表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
352/402

道は切り開くもの

5...

「全部見たよー!」

「おお、よくやったぞ我が子らよ」

「ほめてほめてー」

「おーよしよし」



 報告しにきた雛から糸、というかロープ位太い...いや、これ、ん?



 糸...そうか、糸か。多分血が滴っているのは気のせいでしょう。うん。



 確かどこかの神話で迷宮から逃げるのに、入り口までの道のりをわかるようにするのに使ったのが赤い糸だったような記憶がある。まあ実質その赤い糸と同じものと言えるでしょう。うん。



「やった!これで...すてれた!」

「うおおお!また俺が負けた!」



 ...クトゥグア、勝負は好きだけど駆け引きが苦手らしい。



「顔に出ますからね」

「うるせえ」



 チャチャっと机を片付けて出発の準備。



「そうだ、このトランプはあげよう」

「いいの!」



 うわ、絶対受け取りたくない。



 変な祝福とかついてそう。



「失敬な。特に悪いものはついていないぞ」

「じゃあ何がついてるの」

「<ダンジョン>で迷うことがなくなる」

「つよっ」



 ============================================



「こっちだよー!」



 図書館は、大きい部屋にたくさんの本棚があり、その中を駆け抜ける仕組みの<ダンジョン>になっている。



 言ってしまえばただの大部屋でしかなく、だからこそそこまで時間がかからなかったのだろう。



 またそこらへんに人型死体がゴロゴロと落ちているのは、おそらく人間ではなくグールのものだ。



 人間と比べて少し、というか結構刺々しいというか。何ならナグとイェブが呼び出していたあいつらとおんなじような姿というか。



 ...図書館でグールっていうと、あの夢の中を思い出す。



 ショゴスの眠っていた本、それを拾った場所。



 結局あそこは何だったんだろう。夢であることは間違い無いと思うんだけど...そもそも夢自体が何かおかしい。



 夢に行くことは何度もある。しかも結構覚えている。全身火傷は大体の傷に対する比較として何度も思い出すくらいには鮮明に覚えている。



 そしてもう一つ、なぜか夢の中の時間は少しおかしい。特に一番最初、あの時点で僕は5歳だったにもかかわらずステータスでは6歳だった。



 時間だけじゃない、空間もおかしい。あれは夢で、気絶している間に僕の精神が見ている世界にもかかわらず、肉体があって、物を持って行ったり持ち帰ったりすることができる。



 明らかに以上だ。時間を超えている可能性も否定できない。



 一体...あの世界はどういう世界なのだろうか。それがわかる日が来ることを祈ろう。



 多分ずっとわからないんだろうけど。



「なんか...おもっていたのとちがう」

「え?」



 ハルト君の独白。ついつい反応してしまう僕。



 聞き耳は得意な方だと思います。



「<ダンジョン>は、パパとママはすごくきけんなばしょだって。でもそんなにきけんだとはおもえなくて...」

「あー...はは、確かにそうですね」



 確かに危険な場所とは到底言えないだろう。魔獣はいないのだから。



 そう、魔獣はいない。いないんだけど、ここが危険かどうかで言うのならものすごく危険だ。



 だって神格級の神話生物がこんな狭い場所に集まっているんだ。おそらくこの世のどんなところより危険だろう。



「だけどそれはあくまでもここだけの話です。あなたはまだ他の<ダンジョン>を見ていない、そして<ダンジョン>が危険と言える、その最たる理由こそ...」

「ここが出口!」



 扉。大きなその扉を雛達がゆっくりと開ける。



 もちろんそこに待っているのは、開けた部屋。



 机と椅子が大量に並ぶ、読書をするためのスペース。



 そこに一人立つ、人間。



「ようこそ、<ダンジョンボス>の部屋へ。あなたの言うとおり、<ダンジョン>はこの<ダンジョンボス>との戦いこそ危険と言える理由...」

「御託はいい。始めるぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ