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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第七章 狂季愁豪理不
324/402

頭の中のうち80%くらいは戦闘に関することで埋まってる

画面を見る時は 部屋を明るくして 画面から離れて見てね



じゃないと頭痛になります(n敗)。

 砂岩で構成されたこの部屋は円筒状で幅も広く、戦闘は十二分にできるようになっている。というか広すぎる。



 小石や出っ張ったものもなく、フラットになっているため、むしろ戦いやすいかもしれない。



「目的の部屋は...あそこにあるね」



 エリカさんが指さす先には、扉がある。



 大きい入り口やさらに大きいこの部屋の中ではかなり小さく見えてしまうそれは、うん。確かに宝物庫だね。



「チョオオオオオオ!!」



 雄叫びが聞こえ、後ろを向く。



 ちょうど反対側、入口の方からだ。



 ドスン、ドスン



 地響き+崩れた<ダンジョン>と共に現れたのは、巨大な魔獣。



 ...ラクダの体に、あれは鳥の頭かな。



 サイズがあの草原に出てきた巨人と同じくらいの大きさ、推定100mであることに目を瞑れば、ただのラクダと鳥のキメラだと思う。



 おそらく喉と思われるあたりから前足の先まで広がる黒い肌...もしかすると体毛かもしれないけど、それが特徴的だね。



  <キャロラメル>の説明に書いてあった親玉。それがおそらくこいつだろう。そしてそれは、同時に<ダンジョンボス>であることも意味する。



 ーーーーーーーーーーーー


 >キング・ティタノニエータ<


 635000/635000


 ーーーーーーーーーーーー



 うーん規格外。巨大なだけはある。だけどそれ以外に特徴がない分、今までの魔獣とは異なって可愛さを見出すことが可能かも。



「足細いねえ」

「大きさに見合わないな。腱への攻撃が有効かもしれない」

「さっきまでの<ダンジョン>を崩してきたんだ。巨大なだけあって身体は硬そう」

「<シュガーブロック>でできているのなら熱耐性は高いだろうな」

「鳥目なら暗闇も有効そうですね」



 うん...うん?



 僕があの姿について色々考えている間に、どうやらみんなは弱点について考えていたらしい。



 神話生物がそんなこと気にせずに突破するのもあってほとんど考えたことなかったけど、やっぱり初めて見た魔獣とかはまず探りから入れるのかな。



「マリア、<神話生物>はどうですか?」

「見てみるね。んーと...」



 <インベントリ>を見てみると、


 ーーーーーーーーーーーー


 無理


 ーーーーーーーーーーーー



 おかしいな。<インベントリ>に文字を自由に表示する機能なんてあったっけ。



「無理かな。多分みんなお腹減って力が出ないんだと思う」



 どれだけ強くても生物だ。食事が必要なことは今までのお金がほぼ食費になって消えていることからも明らか。



 すでに1週間は飲まず食わずなわけで、僕はなれてるけどみんなはいつもたくさん食べてただろうし、そりゃ動けなくなるでしょう。



「そしたらマリアは私の後ろにいてねえ」

「う、うん」



 大人しく後ろに隠れる。弱いからね、僕。



 あの時深きものと戦って勝てたのは、文字通り運、そしてイゴーロナク。今の僕はショゴスがいるだけであり、もちろんショゴスは護衛程度にしかならない。



「私は特段強いわけではありませんから」

「あの時盗賊たちを倒せたのは初見だったからかな」

「<聖域起動>。でもお、倒せるだけすごいよお。戦いなんて知らなかったんだからねえ」



 音もなく<結界>が張られる、僕とお姉ちゃんを守るように。



「マナ、ダガーかなにかはあるか?あいにく<斬属性>の手持ちがない」

「あるよお。(オイ)程度だけどお」

「問題ない。あるだけで助かる」



 お姉ちゃんがナイフを投げ、キーゴイがそれを掴む。



「キョオオオオオオ!!」



 程なくして発せられた雄叫び、戦闘開始の合図となったのだろう。



 ダン!



 僕とお姉ちゃん以外の4人が一斉に地面を蹴った音が聞こえる。



 同時に、>キング·ティタノニエータ<、めんどくさいから砂漠王と略すけど、それのくちばしに火炎球が発生する。



 なにか溜めているのか、すぐには発射されない



「むむむう、(ラダ)くらいかなあ。<水泡(スプラッシュ)>」



 シャボン玉のようなものがたくさん火炎球へと飛んでいく。



 正確に飛ばされたそれは火炎球に触れ、そして



 ボシュン



 という音と共に火炎球が消火された。



 これが教科書に載っていた<相性>というやつか。ここまでわかりやすく消えるのなら、あまり魔法がバンバン飛びかわないのも納得がいく。



 ドラゴンのブレスとか、防ぎようがないと思ってたけどこの様子だと全然消えそうだしね。



 物理が強いのも納得です。基本的に物理系の属性は相性で消えることはないもんね。



「あとは<与剰(エンチャント)>かな。

 。刃よ

 。鋭くあれ

<鋭利(シャート)>」



 お姉ちゃんがさらに魔法を行使する。



 すると、アンジェリアさんの槍とキーゴイの持つ短剣が少し輝きを持つようになった。



 <与剰>、エンチャントと言っていたけど、つまりは武器に魔法をかけたのかな。



 それで性能を上げたとかそんな感じだと思うけど...にしても知らないこと、まだまだあるんだなあ。



「アンジェリア、右に行く」

「了解だ」



 キーゴイとアンジェリアさんが2手に分かれて足元へ。



「私たちは...」

「首にいこっか」

「はい、わかりました」



 エリカさんとリーシャは少し離れていく。何か話してたけど、一体どういう...



「<円撃>」

「<乱撃(ダンス)>」



 瞬間、右前足に一筋の光、そして左前足に複数の光が現れる。



「キュウウウウウウアアアアア!!」



 そして砂漠王が叫び、前に倒れ込んだ。



 砂煙が現れる前、一瞬だけ見えた足、それも膝関節には大きな傷が。さっき言ってた足が弱点かもってことを本当に実行して動きを止めたんだ。



 オオオオオオオ!!



 衝撃が僕らの方へ。でも<結界>によってそれは防がれる。



 ...待って。リーシャたちは?



 そう思った矢先、砂煙が晴れる。数多くの光と共に。



「キャアアアア!?」



 見ると、後足も崩れて完全に倒れ込もうとする砂漠王がいた。



 ここまで来ると可哀想になる。まともな攻撃は火炎球しかやってないよ、こいつ。



「エリカあ、リーシャあ、ちょっと待ってねえ。

 。拳よ

 。重くあれ

<重厚(ティート)>」



 魔法が行使されると、エリカさんとリーシャの手が鈍い色になった。



 金属のよう、と形容するのが最もいいそれは、打撃するのなら効率はかなりいいだろう。



「ナイスマナ!リーシャ、合わせるよ!」

「はい!」



 エリカさんが前に出て体を登っていく。



 推定100mのうち半分が脚、ということは体と首は50mくらいということになる。



 結構大きいはずなんだけどね。ガンガン首を登っていく。



 それも首を蹴って。普通首、というか壁を蹴ったら反対側への勢いが発生するはずなのに、なぜか途中で折れてまた首の方へ向かってる。



 なんか訳がわからなくなってきた。ここまで1分もないのに自分の知らないことが立て続けに起こってる。



 初めてクトゥルフ神話を知って、その小説を読んだ時くらいの理解不能さだ。



「はああああ!」



 駆け上って大体中腹、思い切り反対側に行ったあとまた戻って勢いをつけたエリカさんと



「はっ!」



 いい感じのタイミングで緑色の光を纏う足で飛び上がったリーシャ。



「<落急蹴>!」

「<月蹴>!」



 挟むように2つの<魔技>が首を直撃する。



 もちろんそれを避けることも、防ぐことも、砂漠王にはできない。



 だって、倒れ込んでいる最中だからね。そもそも動くことすらままならないのよ。



「キョオオオ...」



 力無い鳴き声が響き、



 バキィ!!!



 そのすぐ後、首が真っ二つになった。



 ーーーーーーーーーーーー


 >キング・ティタノニエータ<


 0/635000


 ーーーーーーーーーーーー



 嘘お。今までの<ダンジョンボス>、毎回第2形態あったのに。



 1ターンキルしちゃったよ。

<勇者>だってやろうと思えばこれくらいできるんですけどね。



相手が悪いです。

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