表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
339/402

ディスク

すでにできているわけではないです。

「失礼ですが...私は皆様と比べて神話生物の知識に疎いです。なぜこの花の匂いによって神話生物が特定できるのでしょうか?」



 おっと...そうだったっけ?



 まあでもそれはそうか。ショゴス、僕の記憶をガンガン覗くようなことしていないみたいだからね。



 いいよ、全然教えちゃう。ただ...



「ただその前に、ちょっとやることがある」

「?」

「?、じゃないですよ。イブ=ツトゥル、あなたのことです。せめて自己紹介くらいはしなければでしょう?」



 一応僕のナカ読み取ったけどね。



「それはそうですが、礼節というものは誰にだって重要なものです」

「...確かに、仮初めであるといえど、母はあなたと主従の関係になるのですから、お互いのことは知っておくべきかもしれません」



 とは言っても、僕がほぼ自己紹介したあとなのは変わらないんだけどね...



 失敬、失言をば。僕はマリア、一応人間です。訳あって精神だけの存在になってます。



 基本的には僕が召喚していますので、一応はそのつもりでいただけると助かります。



「私のことは知っての通り、イゴーロナクだ。最近ちょうどいい肉体を手に入れてね」

「マスターの左腕、ショゴスです」



 お、案外気に入ってくれた?左腕の二つ名。



 右腕って言えるほど強くはないけど、いないと困る左腕。なかなかショゴスにぴったりだと思うんです。



「恐縮です」

「仲が良いようで何より...母はイブ=ツトゥル、母と呼んでください」



 母。あまりにも珍しい一人称だ。



「私もか?」

「あなたはイブ=ツトゥルで。母は子であるマリアに呼んでほしいのです...」



 子、ですか。僕は<夜鬼>になった覚えがないのですが...



「あら...まさかとは思うけどイゴーロナク...」

「私が抑制をするとでも?ショゴスもマリアも私も、誰も<夜鬼>になりたくないとは思っていません。精神性がバラバラな私たちではありますが、生きるために何でもするという1点に関しては総意です。<夜鬼>の能力が手に入るのなら、さらに生存能力は向上するでしょう」



 というか個人的に神話生物の肉体改造はガンガン受けたい。母様(ははさま)のように快楽へとなる時もありますし...



 イゴーロナクの言う通り、生きることにつながる。



「ではなぜ?」

「私が思うに、マスターの肉体はほんのついさっきイゴーロナク様の肉体に慣れたばかりです。おそらくは<夜鬼>のエッセンスに耐え肉体改造を行う余地がまだないのだと思います」



 どういうこと?もうちょっとわかりやすく教えて。



「つまり、今はキャパシティオーバーであるということです。<夜鬼>の能力を使おうと思った場合、マスター自身がさらに強くならないといけません。そしてそれはこの世界において、<到達点>という形で表されます」



 なるほど、ということはこれからもバンバン魔獣をぶっ飛ばしてもらうことで僕はさらに強くなれると。



「...えっと?」

「時間が解決する、ということですよ」



 その認識でOK。どうせこの世界、生きているだけで戦いに巻き込まれるんだからね。



「...わかりました。貴方がそうというのなら、そうなのでしょう。母は信じます」



 お願いします、母様。



「さて...次はいったいなぜ匂いだけで神話生物の特定に至ったか、だったね、ショゴス?」

「はい」



 ...ここにきてからずいぶん時間が経つ。宝物庫で色々漁りながら話をしよう。




 ============================================



 ヴルトゥーム、という神話生物がいる。



 僕が元いた星である地球、その近くにある惑星、火星の地下深くに眠っているとされる、いわば火星の王。



 その存在を一言で表すなら、「大麻」。いささか違う要素はあれど、幻覚症状によって人間を操る神話生物だ。



 肉体は植物であり、その肉体が発する匂いこそ、幻覚の根源。近くにいるどころかかの神が渡す種から咲く花からもその匂いがあり、それが繁殖することで信仰を増やしていく...



 もちろん、そんな匂いを嗅いでしまえば狂気に陥ることは言わなくてもわかるだろう?そんな狂気によって、神に近づかんとする人間は、さらに花の匂いを求めるようになる。これを大麻と言わずしてなんとなるんだろうね。



 僕とて流石に匂いを嗅ぐことを躊躇したいような、そんな神話生物こそヴルトゥームという神格なのだ。



「奴にあまり地球の侵略意識はないけどね。ある意味では私と同じ、放置主義と言ってもいい」



 <インベントリ>に金銀財宝を入れていく。これで...そうだね、1ヶ月ほどは食費に困らないだろう。



「だから匂いで」

「そう...奴の匂いはそれほど強烈なもの。敵として会うことになれば、母らとてある程度の被害を受けることになるでしょう」



 そんな強いのか、さすが火星の王。



 幻覚を見せる、というただ1点においては他の追随を許さないね。



「同時に、あの記憶を鑑みると確実にマリアのことを敵対視しているみたいです。良かったですね、他の神格がいなければ、貴方は赤子の手を捻るかのように潰されていましたよ」



 でしょうね。ショゴスと一緒に戦っても勝てる気はしない。



 身体能力で、というのもそうだけど、何より幻覚を耐える方法がない。



 ...こんなものかな。回収できそうなものはあらかた回収できたと思う。



「よし、それじゃあ帰ろうか。マナ...お姉ちゃんが待ってるよ?」

「お姉ちゃん...家族がいるのですね。母は嬉しいです」



 また...不思議な神話生物が仲間になったなあ。



 不思議じゃない神話生物なんて、この世に存在しないけど。

ヴルトゥームさんの紹介はまた登場した時にでもしましょう。



あらかた説明しちゃいましたけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ