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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
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幕引き2 ちょっと時間を巻き戻した<魔王>

時計の針って逆回転させるの良くないって母親に言われたことがあります



中の機械を壊すとかなんとか

「はい、到着と」



 大穴から飛び上がっておよそ3日。その間ずっと空中にいたけど、こうして地上に戻ってくることができた。



「そうしたらあ、ここからどうやって帰ろっかあ」

「一直線に帰ればいいのでは?」

「そうしたいのは山々なんだけどね。ちょっと距離が遠いかな」



 エリカが<インベントリ>から取り出すは、地図。



 大きめの縮尺で、この星の全体が描かれているみたいだけど...



 ...何気に星の全体を初めて見た気がする。教科書には文でしか書かれていなかったし。



「この地図だと大体...ここら辺が今いるところだな」



 アンジェリアさんが指し示したのは南東南の広いところで、あたりには大きい街は描かれていない。



「そしてシウズ王国王都はこの辺りです」



 リーシャが示したのはそこからかなり離れた、中央に近い北のあたりで東より。



 ...ん?



「あれ、確か僕たちが前いた国って」

「ニャージーランドですね」

「それが描かれていないけど、どういうこと?」

「ニャージーランドはねえ、<フィンナの森>がずっと移動し続けていて地図が頼りにならないからあ、描かれていないんだあ」



 そうだったけか。確かになんか特殊な御者の人に連れて行ってもらったような。



「その前はどこに?」

「イマジのメッキョっていう場所」

「すごっ。ここからだと結構遠いよ?」

「ニャージーランドから来たんだろう?ここから離れたところに<フィンナの森>の移動ルートがあるはずだ。メッキョから比較的近い位置にもあるはずだから、そこから来たんだろう」



 神聖皇国イマジの領土は、星を縦横で切って4等分して、南を下とした時に左上となるあたり。



 その中でメッキョは北の方。今いるこの場所が南東の方だから、移動量がすごいことになっているよ。



 1ヶ月ニャージーランドにいたけど、その間に結構な距離を移動している、ってことだよねこれ。



「閑話休題。私たちシウズ王国王都からここまで歩いてきているけど」

「...ここからだと30ほど。だがこのあたりは<生存不可区域>、実質60あると思っていい」

「かなり疲れたけどねえ」

「あなたのせいでもあるんだけどねマナ...はあ、それで、流石にここからシウズまで歩いて行くのは不可能なの」

「特に食料問題でねえ」



 確かマナお姉ちゃんが持ってきた食料は、<龍穴/黒>到達時に6人で2週間分。



 同じ量を食べると考えるなら、あの時点の2人分は3倍の6週間分。



 2週間分予備を持っていくとしたら、単純に考えて1ヶ月もの間歩くことになる。



 そんな食料ないわ。うん。すでに1週間くらい経ってるし。



「そうなると、ここから一番近い街に行くことになる」

「それはどこ?」

「この辺りだと...ここだな」



 指し示されたのはさらに南。



 陸地が欠け海が広がる場所。



「サマナル諸島?でも...」

「魔獣の湧きが酷いな。少なくとも6人で移動すれば食料は確実に足りない」

「距離的には問題ないんでしょ?」

「戦闘をすれば必然的に消耗が早くなります。全部<神話生物>の皆さんにやってもらうことを、マリアは断言できますか?」

「...断言か」



 できないなあ。流石にそれは無理だ。



 今僕の<インベントリ>にいる<神話生物>の方々は、旧支配者多め外神まあまあで旧神はクタニド様だけ。



 旧支配者はそもそも人間に敵対的でなんで僕の願いを聞いてくれるのかわからないし、外神はそこら辺適当。



 頼みの旧神は完全に信用すると危ない存在。あくまでも彼らは自分たちよりも上位の存在で、味方してくれない可能性の方が高い。



 となると今の状況、確実に毎回の戦闘で神話生物が戦えるかと言われると...



「無理だ」

「でしょう?そうなるとまず足らなくなるんです。消耗するということは、それだけ休む時間も増えますから」

「なるほどね」



 そしたらどうやってこっから生き延びようか。



 今いるここも<生存不可区域>だ、長居するわけにはいかない。



「提案なんですけどお、(エル)に進むのはどうですう?」

「東?」



 んな急に。



「街はあるの?」

「...(セル)よりは遠いが、一応小さな集落はある。<生存不可区域>の拡大によって廃れてはいないはずだ」

「どうしてそう言えるんだ?」

「これでもつい最近まで群を維持していたからな。ここら辺の多少の地理はあるつもりだ」



 そういえばキーゴイそういうやつだった。



 あまりにも馴染んでて忘れていたけど。



「ならそこに向かうのが一番だね。食料は...」

「半分賭けだな。<ダンジョン>が1つ生まれた報告は聞いたが、それ以上はまだわかっていない」

「位置は?」

「<ダンジョン>はこの辺りだ。集落はそこから東に行ったところだな」



 確かにちょっと遠いけど、北寄りの東だし食料はなんとかなるかもしれない。



 <ダンジョン>で食料が取れたら何にも問題はないわけだし、行く価値はありそう。



「南に行くよりは安全か。ならそっちへ向かおう」

「キーゴイ、案内を頼める?」

「問題ない。俺も<ゴブリン>の集落を見つけるまではついて行くつもりだったからな」



 そういえば今のキーゴイって部下がいない>ゴブリン・キング<だった。



「その<ゴブリン>の集落の目処は?」



 聞かれると、キーゴイは首を横に振る。



「ここら一帯の<ゴブリン>は吸収合併した後だ。かなり遠くにいかなければないだろう」

「南の方がいいのでは?」

「元<ダンジョンボス>ではあるが、1人ではなんとかできない質と数を考えると今南に行くわけにはいかない。それに、強化なら後々いくらでもできるだろう」



 いくらでもできるって...



「なんで?」

「いつかお前は居を構えることになるだろう、<勇者>を待つための城を。そしてそこには神話生物と知識と技術が集まるのだから、俺たちはいくらでも強くなれる」

「確かに」



 そう考えたら納得だね。



 城か...建てるならどこがいいかなあ。



「未来のことは後で考えろ。今は目の前が一番重要だ」

「...それもそうだね」



 思考やめ。目の前に集中。



 目指せ東の集落、だね。



「今日はもう遅い。進むのは明日にしよう」

「あ、でも野宿は...」

「魔獣除けがあるから多分大丈夫だよお」

「なら安心ですね」

「全く効いていなかった様子だったけどね」

「はあ...戦闘態勢は維持だな」



 幸先から不安だねえ。



 大丈夫かこれ。

あと1話幕引きやって、そしたら次章です

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