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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
333/402

感染症の中でおそらく一番身近にあって一番見向きもしないやつ。

眼精疲労が辛すぎる。

 ============================================




「う、うう......」




「マリア、大丈夫ですか?」




「うう...」




「マナ、マリアの体はどう?」




「...いつも通りい、ではないよねえ。何かの病気なのはわかるんだけどお」




「病気、か」




「そうなんだよお。それも私もわからない特殊なやつでえ」




「わからないというのは、つまり見たことがないと?」




「私の本職は回復師ではないけどお、メインのパーティが2人だからねえ。これでもお、大体の病気は見てきたよお」




「そう言えるほど見てきたマナがわからないというのだったら、私たちもお手上げだな」




「誰か、それを特定できるような人を知らないか?残念なことに俺は知らない」




「私...知ってます」




「ど、どんな人?」




「ミ=ゴ、っていう生物で...私たちがニャージーランドを発つ前は怪我人の治療を行っていましたが...」




「ニャージーランドか。ここからだと少しではないほど遠いな」




「それもあるのですけど...ミ=ゴさんは、<神話生物>なんです」




「ということはあ、マリアが起きていない今はあ、音信不通ってことお?」




「はい...」




「...いや、そんなことをしなくてもどんな病気かくらいはわかるぞ」




「え?」




「何たって...私も今、その病気を患っているからな」




 ============================================



 立てない。グラグラする視界の中、どうにかして思考だけは確立する。



 考えることができなくなれば、その瞬間僕は死ぬ。絶対に、思考の手を止めてはいけない。



 それにしても、一体どういうことだ。なんでここまで強い体調不良に?



 僕、体調不良に繋がるようなことはしてないはずなんだけど...



 ...



 いやしてる。そもそも<ゴブリン王国>の中をほぼ裸で移動してたじゃん。



 その中には、一部森のような場所もあった。身体中の穴という穴を塞がない状態でそんな不潔な場所を歩いたら、そりゃ体調不良にも繋がる。



 というかよく考えたら思いっきり不潔な<ゴブリン>どもともヤってたわ、僕。そもそも労働力になってた人間だってまともに体を洗ってない環境だろうし。



 さらに言えば僕がいたあの牢屋。全然性感染症流行ってたし。スリーストライクとはいやはや、恐れ入った。



 にしても潜伏期間は相当長かったな。2週間くらいか?



 結局体調不良になることは恐らく変わらなかっただろうけど...たまたま潜伏期間があったおかげで、気絶中にそれは起こった。



 ある意味で幸運と言えるかも。本格的にこうなるのが>キング・ゴブリン<と戦っていた時とかだったらまずいことになってただろう。



「ショ......ゴス」



 こっちの思考を読み取れていないかもだから、頑張れ肉体の僕。



「バイタル.....どうなってる...?」



 ...反応がない。多分僕の体の中に蔓延る病魔と戦っているはずだ。



 だけど、この状況ではちょっとまずいことになる。



 倒れ込むほど、もう身動きが取れない。



 僕の体は今、指の一本ですら動かせなくなっている。



 それが病の進行が激しいものなのか、それとも何か別の要因なのかはわからない。



 ただ一つ言えるのは、



「PPP」



 今いるこの場所は、決して安全な場所ではないということ。



 時折くる巡回の人形に、今見つかった。



 うつ伏せだから人形は見えないけど、音の方角からして恐らく前の方にいるはず。



 さて...どう対処すればいい?体が動かない以上攻撃はほぼ無理だ。



 <魔力撃>で体を無理やり動かす...いや、燃費のことを考えると起き上がらせるのが精一杯だ。



 残りMP残量がわからないけど、<魔力撃>だったらあと数回分はあったはず。



 ...いっそ、賭けに出るか。ワンチャンやばいことになるかもだけど、それは御愛嬌か。



 正直死ぬより酷いことはない。となればすぐ行動だ。



「...ぁ....」



 あ、喋れないのだった。そしたら<無詠唱>じゃなくて<魔法陣>でやらなきゃか。目で見えない以上勘で作るしかないけど、この際仕方のないことだ。



 こういうことになるのだったら、こいつを<魔眼>とかにしといたほうが良かったかも。最も、僕はどうやって<魔眼>を作るのかわからないけど。



 ただいつでもできるようにはしておきたいよね。今後こういう状況がないとも限らないし。



 と、さっきからお腹の辺りに違和感が。攻撃を喰らっているのかな?



 もしそうなら、すでに神経系もやばいことになってるわけだ。急がないとまずいね、こりゃ。



 ...多分これで、完成していると思うんだけど、さてどうなるか。



  <魔法陣>に、<魔力>を流し込む。



 流れた<魔力>は<魔法陣>へと伝わった。程なくして、それは小さな塊の状態で帰ってきた。



 そしてこれを取り込めば...<魔法陣>式の<魔力解放>ができるわけだ。



 途端に、頭が冴え渡る。頑丈となった肉体ですぐに起き上がり、そのまま裏拳。



 ボカァ!!



 ただ殴っただけでこの威力。うーん、さすが神話生物。



 さて...ここからが本題。



 この行動、吉と出るか凶と出るか。



「...この時を、待ち侘びていましたよ。マリア」



 凶だったっぽい。

どういうことでしょうか。



次次回あたり、新しい神話生物が出ると思います。

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