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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
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存在自体がバグ

もう登場生物全部

 うむ...まあ、本気出したらこうなるよね。



 カミラの視点から見ているこの惨状。僕の何倍も強い<勇者>がボコボコになっているこれは、なかなか。



 少なくともスカッとはしないね。うん。



「確かに見てもあんまりSANは削れないだろうけど、だからってそれが格が低い理由にはならない」



 もちろんヌトス様が言うとおり、ヌトス様はそんなに戦闘が得意ではないのだろう。



 自分で言っているわけだし、バースト様を比較対象にすれば尚更そうなる。



 最も、この状況を見れば得意っていうのがいかにヤバいのかを理解できるけどね。不得意でこれなんだから、本気のバースト様はもっとヤバいってわけ。



「ナノマシンで構成された肉体か。元の肉体の方が強いのではないか?」

「それはもちろんそうでしょうが、未来のことまで考えると話が変わりますよ」

「そうそう」



 彼らは生命だ。半ば不死と言っても差し支えないけど、それは人間の尺度で見ているから。



 神話生物の尺度で見る、というか無理やり神話生物の尺度に合わせると、どう足掻いても命の問題が出てくる。



 それは肉体の、という以外にも、例えば宇宙や空間の命の問題でもある。



「確か宇宙の外には完全な"無"が広がっているらしいけど、"無"ってことは自分たちも存在できないわけで」

「尺度がおかしすぎてむしろわかりにくいですけど...例えば通常の肉体である場合、まあ実際には腕や足が欠損した程度ではなんの問題もないんでしょうけど、でも全損、あるいは八、九割の欠損である場合っすがに機能を停止します。復活するのにも時間がかかります」

「そういう問題を解決するための方法の一つとして、サイボーグを試しているというわけか」



 体が造られたものなのであれば、あらかじめスペアを作っておくことで体が全損してもすぐに行動できる。



 しかも肉体と違って構成物に制限がない。



「"無"だって、むしろ"無"で肉体を造ってしまえば対応できるかもでしょ?」

「造ったものであることにはメリットが多いのだな」

「でもデメリットがないわけじゃない」



 わかりやすいのが出力の低下。神話生物は神話生物であるが故、そこら辺の物質よりも自らの肉体の方が強い。ヌトス様はわからないけど、バースト様のような戦闘が得意な神話生物であるなら造られた体よりも生身の方が強くなってしまう。



 あとは適応もそう。個体差というのはどれだけ強力な生物でも存在するから、めちゃくちゃ強い体を造っても使えない可能性がある。使えなきゃ造ったところで意味はないだろう。



「なるほどな」

「それにしても<勇者>はこっからどうすんのかな。全員ボロボロだけど...お?」



 なんだ?まず絶対に避けられない腹パンを、首を支点に避けた、か?



「あれはソルスが手に入れた<魔技>で、確か<直前回避>というものですよ」

「<直前回避>。なんかアクションゲームでありそう」

「回避した瞬間に簡略化した<時属性>の魔法と強化系の魔法で攻撃能力を強化して、一気に畳み掛けるものです。反動で、ギリギリで避けられなかった場合に甚大なダメージを負いますけど」

「...<時属性>を扱ってさらに他の魔法まで使う理由がわかった」



 そんな魔法が...あ、でもダメだ。



 そもそも回避した後の速度に対応されてる。



「時間を加速しているんだよな?」

「しているのは体内の時間だけみたいですけどね。空間ごと加速しようと思うと莫大な<魔力>が必要になりますから」

「まあ目で追える程度だし、そりゃ対応できるか」



 バースト様があいつを普通に追ってたからね。



 ヌトス様に追えない道理はない。






「は?」

「え、え?」

「今...ああ?」



 体は神話生物ではないにしろ、僕らの精神は神話生物だ。



 そしてその中でもカミラの身体は格別。戦闘はしないものの目などの感覚器官は他の<勇者>と同等まで成長している。



 イゴーロナクネットワークで見ていても少し酔うほどだ。



 で、そんな目で追えなかった。



 ...ヒュアアアアアアア!!



 さらにすごい音。ソニックブームってやつかこれ。



 そして



「■■■■■■■■■■■■■■!!」



 大きな叫び声、それは目の前の神から出された声。



 人間においては心臓のある位置に風穴を開けているのが理由か。



 というかどうやってそんな高威力を叩き出したよ。さっきまでほぼダメージなかっただろ。



  <魔法属性>は使っていなかった。あの剣に色のついたエフェクトが無かったのが何よりの証拠。



 なのに、飛ばした。



 ーーーーーーーーーーーー


 >الباحث القديم مجنون<


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 ーーーーーーーーーーーー



 HP全損。お前なんなんだよ。



「マリアあ、そろそろ行くよお?」

「ああそうだね。それじゃあリーシャ、帰りもお願い」

「任せてください!」



 リーシャに背負ってもらって、と。



「それじゃあ行くぞ。<上昇気流(ピクイズ)>」



 魔法が行使されて風が下から上へ吹き荒れる。



 ...なんかスースーする。また服を買わないとなあ。



 さてと。視点をカミラに戻して、今はどうなってる?



「ちょうどヌトス様が冷静になったところですよ」



 お、ちょうど何もないタイミングだったか。



「はあ...はあ...くそ、結構損害が大きいぞ...」



 明らかにさっきまでの余裕がなくなってる。



 ダメージをHP以上に喰らっている。神話生物にHPは全く意味をなしていないけど、だけどある程度の防御機構としては機能しているのかもしれない。



「原子構成変更機構は半壊、魔力貯蔵炉は軽微か...だが、ナノマシン生成装置が完全に逝っている」

「...あ...うう......」



 しかしあんなボロボロでもまだ動いているのはさすが神話生物だ。



 まあ同じようにボロボロな<勇者>ソルスは一体どうやって生きているのかさっぱりなんだけど。



 多分反動だよな。体、全身、そこらじゅうから何かが飛び出てる。



 筋肉繊維とか、骨とか、血管とか。立ててるだけ不思議なレベルなそれは...



「だけど、どうやらそれは君も同じだね、<勇者>...一体どうやってあんな速度が出たのかは不明だけど、生身で音速を突破したんだ。私たちならいざ知らず、ただの人間ならそうもなる」

「ぐ......」



 音速の突破て。ドラゴンで飛んだ時もそんな速度でなかったよ。



「この好機を逃したくはないが...今の私だと君にとどめを刺すことはできない。正直しゃべることも難しいんだ」

「に...げる、つもりか...?」

「全くもって不本意だが、そうさせてもらおう。後始末は...任せるぞ、イゴーロナク」



 カミラが反応。頭を抱えてソルスの元へ。



「ま、待て...」

「そう言われて待つバカはいないよ...今回は君の実力がわかっただけよしとしよう。今後が楽しみだ」



 鍵を<インベントリ>からだす...あれは、<門の創造>か。



「あああとイゴーロナク。<勇者>のあれは明らかに何かがおかしい。一度イスの奴らに調査させておいてくれ」



 そう言われると思ってました。



「すでにイスの偉大なる種族は呼んでいます。次の休憩時に合流できるはずです」

「サンキューショゴス」



 僕の肉体がイゴーロナクであるのだから、同時にショゴスもまたイゴーロナクになってる。



 わけわかんないけど、なんかすごそう。



「な...カミラ...」

「それじゃあちょっとこの光を見ていてくださいね。あ、目は瞑らないでくださいよ?」



 ピュイーン



「あとは記憶の書き換えかあ。どうします?」

「そうだね。ヌトスまではたどり着いたけどボコボコにされた、って感じで」

「はーい」



 ...その機械、どこかで見たことがあるような気がするんだよね。



 なんかエイリアンが出てくるやつで。



「お察しの通り<ニャル&ホテップ商店>で購入しておきました。こういう時に必要になりますから」

「おのれニャル様」

そろそろ幕引きの時間ですよ

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