表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
390/402

タイトルが思いつかない病

もうそろそろエピローグ

「...ヴルトゥーム、と言ったか。お前は信用できるのか?まるで取り入っている様にも見えるんだが」



 アンジェリアさんから飛んでくるごもっともな質問。



 だって、数日前まで敵だったんだからね。



「信用しようがしまいが、こいつと共に行動するのならお前は俺との関わりを避けることはできない」

「神話生物だからね」

「私としては、神話生物だからという理由で信用することは無理な話なんだが...」



 それはそう。というか、無理。



「わかる。だからアンジェリアさんには僕の考えを少し話そうかなって」

「考え?」



 眼前の圧倒的恐怖を信用する、なんて。どう考えてもできっこない。



 そこにいるのはさっきまで戦っていた相手、自分を殺そうとしていた存在。



 考えるだけで、狂ってしまいそうだ。



「僕は、基本的に神話生物を信用していません」

「え、そうなんですか?」

「うん。だからメェーちゃんであってもショゴスであっても信用してないよ」



 ショゴスに関しては前科もあるし。ただなかったところで信用はしない。



 なぜなら



「神話生物だからね」

「待て待て。じゃあなぜ命を預けられる?私が君を見ている限り、少なくとも2度神話生物の力で助かっているだろう」

「単純な理由ですよ。僕は信用せずとも信仰しているからです」



 根本的には信用していない。あらゆる神話生物の行動に対しては、必ず裏に何かある可能性を警戒している。



 無意識に。あるいは自分からそういうことを考えないようにしているかもしれない。



「信仰って...」

「なのでまあ、アンジェリアさんも神話生物を信仰しませんか?今なら特別に」

「いや、やめておこう」



 えー、そんな。



「だが...かなりの危険を犯して教えてくれたからな。少し助言をしよう」

「助言?」

「ああ。と言っても何ができるのかわからないからな、何か困っていることとかあったりするか?」



 困っていること?



 うーん、特にはなかった様な気がするけど...



「ありますよ」

「え、あったっけ」

「はい。ここ最近ずっと忙しく、そのせいで何一つやっていないことが」



 ============================================



「...ここ最近、<魔王>について聞かなくなったわね」

「残っている俺と君が覚醒していないからな。鳴りを潜めているらしい」



 最後に<魔王>と戦ったのは、2ヶ月は前か。



 いや、あるいは1ヶ月前だな。ヌトが確実に神話生物...ヌトス=クァンブルであることを考えると、<魔王>からの刺客と戦ったとも言える。



「司祭様はなんて言ってきた?」

「特には。ただ、少し焦ってた」

「焦り?」



 どういうことだ?<魔王>が現れていないのなら平和であると言えるはずだが...



「多分<魔王>をもっと早く倒したいんじゃない?その方が真の平和に近づくでしょ?」

「...ああ、そうだな」



 ともかく、俺たちは俺たちのやることをやるだけだ。



 鍛錬は足りていない。未だ、ヌトス=クァンブルに勝てるビジョンが見えてこない。



「そういえば、今ってどこに向かっているんだっけ?私、とりあえず朝一で馬車に乗らされたことくらいしか覚えていないのだけど」

「ああ、それはな...」



 ============================================



「<クエスト>か」



 すっかり忘れてたよ。そういえば言われてたね。



 結局なあなあになっている気がするけど。



「夏休みの宿題だろう。出し忘れは極刑だぞ」

「え」



 な、なんてひどい罰だ。ただの宿題忘れじゃないのそれ。



「校長があの人だからねえ」

「あれ、お姉ちゃん?外に出てるって聞いてたけど」

「もう夜だからねえ」



 あら、もうそんな時間だったのか。



 そうしたら...この調子だとエリカさんとキーゴイもいるはずだから、会議ができそうだね。



「ショゴス、リーシャを呼んできて」

「わかりました」



 左腕が分離し地を這う。



「...ふむ。おそらくここからそう遠くない場所にあの国があるはずだ」

「あの国?」

「んー、ああ、マウ国だねえ?」

「そうだ。あそこの<クエスト>ならまず問題ないはずだ」



 マウ国って...確か最南東の<ダンジョン>を囲うようにある国だっけ。



「そうだよお。でもあの国はあ....」

「2度目だが、あの校長だ。確実に簡単な<クエスト>なんかじゃもう一度やれとか言ってくるだろうな」

「クエストが特徴的なの?」

「ああ。あいつにそこの<クエスト>をクリアしたと伝えれば授業を全てカットされるかもしれん」



 なんか特別なのかな。バルバトス校長がそこまですることってなさそうなんだけど。



 僕自身あの人について詳しいことを知っているわけじゃないけど...



「なんたって...たった1つしかないからな」



 ============================================



「<天と地の狭間>は知ってるな?」

「もちろん。世界で1番難しい<ダンジョン>でしょ?クリアされた今でも侵入はマウ国が制限していて、なのに」

「入ったやつで帰ってきたのはクリアした<伝説の20人>だけ、って話だったな」

「...マイゲス、起きてたか」



 だがちょうどいい。目的地について話しておこう。



「もうわかっていると思うが、向かっているのはマウ国だ」

「何をしに行くの?」

「<クエスト>をクリアしに行く」

「<クエスト>?内容はなんだ?」

「<天と地の狭間>をクリアする」

「ん?」



<クエスト>内容は単純だ。最高難易度の<ダンジョン>、<天と地の狭間>をクリアする。



「え、それマウ国が止めるんじゃ...」

「止めていないぞ。あの<ダンジョン>に入るための唯一の扉だ」

「なるほどな、そこでふるいにかけてるのか」



 これをクリアできれば、俺たち<勇者>はかなり強くなったと言えるだろう。



 ...そのためには、かなりの人数を集めなくてはだが。



「その<クエスト>クリアできる算段はあるの?」

「カミラに作戦を立ててもらっている。着く頃にはできているだろう」



 準備はマウ国でできる。あとは事故などが起きないよう祈るだけだな。

何も思いつかなくなる今日この頃

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ