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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
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ヴルトゥーム「私の影薄くないか?」

注:このお話は少し色欲強めです。苦手な方は読み飛ばしてください。一応次話の最初に要約した内容を記す予定です。



すみません、戦闘が大好きな友人に話を聞いてきたもので、遅れてしまいました。

「自分の話?」

「そう。この場所はあなたのナカなんだから、あなたの話をしなくちゃ。でしょう?」



 それはちょっと暴論のような。



「まあまあ、おばあちゃんの老後の楽しみだと思って、聞かせなさい?」



 ============================================



「うんうん、転生者であることは聞いてたけど、この世界に来てからは楽しかったみたいね」



 ええまあ。



 それまでの人生が悲惨なものだったので。尤も...



 光は、ありましたけど。



「辛いなら思い出さなくてもいいのよ?」



 そうさせていただきます。僕としてもあまり思い出したくのない、封印したい過去ですから。



「そう...でも、いつかは思い出さないといけないわよ?」



 わかっています。だけど、それは今ではない。



 本当に、一生涯を共に居たいと願えるような、そんな人に出会えたなら。



 僕はきっとその人に伝えます。僕の全てを。



「なかなかロマンチストね...でもいいじゃない、見つかるといいわね」

「ええ」



 さて、こちらのことは話しました。



 あなたのことを聞いても?



「もちろんよ、と言いたいのだけど...」



 だけど?



「ごめんなさい、これ以上は言えないの。ルールってやつね」

「ルール?どういうことですか?」

「私たち武器は、自分自身のことについての言及をしてはいけないの。だから私から教えてあげられることは、この白金武器、いいえ違うわね。<白金武器>全体のルールだけ」



 <白金武器>?なんでまるで魔法みたいな言い方を...



「それについても回答は控えるわ。だけどこの世界を巡れば、きっとその答えが見つかるはずよ」



 ...何故だろうか。確かにその言葉は正しいのだと思う。



 でも、その裏に隠しきれない暗黒が渦巻いているというか。



 僕はこの世界について知らないことが多いけど、<愛と名声と金のために>が隠していることはもっと知ってはいけないというか。



 クトゥルフ神話でもよくある、それ以上知ると戻れなくなるライン。そのギリギリを、既に踏んでいるというか。



「それだけわかっているのなら、手短に話すわよ」

「は、はあ...」

「私たち<白金武器>は所有者を変えることが許されてないの。つまり、他の誰かが自分を使うことを許してはいけないの、ね?」



 ね?と言われましても、僕は初耳なので回答に困るというか。



 でも疑問に思うことが無いのかと言うとそうではない。



「所有者が死んだ場合は?」

「これは...言っても良さそうね。一緒に消滅するわ」



 ほお、なるほどね。<白金武器>が超レアである理由がよくわかった。



 どんどん白金武器はその数を減らすのだから、総数が減って見つかりにくくなるわけだ。



「そんな縛りがある理由は...禁忌事項ですかね?」

「察しが良くて助かるわ。それで、その縛りを破った場合。所有者、私の場合はアンジェリア以外の誰かに使ってもらった時ね」



 もっと言うと今から僕が使う場合か。



「...その場合、使えばするけど少ししたら粉々に砕け散る」



 お、おお。どうやら徹底的に他の人に使われないよう対策されているみたい。



「この少し、っていうのもポイントよ。私たちが抵抗しようと思えばできるくらいの時間なの。もしも使えずに、時間内に元の持ち主の元に戻れれば壊れないのよね」



 そうか、<白金武器>も意思を持っているのだから、どうしたいかを選べるわけだ。



 ということは...今から僕が使えば、<愛と名声と金のために>は壊れるわけだから、使用は拒否される?



 それはまずい。今が一体どんな状況か分からないけど、前後のどちらであったにせよ使えなかった僕に待つのは死だ。



「...拒否、するんです?」

「見たでしょう?今のアンジェリアは私の力で生きているの。それなのに私が離れたら...あの子は死んでしまう。そうなるくらいなら、あなたを見殺しにするわ」



 ですよね、そうなると思いました。



 だけどこちらも引き下がれないなんとしてでも協力を...



「ところで話は変わるけど、私の能力ってあなたにはどう見えているのかしら」

「え?」

「能力の詳細、って意味じゃないわ。感情的な意味でね?」



 唐突だ。でも慣れてた。



 対応は容易。



「...単に、ずごい。かな。どんな攻撃も、一撃で死なない限り耐えることができるわけだし」

「そう...そうよね。あの子と同じことを言うわよね」



 あの子...アンジェリアさんも同じ考えだったか。



 実際無限再生というのは非常に強力だ。キーゴイが証明している。



 あの時の僕たちは、もしもお姉ちゃんが来ていなかったら負けていた。有効打が与えられないから。



 それはアンジェリアさんを前にした魔獣もそうなのだ。HPが1でも残れば永久に耐えてくる。



 もちろんそれは



「苦痛、そう苦痛なのよ。そもそも私の能力は、絶対に欠陥品のはずだった」

「いやいや、再生能力のどこが欠陥品で」

「だって、そうでなくては私が所有者を転々とすることは無かったもの」



 ええ?所有者を転々って、さっきあなたが、所有者出来ないって。



「所有者が自らの意思で所有を放棄することは可能なのよ」

「...捨てる、てこと?」

「そう。私の所有者としては、アンジェリアは6代目よ」



 いや、でも捨てるか?間違っても<白金武器>の性能は一級品、再生能力を無視しても、武器としては強すぎるでしょ。



 普通の武器は外から、自分の意思で、超高速で飛んでこないんですから。



「それほどデメリットが酷いのよ...詳しい数値は言えないけど、倍率としては打撲で1絶頂くらいよ」



 でもそれだとしても回避は容易いでしょ。槍の本領はリーチでしょ?



 距離をとっているんだから、それだけ敵の攻撃も避けやすくなる。



「甘いわね。例えば剣士と戦うとして、槍使いは得意の間合いで戦おうとする。もちろんそのままだと剣士は攻撃を当てることができないから、踏み込みに来る」



 それを避けて...



「無理よ。得意の間合いから攻撃、ではなく、それよりも少しだけ遠い場所から攻撃させて、それを回避してからの反撃が踏み込みなのよ」



 でも距離は離れている。剣士側だってろくにダメージは与えらないはず...



「あのね?例え槍といえど端の方を持って攻撃するわけじゃないわ。もちろんそうせざるを得ない状況をあるけど、基本は槍の中腹を持って突くのよ。それも思い切り踏み込んでね」

「???」

「マリアちゃんはここら辺が疎いのよねえ。戦いに関する知識が浅いのよ...踏み込めば、必然的に相手との距離が縮まるでしょ?ちょっと遠いのなら、それだけ深く踏み込まなきゃいけないし」



 ...あ、だから当たるのか。



 槍側が勝手に近づいてくれるから。



「そう!もちろんこちらも相手の攻撃を待ってから行動すればそれなりのリターンはあるけど、近づかれた時点で相手の間合い、すでに不利。自分に有利な間合いになった後であれば、こちらから攻めないと有利にした状況に意味がない。あとから行動が強いのが白兵戦だけど、だからって先に行動する側が弱いわけじゃないのよ?結局先にどれだけダメージを蓄積させて、鈍ったところを仕留められるかの勝負なのよ、白兵戦は」



 うむ...ううむ。



 頭がパンクしてどうにかなりそう。



 理解はできたような、でもよくわからない。



 もしそうなら、槍は使わない方がいいのでは?



「まあ白兵戦の有利不利は状況次第なのよ...話を続けるわね」

「わ、ワカリマシタ」

「本当?...とにかく、白兵戦では常にダメージを受けるの。浅い傷から、深い傷まで。最近の子とか魔獣って痛み程度じゃ止まらないから、結局HPを0にしないと終わらないわ」



 お、そこはわかるぞ。



 何度も戦ったからね...大体は一撃だったけど、例えば<勇者>と行動を共にした<ダンジョン>では、魔獣は攻撃されてもされても全然動いていた。



「そう。だから[再生]は今や一種の必須スキルになってるわけ。どうしても戦いが長くなっちゃうのよね」



 でも<愛と名声と金のために>なら長引いている間に受けた傷を快楽に、またその快楽を力と再生にする。



 やっぱり[再生]の上位互換のように見えるけど。



「あら、自然な誘導ありがとう。でも世の中そんなに甘くないのよ。いい?絶頂というのはね、端的にいえば筋肉の連続的な収縮とその後の筋肉弛緩状態のことなの。もっと簡単にいうなら、勝手に筋肉が動いて勝手に筋肉が動かなくなるの。戦闘中にそれが起きたらどうなると思う?」

「そりゃ行動不能になって死ぬだけだよ。でも<愛と名声と金のために>は快感によって絶頂できなくなるんでしょ?」



 なんでこんな真面目に見えて全然変な話してるんだ?



 これも...必要なことなのかな?



「ええ必要よ...厳密には、私が与えた快感では絶頂しないのよ」

「僕の言っていることとほとんど変わらないじゃん」

「そうね。でも自分で得てしまった快感では絶頂するのよ」



 ...?



 自分で得た快感?



「戦闘中に快感なんて得ないと思うけど」

「普通ならね...あなた、感度をめちゃくちゃに高くしたことあるかしら?」

「どうだろう、流石になかった気がする」



 そういうのは僕じゃない誰かがやってた。



 モルモットだった時の僕って、美少年でもなんでもないただの小学生だったからね。



「...それならこう例えてあげるわ。性的快感は水と同じで、私はそれを人が持つコップ、つまり耐えられる限界まで与えるの」

「うん...ん?」

「ああもう、ようやくわかりかけてきたわね?そのコップの中の水はすでに表面張力ギリギリの状態、水を一雫垂らすだけで、溢れるの」



 それが絶頂...



 うーん、なんだかわかりかけてきた。



「もう一押し。結局のところ、性的快感っていうのはどんなものでも得られるの。だって、大まかにいえば、それは脳に大きな刺激を与えているだけだから。触られてる、触ってる、そういう反応の中でも一際大きなものでしかない」






 ああ、ようやく理解した。



「もしかして、誰かに触られる...いいや、鎧や服などの感触で...」

「そゆこと。私は快楽を消費するのではなく、溜め込まれた快楽によって強化ボーナスを与える...諸刃すぎる槍なのよ」

誰でも対魔○

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