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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
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2日に2話投稿すれば実質毎日投稿

張り切っていきましょう

「はい、唐揚げとハンバーグとオムライスとドリア」



 多い多い多い。確かに僕ら成長期だけど、その量は6歳児が食べられる量じゃ無いのよ。



 下手したら成人男性でも無理。大食いタレントとかじゃないと出しちゃいけない量だよこれ。



「残したら、許さないからね」

「う....うん!」

「無理しなくていいよ、ハルトくん。悪いのはイブ=ツトゥルだから」



 そうです。本当に残して欲しく無いのなら節度を考えてご飯を作ります。



「あ、おかわりはまだまだあるからね。追加でカレーとシチューとチャーハンとしゃけの塩焼きを作ったの」



 多いのよ。というかどうやってそれだけ用意してるの?



 しゃけとか特に。この世界にないでしょ。



「食糧庫にたくさんあったの、自由に使っていいんでしょう?」



 いいけども。あんま使いすぎないでくださいね。



 あなた方の食糧ですよ、それ。



 ...あと、なんか物腰柔らかくなりましたか?ちょっとツンが抜けたと思う。のですが



「そうですか...?子供と触れ合っているからでしょうか」



 なのかも。母性が溢れ出ている。



「...おいしい!」

「それはよかったです」



 そういえば、ミ=ゴが医療関係の話になると話し方が丁寧になっていた。



 それと同じようなことなのかもしれない。



「この料理の技術はどう取ったのですか?あなたは生きる時間のほとんどを山で過ごすでしょう」

「確かに母が食べることは少ないですが、母が食べさせることはあります。そして子に食べさせるのなら、それは良い感情を持って欲しいと思うのが母として当然のことです」



 母様だ...すっごく母様だ...



 これが母なる愛ってやつか。久しく受け取ってないから、心がとても癒される。



「さあ、もっともっと食べてね。子の成長を思う気持ちこそ、母なのですから」



 ============================================



「食い過ぎた。流石に重い」

「残せばよかったのに」

「誰が残すなって言ったんでしたっけ?」



 もれなく全部。コンソメスープで喉を潤してポテトサラダを付け合わせに食べる。



 当たり前のようにお米もある。正直全部食べるのはめちゃくちゃ辛かった。



 でも美味しいんです。というか、今まで食べたものの中でも群を抜いて美味しかった。



 例えば唐揚げ。油っこい感触が全くない上にもも肉がとても柔らかくご飯が進んだ。



 例えばシチュー。濃厚なんだけど入っている野菜のおかげで無限に食べられる。その野菜も食感が残りつつも口の中で溶けていく。



「時間はありました。どう作れば子が喜ぶか、私は長い時間をかけて研究したのです」

「うめえ!うめえ!」

「あなたはもっと行儀良く食べなさい、クトゥグア」



 他の神話生物も集めて食べているわけだけど、なおもなくならない大量の料理。



 ...わかってることだけど、食糧庫はほぼ空。食糧が1ヶ月から1週間になってしまった。



 だけど、今は正直どうでもいい。



 この状況においては、しっかりと回復したことに意味がある。



「...そうですね。癪ですがあなたには感謝を伝えておきましょう、イブ=ツトゥル」

「母は子をお腹いっぱいにしたまでです」



 さて、そうなったら次にやることは一つ。



「ハルト君。ここの村のマップって大体覚えてる?」

「うん。ぼくチェンジリングがむらでいちばんとくいだったんだよ」

「それじゃあ...この紙に描いてみて」

「わかった」



 少し大きい紙と羽ペンを用意えすれば、スラスラとマップが描かれていく。



 大通りから細い路地、大きい建物からお店の名前まで。事細かに描かれる。



 ...年齢が年齢であるからして、拙い絵になっているのは仕方ない。だけどハルト君はマッピングの素質その塊と言っていい。



 才能の原石、とも言い換えられる。正直僕も脳内ではできるけどこうして書き上げることはできない。



 ハルト君は、もしかしたら今後有名な人間になるかもだね。



「...ちょっとみづらいかな?」

「いや、これだけかければ十分だよ」



 というか十分すぎる。主要な、向かうべき目標とできる場所以外にも寄ってメリットのある建物などが鮮明にわかる。



 果物やさんとか肉屋さんとかね。



「ふむ、今度は何をするつもりなんだ?」

「そうですね...そもそもの最終目標はヴルトゥームの説得(物理)です。まずはこの村で奴が居そうな場所を選定しましょうか」



 村、といっても限界集落のような場所じゃない。ある程度社会が成り立っている。



「さっきも言っていましたが、もし<勇者>や<聖神信仰教会>に可能な限りバレないように洗脳を進めるのなら、その土台が必要です」

「偉いやつ、ってことだな!」

「例えば村長...ハルト君、村長のいつもいる場所は?」

「ここ」



 指さすのは、ここを登った所からさらに北東に位置する、大きめの家。



 館とは到底いえないが、個人邸宅としてはこの村では群を抜いて大きい家だ。



「あと、そんちょうはほんがすきだよ」

「本?」

「うん。いつもとしょかんでほんをよみきかせてくれるんだ」



 はえー、村長にそんな趣味が。



「なら図書館も候補に入るでしょう」

「あとは...あの宿屋も」「あいつ、こっちを襲ってきた」

「宿屋宿屋、あったここだね」



 丸で印をつける。とりあえずはこれらの場所に向かうことになるかな。



「ここから近いのは図書館だな。北に行けばすぐだ」

「逆に村長の家はちょっと遠いね」



 宿屋はここから南東に行ったところにある。ここからはほどほどの距離だけど外からは結構近い場所だ



「...順番に行くのなら宿屋から行ったほうがいいだろう。そのほうが全体の移動距離が短くて済む」

「あえて村長の家から向かうのも一つの方法ですよ。いるかわからないのですから、先に遠い場所を処理するのも手です」



 うーんどうしよう。判断するのは僕なんだろうし...



 時間はあるように見えて、実はない。そう考えるのなら早めに決めないとダメだろう。

次回はちょっと遅くなります。



次々回は変わらない時間に投稿します。

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