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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
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もっと戦うために

最近は若干長め、いやこれが普通か?

 ...ヤケになるな、1度冷静になれ。



 ...ふう。



 よし、まずは大前提というか、当たり前のこととして。



 子供は大人に勝てない。



 これは単に身体能力の違いからくるものだ。体格からして違うからね。



 となると、こういう言葉も間違いでなくなる。



 神話生物に人間は勝てない。



 体格からして全く違う、スケールがデカすぎる。



 そもそも、神話生物は人間にとって脅威だ。勝ちっていうのはつまり抹殺以外あり得ない。



 和解が存在するのであれば勝ちにも複数あるだろうけど、それがない以上封印は逃げの手段の一つでしかない。



 では、この場合僕はどうすればいいのだろうか。



 顔を全く動かせず、目の前には神格級の神話生物が2体。



 それらがおよそ生命が摂取していいものではない液体、いや液体ですらない何かを飲ませようとしてきている。



 ...先ほどの言葉では神話生物に人間が勝てないと言っている。でも2体の時に関してはわかっていない。



 何故なら、考える暇もなく死が確定するから。負けは必然。



 なので僕が今考えなくてはいけないのは、ここからどう逃げるかではなく、この状況を突破する方法。



 つまり、目の前のショゴスを飲み込む方法だ。幸いにも[思考加速]によって時間はある。



 ...まず、現状の確認。



 今の僕は、頭が動かせないことと体が動かせないこと、特に拘束などをされている感触がないこと、何より衣服となるものが布1枚で、それごとイブ=ツトゥルが抱えていることを踏まえると。



 僕は赤ちゃん。赤子。生命の最底辺。生まれたばかりの虚弱な生命だ。うん、なんで赤ちゃんなんだろう。



 おそらくは、目の前のメェーちゃん、いやシュブ=ニグラスが僕を()()()から。



 しっかりと残ってますよ、記憶。あの時確かに僕は食べられた。



 だけどシュブ=ニグラスに食べられた生命は生まれ変わる。黒い子山羊へ、あるいは別の形容しがたい何かへと。平たく言えば、シュブ=ニグラスの眷属になってしまう。



 これこそ彼の神格が地母神であるが所以。シュブ=ニグラスは、生命とともにあるのだ。



「次からは、メェーちゃん。ね?」



 アッハイ。



 とにかく閑話休題、僕は赤ちゃんなのだ。



 で、飲まなきゃいけない、いや食べなければ、いや違う。摂取しなくてはならないもの。



 それこそが目の前の、虹色に発光したショゴス。発狂していないか自己確認するために何度も問うけど、あれは食物でない。ただの生き物だ。



 だけど摂取以外の道は存在しない。どうにか摂取するためにも、まずは内容物を思いだそう。



 そもそも最初は、イブ=ツトゥルの乳とメェーちゃんの乳だった。当たり前だけど、この時点でやばい。



 本来はどちらとも対応する下位存在に与えられるものだ。この場合、夜鬼と子山羊が該当する。



 すでに僕が飲んだらどうにかなりそうだけど、実はそうでもない。何故なら僕はすでにそれらと同列の存在だから。



 子山羊はメェーちゃんから生まれている以上当然。イブ=ツトゥルはというと、夢の中で弄られた時から。



 ただの夢と侮るなかれ。クトゥルフ神話では夢で妊娠現実で出産の話、いくらでも出てくるのだから。



 というわけで、全く悲しいことにメェーちゃんの言っていたことは正しかった。僕はこれを飲んでも変わりようがない。



 じゃあショゴス食べても大丈夫なのかと。そんなわけないし乳以外は飲んではいけないものだ。



 第一にクトゥグアの燃やした後の灰。灰である時点で食べ物じゃないけど、それがクトゥグア関連であるというのならもっとタチが悪い。



 そもそもクトゥグアは生ける炎と言われる。これはその本体が、実体のない炎そのものであるから。



 となるとそんな生ける炎から分たれた火というのは、見るだけでも発狂するようなものとなってしまう。扱うなんて考えられない。



 それほど危険なものによって燃やされたものは、鎮火することがないと言われている。灰になっても燃え続けている。



 そして燃え続けているのだから、それは火そのもの。つまり灰と火が≒で繋がってしまったわけだ。



 もちろん食べられない。考えるまでもなく、食べたら狂いに狂いまくってジエンド。



 次にシュド=メルの酸だけど、これも酸である時点で食べ物じゃない。いや、酢は酸だったっけ?まあともかく。



 クトーニアンは地中を掘って移動する。それは口や歯や触手で掘っているのではなく、口から出す超強力な酸で掘る。



 岩盤にすら穴をあけるそれは、クトーニアンが通った道をコーティングし、キラキラとした洞窟にするのに十分。もちろん人間が喰らえば1発アウトだし、だから卵を手に入れた時は少し焦った。下手したら報復とかありえるからね。



 でなんでそんなものを摂取するのか。クトーニアンの上位存在であるシュド=メルの酸とか、なおさら摂取してはいけない。そもそも摂取するものではない。



 ...のだけど、正直灰と酸はまだ食べられる。あと2つに比べれば。



 というかショゴスと比べてもやばい。生き物は大概食べることが出来るわけでありそれは人間ですら例外でないのだから、ショゴスも食べれる可能性がある。



 しかもそのショゴスって多分僕の左腕だよね?もう一度体の中に入ってもらうだけなのだから、大丈夫だろう。



 問題は、色だ。



 クトゥルフ神話において、色は重要だ。発狂によって色覚異常を起こすことが多々あるから。



 でもそれ以上に、宇宙からの色がやばい。こいつは神話生物ではあるものの、旧支配者や旧神といった勢力に属さない。無理やり入れるなら外神だろうか。



 つまり生き物。なのだけど、ただの生き物じゃない。こいつは純度200%の放射性物質だ。



 物語にガイガーカウンターが関わるだけで出現前特定余裕でしたになる、そんな生物。食べるとかありえないし、見ただけで物理的な死がそこにいる。



 下手すればどんな神格以上に危険視しなくてはいけないのが、宇宙からの色という訳だ。



 で、それを食せと。無謀というか阿呆というか、そんなこと下級の神話生物でもできないだろう。逆に捕食されて終わりだ。



 ...一応まとめたけど、考えれば考えるほどヤバすぎる栄養ドリンクだね。



 そもそも今から食すそれ自体、質量がとんでもない。全体像は見えなかったけど、今の僕の10倍はあるはずだ。



 食べない、という選択肢は提示されていない。でも到底、色々な意味で食べれそうにないのだけど...



 いや、どうにかすればいけるはず。絶対に無理な試練を提示してくることは、ことシュブ=ニグラスにおいてはほとんどない。



 ならば探せばあるはずだ。今この頭が動かない状況で探した先に答えはある。きっと。



 考えろ...そもそも今僕が見れるのは上だけ。上には何がある?



 ...魔力を貯蔵している肉塊。なるほど、魔法で何とかするか。



 いや、違うな。今の僕が魔法でできることは摂取量の緩和くらい。それも物理的な破壊のみ。



 そんなことしたら殺されるだろう。せっかくもらったのに破壊するとは何事だ。



 てことは無理をしてでも食べなければならないわけだけど...ん?






 無理をする、か。ああ、確かに無理をすればいけるか。



 いたよ、どんな無理をしても全く問題ない、放射能喰らっても大丈夫な人が。



 それを真似すればいいんだ。

あっ(察し)

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