対ヌトス② 資料
ちょいと短いかもですが。
「今は生物工学...その中でも、生命と機械の融合、つまりサイボーグに関して私は日夜研究に明け暮れていてね」
ヌトスが話している間に回復する。
かすり傷しか受けてはいないが、そのかすり傷が勝負を決める時があるからな。
「サイボーグと言っても君たちにはわからないだろう、君たちにとって分かりやすく説明するのなら...」
構えはとかない、だが攻め込む隙はない。
銃口がこちらを向いている。確実に、今動いても弾が来るだけだ。
避けたり切ったりすることは可能だが、しかしそこから先はMPの消費を強要される。
今回復しなければならないほど一瞬で消耗したのだから、攻撃するのならもっと確実な隙を狙うしかない。
「四肢や目を失った者がつける、あるいは強くなるために自らの部位を切り離しつける。それがこの世界の義肢や義眼だ。私の体はそんな義肢や義眼だけで構成されていると、そう考えてもらって構わない」
背中をむける。その瞬間を逃さず一気に詰める。
もちろんこちらに<銃>を撃ってくるが、しかし振り向くことが交えたために2発は顔の横を通り過ぎていった。
「最も、この体を構成する機械は君たちのよく知る義肢や義眼とは別だ。生命の体を構成するための部品一つ一つ...骨や筋肉などをさらに構成するそれ。君たちは知らないだろうそれを細胞と言うが...」
さらに放たれる1発を倒れ込むように回避、地面に手をつき倒れ込んだ移動をそのままに足で思い切り蹴る。
ダメージは微量だろうが、剣で斬りつけるよりも衝撃は強いだろう。
「...それらと同じサイズの機械、それがこの体を構成する。一応ナノマシンという名称もあるが、まあこれも君たちは知らないだろうね」
仰け反ったところにマイゲスが近接攻撃を叩き込む。
効いている様子は...
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>الباحث القديم مجنون<
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ないな。
「まあそれはそれとして、だ。これはあくまでもプロトタイプで、私自身このクレイトロニクスの肉体が答えだとも思っていない。だがだからこそ色々な機能を試すことになる」
体勢を立て直せた。
だが...やはり攻撃しても全く効いているように感じない。
「この肉体は、君たちが持つ五感、つまり」
やはり金属のような感触がある。
「視覚」
だが...本当に金属なら弱点があるはず。
「聴覚」
ならば。
「<炎撃>」
「嗅覚」
炎を纏った剣を振るう。
「味覚。いやこれはあんまり意味なかったな...」
カン!
ダメか。となると質の低い金属ではなさそうだ。
「そして触覚。これらで感じたことを踏まえて演算、予測し、結果的に私に衝撃が伝わる場合、その衝撃が伝わる部分が自動的且つ瞬間的に硬化するようになっている」
それがこの現象の答え、というわけか。
「もちろんナノマシンは消耗品だが...まあ、原子を組み換えればいくらでも作れるからね。その原子すらも君たちは知らないのだろうけど」
文字通り、体を金属にする。
<硬化>という魔法があるが、それと似たようなことをやっているのか。
...だが、それを反応で使用しているのなら。
「マイゲス!!」
「おうよ!」
カミラの声と共に加速するマイゲスの攻め。
乗じて俺も攻撃する。
「だから効かない。この硬質化を突破しない限り、君たちは私にダメージを与えることはできない」
「ああ。だからそれを突破する」
「へえ?」
同時に攻撃すれば流石に衝撃で後ろに下がっていく。
つまり、あまりノックバックに耐性がない。
「...と、壁が」
「逃しません!」
矢が飛んでくる。
それに気を取られている隙に俺が少しだけ横に移動し壁を挟んで三方向で塞ぐ体制をつくる。
...念の為属性に対する耐性についてあらかた探りを入れるか。
「<水霧>」
「<突風>」
メーノが<風属性>をみる。
しかしどちらも効いている様子はない。
「<魔法属性>か。確かにそれらに対して試験は行っていないね。最も<ドラゴンの鱗>を参考にしたのだから、限りなく高い抵抗値が出そうだ」
「<雷撃>」
「<爆発>」
...少し、<爆発>で傷がついたな。
「流石に高威力の<爆属性>なら傷がつくか。確か対物性能も高かったはずだし、それが作用したのかな?」
こっからですよ、こっから。




