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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
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実は格闘戦が基本の世界だったりする

流石に体調を悪くしてはどうしようもないですね。

 今の僕はしゃがんでいて、すぐには立ち上がれない。



 対して、相手はすでに構えている。まあ人形だから構えるとかないかもだけど、要するに状況からすでに不利であることに間違いはない。



 そして僕が今普通に回避できる攻撃は、体勢のことを考えると軸のズレた上からの攻撃だけなんだけど...



 シッ!



 もちろん横なぎ。絶対に当てるというのを感じるねえ。



 となると無理やり避けるしかない。



 いつもの<魔力撃>を前方に、ついでに人形に当てるようにぶつける。



 その勢いは奴と僕を引き離し、同時にブレた横なぎを避けさせてくれる。



「ぐっ」



 同時に、投げられ倒れた机にぶつかって結構痛い。



 ちょうど足のところに当たったのは本当に、運が悪い。背骨が折れたかと思った。



 ただ少し離れたおかげで体勢は戻せる...



 ピィー



 ん、なんだ?眼孔から棒みたいなのが....



 ガッ!!



 うおっ、急に光った。しかもなんかビームみたいなのも一緒だ。



 狙いは...肩か。



 すぐにしゃが



 ピッ



 めない。やっぱり光ってすごく速いね。肩の上の方に当たった。



 それでも本物の光よりも遅い。おそらくは<光属性>だけど、結局目で追えるほどの速度ではある。



 全然追えなかったから掠ったんだけどね。多分メェーちゃんとかなら見てから避けられる。



 ...しかし怪我は浅いな。結構しっかり貫通しているけど、出血はしていない。痛みはあるけど今までに比べたら、それこそ全身やけどに比べたら優しい。



 もうあのやけどがやばすぎてどんな痛みもあのやけどよりマシっていう思考になってるね。しょうがないことだけど。



 キュイイィィィ



 今度はなんだ。腰から回転して刃を振り回してきたか。



 移動速度は、結構速いな。どれだけ持続するかわからないし、奥へ逃げるのはあんまり良い策じゃ無さそう。



 となれば、ちょっと使ってみますか。



「...ふう」



 集中。手に魔力を溜めて、それを手にある毛穴という毛穴から、少しづつ、少しづつ...



 ....



「...はっ!!」



 両手で回転する刃を受け止める。完全に触れることなく、押さえつける。



 もちろん僕が押し留められるほど、こいつの力は弱くない。そんなことは分かってる。



 でも踏ん張っている。おかげで、こいつにそういうのがあるかどうはかともかく、力ませることはできてる。



 10秒。抑えていればいい。



 瞬間、力を抜く。



 普通なら切り刻まれるけど、今の僕にはこれがある。



 手を開いて刃を滑らせ、浮いている奴の足元に滑り込む。



 別に勢いつけて前に行く必要はない。こいつは力んでいたから勝手に前にスライドしていく。



 そして、目の前にホバーするための脚がくる。



「はあっ!」



 すかさず、<魔力撃>。



 内部に燃料とかがあるのか、それはわからない。



 けど、機械というものは内部が弱い。甚大な被害を与えれば、すぐに壊れる。だから外側を硬くするんだ。



 ドゴン!!



 内部から一斉に吹き飛ぶ部品。



 それらは全て木偶の坊の破片であり、肉片や骨などはない。



 どうも幻覚か、あるいは光学の類か...



 ともかくこいつに僕は勝ったらしい。



「...やっぱり、あんまり戦いは疲れるなあ」

「お疲れ様です、マスター」

「うん。ただ、今後もこういう戦いがあると思うと気疲れするよ」



 実際、大変だし。<魔力>の管理は自分がやっているのだからね。



「次の戦闘では、ショゴスも合わせて効率化をしてみようか」

「<魔力>の温存をするためにも、それは懸命な判断です」



 ショゴスの力、正直僕は扱いきれていない。



 このどこかわからない場所で、ちょっと修行っぽいことしてもいいかもね。



「確かに、それはありだ」

「帰るまで時間がかかりますが」

「どうせ気絶から復活するだけだし、それまではみんなが守ってくれている。とは思う」



 それに、だ。最近自分の見直しをやっていない気がする。



 いつだったからか、癖になってる自分の見直しを、そろそろやっておきたい。



「癖?」

「前世の時からの癖でね。近頃は特にそういうゴタゴタなかったからあまりやらなくても良かったんだけど...」

「何かあったんですか?」



 ショゴス、一応君僕の記憶見てるはずだよね?



「不用意には見ておりません」

「律儀だねえ...でも、ありがとう。見られたくないことが仰山ある」

「先ほどの癖も、その中に?」



 そんなとこ、色々付けられることが多々あってね。それの整備、を表向きとして裏向きはそれの破壊。



 昔から怪我は絶えなかったけど、まあ体内に埋められちゃしょうがない。



 手の中足の中、腹だって切り開いてたっけ。



「よくそんなことできましたね」

「当たり前でしょ。あの時の僕は、よく薬とか飲まされてたからね」

「...モルモット、ってことですか」



 基本的には、薬を飲まされることが常。毎日どんな効果もわからない薬を、いろんな方法で摂取していた、



 その中に、たまに睡眠薬が混ざってる時があってね。文字通り、回ればすぐに倒れるほどの強烈なやつだ。



 僕が気絶に慣れているのはそのせいなんだけど、それ飲んだ時は大概、体内に仕込みをされてね。



「それの除去のために、てこと。大概は1週間ごとくらいで、摘出も1週間くらいかかるから埒が空かなかったけどね」

「大変だったんですね...ところで、どうしてそれを私に?」

「ん?まあ...今後は一蓮托生、君が死んだら僕は死ぬからね。少しは大事なこと知ってもらおうと思って」

「でも、全部は話さないんですね」



 そうだね...多分全部話すのは、僕が一生を捧げるような存在くらいじゃないかな。

前世から人間辞めてた可能性が浮上してきましたね。

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