闇市に流れてるじゃないですか
5vs5が最近楽しいです。
どうも、学生時代は遅刻常習犯でした。
すぐに壁の真横に位置どり、背後と前方の安全を確認。
...音は聞こえない。心音も聞こえないあたり前と後ろは問題なさそうだ。
「クトゥグア...まさか、その程度で倒れるのですか?」
「だ、だいじょうぶ!?」
「おうおう、よってたかって騒ぐんじゃねえよ。俺はピンピンしてらあ」
だろうね。もしそれで死んでいたら神話生物の恥として後世に語り継がれていたところだよ。
ただ、肉体として存在するといえども、クトゥグアの肉体に風穴を開けるほどの威力か。
ただの銃じゃなさそう。威力のチューンアップをされてるみたいだ。
この世界の銃の仕組みを知らないから、本当にそんなことできるのかわからないけどね。
「マリア、どうするの?」
「そうですね...本来ならこのまま進むところですが、いつあなたが撃たれるとも限りませんからね」
改めて間取りの確認。今僕たちは玄関にいて、後ろに玄関入り口がある状態。
正面には右に折れた通路があり、左手には部屋への入り口。右は壁だ。
おそらく射手は左手の部屋にいると思われ、正面の道に行くには確実に射線を横切る必要がある。
外に他の入り口があるような様子はなかったから、この左手の部屋が屋外になっているとは考えにくい。
...ショゴスを派遣して偵察をしたいところだけど、敵はクトゥグアに風穴を開ける威力をもつ銃をしっかりと胴体に当てることのできる腕を持っている。
下手に凸らせて死んだら困るし、それはクトーニアンにも言える。
「無視するてはありますよ。この入り口を塞いで仕舞えばいい」
それはそうなんだけど、それをしたことで後々背後を取られることになるのはいやなんだよ。
生殺与奪の権利を相手に握らせていることになる。
「ああもう!面倒は嫌いだ、まとめて片付けてやるぜ!!」
...結局それが一番かな。フィジカルに身を任せてぶっ飛ばしにいく。
「おら、どこだ人間共!!!」
クトゥグアの突貫に合わせて僕も部屋の中を見る。
ここは...多分調理室か?玄関からそのまま行けるようになっているんだね。
バァン!!
銃声。そういえばハルトくんの耳は...
あ、なんか<魔法陣>出てる。これなら問題なさそう。
「けっ...見えてんなら意味ねえよ!!!!」
おっと目もやばそう。
「バァン!!!!!」
擬音を喋っているだけで無音のそれは、一瞬で驚愕の顔を血だまりに変えてしまった。
指で弾いただけなんですけどね。見えている縦断を掴んだのはまあいいとしても、そもそもその威力の指パッチンによく耐えたよねその弾。
ってそんな無駄な思考する前に。ショゴス、回収頼む。
「了解です」
「さて...」
死体の前にきて、落ちているものを拾う。
...これが、銃。いや、この世界だと<銃>?
ああでも武器になっているのなら剣とかと同じカテゴリ名のはずだから、銃で間違ってないか。
ハンドガンサイズのそれだけど...多分前世の火薬による銃じゃないよね。レーザーでもなさそう。
「そうですね。<爆属性>の<魔道具>を中に仕込み、金属製の弾を発射する仕組みのようです」
つまり弾と<魔力>だけであんな威力が出ると。
なんだこの武器。剣とか弓がバカらしくなる性能してるんだけど。
「だから地球では主に使用される武装として普及することになったのでしょう」
殺すだけだったらこの武器以上に手頃なものないからね。
頭じゃなくていい。足でも腕でもなんでもいい。
当たりさえすれば死ぬ。それが銃だ。
「どうせならそれ、持っておけばいいじゃねええか?いざってえときに護身くらいできるだろ」
「確かに...マリアだけで動かなくてはいけない時が前にありましたからね」
胸ポケットにしまっておく。<<インベントリ>使用不可区域>が厄介だからね、その対処が少しは楽になるかもしれない。
どこまでいっても、僕は神話生物に頼らなければ生きていけない。それほど弱い、いや前世基準だと相当強いんですけどね僕。
この世界の人間、本当におかしい。前世に重たい剣を平然と振り回すような人間はいなかったからね。
あくまでもこの世界基準の話だ。だけどそんな世界で僕は生きていかなくっちゃならない。
...この銃だって、確かにこれは強いけど無双できるほど強いわけじゃない。下手したら、撃つより先に斬る、なんて芸当をする化け物だっているだろう。
だからメインは神話生物であり、銃はそれまでの繋ぎ。全部自分でなんとかなると考えず、まずは味方を作ること。
神話生物だって毎回味方になってくれるわけじゃない。バースト様がいい例だ。
それでも頼らざるを得ないと感じるのは...単に僕が依存しているのか、慣れすぎているのか。
はたまた...そういった、催眠をかけられているのか。どうあっても僕のあり方は変わらないけど、とにかく最悪の場合のことも考えなくてはいけない。
そのための、これなのだ。
明日明後日もですかねこれは。




