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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
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性懲りもせずに遅れていきます。



あと蛇の神話生物は特に関係ありません。

 ドアを開いて外の確認。



 廊下もログハウスらしく木で構成されており、部屋の中ではシャンデリアだった灯りも壁掛けになっている。



 ...あの灯り、蝋燭に見えるのだけど燃えたりしないのかな。



 まあこの触り心地も匂いも完璧に木の素材も、おそらくは確実に謎物質であるだろうけども。



 さて、そんなことはどうでもいい。



 この廊下自体は右と左に伸びている。左右どちらも先の方は見えない。



 見えないってかなりの長さだから、おそらくいる何かに見つかるとまずいことを考えるとできるだけ進みたくない。



 もうちょっと見てみよう。右側...少し先の方に扉が見える。左側も同じくだけど、左側のほうが若干近いか?



 いやだめだ、左側の先の方から何かが来た。遠過ぎて見えないけど、そうだとして相手にこちらが見えていない確証はない。



 ここは何かがいない右側を進もう。扉は少し遠いけど、それでも歩けば着く距離だ。



 それと、だ。



 プチっ



 ちょっと痛いけど、親指から血を出して扉にマーク。ノブの右につけておこう。



 これでループしてもすぐに気づけるはず。これすら消されたら困るけど、まあまあ。



 一応傷を舐めて、気をつけつつ右へ進む。後ろは...と、正体不明の存在が見えてきたな。



 スカートのような下半身とおそらく人間と同じような体つき。



 腕は2本で、脚はなしか。そして人の顔もなし、のっぺらぼうだ。



 そうのっぺらぼう。服のない体とその木目調から察するに、おそらくあれは人形の類だ。



 人形...人間ならまだしも人形か。



 あそこまで人間に寄せていない人形だと予測するものもできないというか、そもそも人形をメインで使う神話生物が思いつかない。



 基本的に神話生物が扱う生命というのは、自身が生み出した生物を使役するか勝手にカルト教団が群がっているだけのことが大半。



 イゴーロナク様は実はだいぶ例外で、僕もイゴーロナク様を勘違いしていたけどまず知ったら操れるなどといったトラップを仕掛ける神話生物はそう多くない。まあもしかすると勘違いじゃないかもだけど。



 だって下等生物なわけだし。操らなくても問題ないことの方が多いし。手駒にするのなら人間よりも知能高くて身体能力高い生物でいいし。



 あとなんか物作ってる神話生物自体ものすごく少ない。



 これは本当にミ=ゴやイスの偉大なる種族など、科学を扱う神話生物がものすごく少ないことにも由来する。旧神の方々が科学を扱っていた可能性、というかヌトス様が思いっきり使ってたけど、それにびっくりするくらい科学使いは少ない。



 メタ的な理由で説明はできて、科学で理解できない恐怖というのがホラーの鉄板だから、と言える。そもそもクトゥルフ神話はコズミックホラーであって、理解できないものを恐怖とするのだから、そりゃ理解できるかもしれない科学というものをホラーとして扱うのは難しい。



 閑話休題、そーゆーわけで人形から神話生物が特定できないわけだけど、そうなるとかなり困ったことになる。



 僕のこの知識、最大のアドバンテージはこういう時に対策できるということ。対策にすらないならない可能性があるし、そもそも僕の知識と全く違う可能性があるわけだし、完全なものというわけにはいかないけど前提知識のあるなしはかなり生存に関わってくることを、僕はこの世界で生きていく過程で知っている。



 とくに神話生物の場合は顕著で、知ると発狂が常なのにそれを乗り越えて知識武装できるのはかなり強力。の、はずなんだけどねえ。



 なんて考えていたら着いたね、ドア。人形は、うん、しっかり来てるね。余裕はありそう。



 さっさと入る、その前にちょっとドアを開けて中の様子を確認。



 キィ...



 ふむふむ。大きなテーブルを見るに、ここは食堂のようだね。



 人形もいない。とりあえずはここに入っても良さそう。



 マークするのを忘れずに、少し開いた隙間からスッと。



 さて、人形が来る前にまずは隠れる場所の確認。



 最悪ドラゴンと戦った時に使った方法で隠れてもいいけど、ドラゴンみたいな感知強めの魔獣に効かないことは分かってるし本当に最終手段。



 タンスとかでガタガタしてもいいけど、うーん...



 部屋の広さは僕が目覚めた寝室らしき部屋の2倍くらい。ベッドが大きかったから部屋が狭いように感じたけど、部屋自体はかなり広めみたい。



 そしてここにあるのは食堂らしく大きい長方形のテーブルが一つと花瓶の置かれた台が一つのみ。



 どうしよう。隠れるとしたら...






 カチャ



「っ!?」



 すぐにテーブル下へ。テーブルクロスが大きめだからギリギリ見えないかもだけど、そもそも何で感知しているのかわからないのですぐに息を止める。



 キィ...



 中に入ってきたのは、おそらくさっきの人形だ。ふわふわ浮いているのと浮遊音がすることからそう考えれる。



 モモモ...



 そいつは浮いてこの部屋を動いている。テーブルを回るように移動しているみたい。



 すぐにテーブル中腹に来たけど、このままだと...



 ...



 ...



 ...僕の目の前で、それは止まった。



 息はしていない音も出していない。見えない位置にもいるし祈ってもいる。



 でも...



「PPPPP」



 瞬間、そいつはテーブルに手をかけて思い切り持ち上げ、



 ブン!!



 投げた。



 もちろんここまでされたら僕は隠れることができない。



 そしてそれは目の前に現れた僕を見るなり、豹変した。



 手の形状は5本指から唐突に刃となった。



 スカートはトゲトゲ、木目調の美しい体は臓物垂れた骨のそれに。



 でものっぺらぼうは変わらずで、でも人形とかけ離れた姿になったそれは悍ましいことに変わりなく。



 ...戦闘か。



「勝てるかな、僕」



 勝たなきゃダメよ。弱音を吐かないで頑張れ、肉体の僕。

俺自身、逐一調べるようにはしています。



その上でありえない方向に色々変えてます。

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