポーション>を出して体で割る。これは粗悪品だから、このタイミングで使ってしまって構わない。



 ...さっきまでのヒリヒリする感触が、嘘のように消えた。これで体力面は大丈夫。



 MPは、うん、問題ない。これなら<瞑想>する必要もなさそうだ。



「...ああ、大体理解した。ソルスが戻ってくるまでここで待ってろってことか」

「そういうことだ。メーノとシートがいるからそこまで問題はないかもしれないが...」

「いや問題大有りだ。俺ぁ壁役(タンク)じゃねえんだぞ、ヘイトは全部俺に向く、少しはいなせるだろうが、全部は無理だぞ」

「わかっている。可能な限り早く済ませる」

「頼んだぜ、振り回されるのは俺らなんだからな」



 ...とりあえず準備はできた。あとは...



「はい、薬!」

「おっと、ありがとうメーノ!」

「礼は後!早く行きなさい!」



 投げられた小包からすぐにステータス上昇系の<ポーション>を手に取り、全て飲み干す。



 5本同時。まあ慣れたものだ。



「ほんと、なんで一気に飲めんだよ。いつか体壊すぞ」

「大丈夫だ、日常的に飲むことで体を慣らしているからな」

「いや全然大丈夫じゃねえって」



 いつも安価な<ヒールポーション>を水筒に入れて飲んでいるから、これくらいどうということはない。



 味が混ざり混ざって変なものになっているが、まあこれも慣れたものだ。流石に5本は急いでいる時だけだが。



「ソルス!マップの写しです!」

「よし、行ってくる!」

「行ってらっしゃい!!」



 3枚の紙を持ってすぐに<ダンジョン>へ入る。



 ...誰かはわからないが、無事でいてくれよ...



「...行ったな、あいつ」

「...あ.......」

「ん、どうした?」

「えっと、<ダンジョン>の名前が...」



 ============================================



 ふんふん、なるほどなるほど。



 "3層構造のようですね"

「みたいだな」



 しかも、攻略するだけなら一直線だが、おそらく戦闘不能になったであろう者、あるいは死体を回収・救助に向かった場合、一度3層目に行った後一度1層目に戻って再度3層目に向かわないといけない。それも別ルートでだ。



「同じルートなら、湧きつぶしで対処もできるが...と」



 気配。一本道であるために気配の探知はしやすい。



 足音がする。2足歩行、未警戒状態ではそこまで足は早くない...



 ...隠れるか。



<インビジブルポーション>。服用すれば1分ほど周囲に溶け込める。



(さて、何が出てくる...?)



 腰のベルトから取って飲み、内側の壁に張り付く。まずは姿の確認だ。





 コッ...コッ...コッ...



 ...なるほど、透明か。



 足音はする。気配もする。だが姿が見えない。



 音だけで言えば、今奴は曲がり角にいるはずだが。



 足元に足跡などは...ないか。綺麗な装飾が施された石畳だから、砂埃も舞っていない。



 どうする?モタモタしていると<インビジブルポーション>の効果が切れてしまう。



 コッ.........



 む、足音が...まず



 バシッ!!



 何かの攻撃。音からして、壁にぶつかったのはおそらく触手か何か。



 武器の音ではない。となると人型の線も怪しいか?



 なんとかしゃがむことで避けれたが...いや、反撃はもうこのタイミングしかない!



 立ち上がる力を利用し、左斜め下から右斜め上への切り上げ。深い傷は与えられないかもしれないが、当たりはするはずだ。



 ヌッ



「何?」



 なんだ、この感触は。水か、違うもっと粘性の高い液体を斬っている感触がする。



 本当に、魔獣なのか...?だがまだ透明の<スライム>という線があるな。確か周囲に擬態できる<スライム>がいたはずだ。



 しかしそうだったとして、俺は透明化対策の<ホロ・スコープ>を持ってきていない。今この状況で戦うのは、あまり良い判断とは言えないな。



 ならやることは一つだ。



 "逃げる、ですね"



 すぐに駆け出す。後ろは意味をなさないから、前へと進む。



 コッコッコッ



 足音は後ろからのみ。よく考えてみれば、<スライム>がどうやってこの硬い音を出すのだろうか。



 靴か?いやなぜ靴をはく?そもそも透明であるのだから音は出ないほうがいい。わざわざ靴を履く理由もないだろう、<スライム>なら這いずることで音も出ないし尚更だ。



 ではやはり、あれは<スライム>ではない。俺の人型という予想の方が正しい可能性がある。



 と、前から足音。



 コッコッコッ



 別個体か、同個体か。瞬間移動できるのであれば同個体だが...



 コッコッコッ



 いや別個体だ。後ろから音がする。同個体だったとしても、後ろが別個体になる。



 つまりどちらにせよ、挟み撃ちになっている。どうする?



 透明化...その強い点はやはり見えなくなること。人間は周囲の確認をほとんど視界に頼っているから、それだけで奇襲できる。


 だからこそ対抗策がある訳だが…いや、今の状況は透明でなくとも不利だ。



「<輝剣>」



 鞘に1度しまい、高速で引き抜くことで光を発生させ目をくらませる<魔技>。



 強い光は俺の方にも来るが、その一瞬目を瞑ればかなり軽減できる。



 正面の敵を壁沿いを走ることで抜け、さらに奥へ。



 この先に分かれ道がある。それを右に進めばひとまず階段があるはずだ。



 問題は、



 コッコッコッ



 足音が増えていること。さっき目潰ししたはずなのに、もう後ろに2体。追ってきている。



 階層を守るボスはこちらにいない。速度は...音の大きさからして、あちらの方が速い。全力で走っている訳では無いが、実力の無さを実感する。



 と、ここを右。足音は...



 ...コッ...コッ...コッ



 遠くに1体分。ならまだ...



 ...コココッ



 いや潜伏か!



 シュッ



 敵の攻撃。反応が間に合ってスライディングで回避。横で助かった。



 すぐに立ち上がって走る。今度は全力疾走。



 3体同時は絶対に無理だ。ここは撒くしかない。



 だが今度は目の前に1体。さっきから前方の足音がない、その場から動いていないだろうが、詳しい位置を把握してはいない。



 さっきはまだ見当がついた。今はついていない。攻撃の回避がかなり困難になるくらいには、大きな違いだ。



 全力疾走中は簡単な攻撃や回避行動は取れても投擲などはできない。だからって止まれば後ろに追いつかれる。



 横なぎをすれば当たるだろう。事実、1回当たった。だがあの感覚からして<魔法属性>の付与された攻撃でないとまともにダメージは無い。



 ...こうなったら、覚悟を決めるしかない。



 腰に吊るしてある<ポーション>、その中から鈍色の物を取る。



<メタルポーション>。服用すれば数秒間、ダメージがかなり減る。



 それを腹にぶつけて叩き割る。少し痛いが、これで服用できた。



 あとは我慢するd



 バシィィ!



「っあ!!」



 かなり痛いな...!予想通り、触手の類か!



 でもこれで突破できた。階層と階層の間に位置する階段は基本安全だから、これで一息つける。



 ただし、基本的に、だが。

階層分はありますよ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ