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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第八章 ターニングポイント
393/402

救助→訴訟

すみません、ちょっとレベル上げしてました。

  <インベントリ>から諸々の装備を取り出し、2秒で装着。



「カミラ!皆を!」

「はい!」



 ダッシュで煙の上がっている場所へ。



 どうやら他の人も走って向かっているみたいだ。俺と並行して走っているのは、2人。



 ...場所はそう遠くない。救難信号のある場所は何もない平野だ。



 だけどそれは1週間前の情報、あそこには特殊な<イベント>もなかったはずだから、おそらくは...



「..着いた。大丈夫ですか!」

「何があった!」

「って、こいつは...」






「あ、あ、き、きてくださったんですね!」



 そこにあったのは、2つ。



 女の子、そして<ダンジョン>の入り口。



 やはりここには<ダンジョン>が生まれていたか。



「状況は?」

「え、と。その、仲間が入ったら入れなくなって...」



 <ダンジョン>の入り口を見る。今は閉まってないようだが。



「<制限>だな。それも<入場制限>か」



 <入場制限>、<ダンジョン>に同時に入れる人数を制限するもの。



 規定人数に到達すると<ダンジョン>の入り口が封鎖、中の人間が探索不可能になった時点で入り口が開放される。



「何人入ったんだ?」

「その、えっと、1人です...」

「1人か...1人!?」



 少ないな...さすがマウ国だ。



「ここまでくる奴が探索不可能になるって考えれば、ここはそれ相応の難易度ってことになるな」



 1人。普通は救助は難しいだろう。



 なぜなら、<ダンジョン>攻略において単独と複数人では雲泥の差があるから。



 対応できること、<インベントリ>の総量などなど。



「...まあ、今回は諦めてくれ。命は軽いが、惜しいもんだ」

「そ、そんな...」



 だから普通はこうなる。



「いや、俺が行こう」

「うーわ正気かよ」



 俺は、普通ではないからこうする。



「皆さんは、彼女を。1人では辛いかもしれないので」

「お、おう...お前も気をつけろよ」

「もちろん」



 他の2人に女性を任せる。救難信号を見て軽い準備だけで向かった同士、ある程度の信用はできる。



 だが、問題はこれからだ。



 このまま<ダンジョン>には向かえない。あまりにも軽装すぎる。



 少し準備が必要だが、そのためにはカミラ達が居ないといけない。



 ...ウォーミングアップでもしていよう。今は寝起き、体はあまり動かないはず。



 脚を伸ばし、腕をほぐし、体の調子を整えていく。起きてすぐの固い体では運動は辛いものだ。



 そのためのウォーミングアップ、これからひとりで()()()()()()いけない以上、それも程々に終えなければ。



 首、肩、腰を鳴らしながらまわし、背中を思い切り伸ばして...



「っ...あぁっ!」



 バキィ!



 最後に腕を振り下ろし、魔獣を殴る。もう来たか、やはりここらの魔獣は速いな。



 "お見事"

「これくらい造作も、ない!」



 聖剣を抜いてそのまま1体に切りつける。



 樹木...<ブラストレント>に似ているが、違う。こいつは<ケルトレント>。



 木なのに犬のように走って追ってくる、速攻型の魔獣だ。強い上に狩ったとしてもあまりいい素材を落とさないため、俺たちのように毎日魔獣を狩る人間からは嫌われている。




「こいつだけか?」

 "増援、きます"

「やはりか」



 ここは<生存不可区域>ではないが、それに少し近い場所。最近生まれた<生存不可区域>である<永久焦土>の湧き率が少し影響しているのか、かなりの頻度で湧いてくる。



 ...増援は、1、2、3、4、5。そも最後の魔獣を殺してからほぼすぐに湧くことが普通あり得ないのだが、同時に5体湧くことがもっとあり得ない。あいつら群体型じゃないはずなんだが。



 "<キラービィー>、鋭い毒針を刺してくる昆虫型の魔獣です"

「あいつらは普通単独行動じゃなかったか?」

 "はい、記憶が正しければ。色は異なりますが、形状はそれとほぼ合致します"



 となると<変異>の可能性が出てくる。あの数とまともにやりあうのは悪手か。


「ふん!!」



 即刻<インベントリ>から投げナイフを取り出し、投げる。



 最近使うことが少なかったが、やはりこういう時には便利だ。



 投げたナイフは放物線を描き、吸い込まれるように<キラービィー>に突き刺さる。



 ...だが、<キラービィー>は脳天に突き刺さるそれをモノともせずに進んでくる。



 通常の場合、<キラービィー>はその高い攻撃性と引き換えに防御力を失っている。あのナイフだけでも再起不能になっているはずだ。



 つまりほぼ確定で、<変異>した魔獣。



「本来の黄色であるはずの体が、黒に染まっている」

 "<色別階級>も相応に上昇しているのでしょう"



 すぐに<インベントリ>から青の<鑑定石>を取り出し、それ越しに奴らを見る。



 低級だが、名前とHP位は視えるはずだ。



 ーーーーーーーーーーーー


<テラービィー>


 3999/4021


 ーーーーーーーーーーーー



 なるほど、<テラービィー>か。黒色は恐怖の象徴でもある。



「しかも<撃属性>に対しての耐性か...なら、<魔刃>ならどうだ」



 飛ぶ刃は<テラービィー>へ真っ直ぐ飛ぶ。避けるつもりは、なさそうだな。



 バシッ!グシャッ!



 命中した1体は問題なく吹き飛んだ。やはり、<撃属性>に対し耐性ができている代わりにそれ以外の属性に対して弱くなっている。耐性が反転しているとも言えるか?<キラービィー>は<魔刃>がほぼ効かない



「となればこれでいい...<魔刃乱舞>!」



 単純に<魔刃>を複数飛ばす<魔技>だが、同じ数だけ<魔刃>を使用した場合よりも若干MPの消費量が少ない。



 ...だが、やはりここはセルエル(南東)。魔獣の強さが桁違いだ。



 全ての<魔刃>を避けている。初見ではない攻撃は見切られると考えていいだろう。



「...なら」



 ダッシュして近づく。本来は悪手だが、すでに遠距離攻撃のストックはない。遠距離攻撃はシートとメーノに任せているから、俺自身は通常時に限って言えば最低限しか持ってこない。



 なので、俺に残されているのはもう近接攻撃しかない。



「狙うは、回避」



 一瞬で、目の前に辿り着く。あちらも俺がくることがわかっていたのか、すでに攻撃の体勢が整っている。



「っ!」



<キラービィー>は元より攻撃速度がかなり速く、遠距離戦によって突破するのが定石になっていた。それはこいつらも変わらないらしい。



 3体の同時攻撃。俺が見えない速度で。



 さすがに、避けるのに必死になってしまう。<直前回避(ジャストドッジ)>も発動できなかった。



 しかし後1体いる。



「ここでっ!」



<直前回避>を発動。回避後の体勢で腹を上にし反っているためかなり回避が困難な状況だが、そもそも回避できなければ死ぬだけだ。



 ...集中。



<テラービィー>の攻撃。針のついた尻を一直線に突き出してくる。



 その速度は<キラービィー>以上。さっきの3体同時攻撃は、避けられただけ奇跡なのかもしれない。



 ...学ぶのはお前らだけではない。俺も学ぶ。



 こいつらの攻撃は、速度があるだけで単調。攻撃してくることさえ予測できれば...



 俺の剥き出しの腹に攻撃を仕掛けてきた<テラービィー>。それを、片手で地面を掴んで体を45度動かす。



 普通ならできない。だが、<直前回避>で得られる2つの<瞬間強化(ステプラス)>によって成し得ることができる。



 そしてこのギリギリの回避によって<直前回避>が成立。俺自身がとても速くなる。



 ...剣を握りしめ、周囲の<テラービィー>へ連続攻撃。今の俺の速度は、奴らの攻撃速度より速い。



「<炎撃(カサス)>」



 しっかりと首を狙い、5体に対して合計10回の斬撃。<炎撃>であれば2回で済むだろう。



 直前回避が終了し、俺自身の時間加速が終わる。



 同時にバラバラになった<テラービィー>。返り血は断面が燃えているため出てこない。



「増援は」

 ”そろそろ湧く頃ですね”



 スタミナは問題ない。まだ戦える...



「おーいソルス!!」




 ...が、その必要はなさそうだ。

目指せ筋力99(なお2つ)

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