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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
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戦闘前

メインディッシュは次回にとっておきましょう。

 扉を開き、奥へ進むヌトス。



「どうする?」

「...俺たちがやることは一つだ」



 招かれているのは、俺たちだ。



 無論招かれるつもりはないが、しかしこの閉所で戦えばヌトスの方が有利。



 あまり動き回れないのに致死威力の攻撃を避けなければならないのは、どんな達人であろうと難しいだろう。



「追いかけましょう」



 カミラの声に皆が頷き、移動する。



 壁などにも、そしてもちろんヌトスにも警戒しつつ扉の先へ行く。



「なるほど。こりゃ確かに戦いやすいだろうな」

「もともとは自然発生の<ダンジョン>だ。<ダンジョンボス>を殺した後乗っ取ることは容易かったが、どうもここだけは壊せなくてね。仕方なく手前に研究室を配置したのさ」



 <ダンジョンボス>がいたのだろうその部屋は、やはり図書館と言って差し支えない姿だった。



 壁一面が本で埋め尽くされていて、それ以外は何もない、ただのすごく広い部屋。



 ...中央の大量の紙束、いや相当に大きかったのだろう本の残骸をのぞいて。



「ふむ、これ少し邪魔だな」



 パチン!とヌトスが指を弾けば、一瞬でその紙屑は消滅した。



 ...やはり、強いな。



「さて、では始めると...」

「その前に一つ聞きたいことがある」

「ん?」



 こちらに耳を傾けるヌトス。



「なぜ、<銃>を作った?この世界ではお前たちとまともにやりあえる個人はいない。いや...俺たちだからこそ戦えるのであって他の誰かでは戦闘にすらならない」

「ふむふむ、時間稼ぎかな?」

「それもある。だが本心だ」



 後ろで準備をしている、というか俺も各種強化系の<ポーション>を飲みつつ話している。



 どうせ隠しても意味はない。心は読まれるからな



「潔いね」

「...戦う前に答えてほしい。俺たちにとって<銃>はあまり必要ない、どころか戦火の種でしかないと思える」



 もとより<魔王>とは戦うことになる。そして多数の死者が出ることにはなるだろう。



 だが<銃>はお互いに死者数を爆発的に増加させるだろう。防御が難しい以上防具は次第に廃れ、回避をすることが前提になり、しかし避けることも難しい<銃>はどんどん人を殺していく...そんな未来が見て取れる。



「魔獣に対しても使えはするが...すでに剣などの兵装と魔法が充実しているこの世界に、全く新しい武器はそもそも必要ない。作る必要性もない」

「そうだね。確かに<銃>と同じ威力、出そうと思えば君たちだけでも出せるはずだ」



 軽く笑いつつ、ヌトスは続ける。



「だから強いて言えばこれは、私たちからの贈り物。いわゆる、敵に塩を贈る行為だ」



 <インベントリ>から剣をだし、軽く振るっている。



 誰の目から見てもわかる、初心者の動きだった。



「もうすぐ戦争が始まる。それが具体的にいつかどうかなんて私は把握していないが、その時になればまず間違いなく、私たちは<銃>を使う」



 続いて弓。引き絞って俺たちとは明後日の方向へ飛ばすが、全然飛ばない。



「特に技量もいらない、引き金をただ引くだけで人を殺せる武器だ。大量配備するだけで、君たちに勝つことができてしまう。急に頭が吹っ飛んだ友を見て、何も考えず前に進む馬鹿はいないだろうからね」



 今度は杖を持つ。何やら<詠唱>をしているように思えるが、始めた瞬間舌を噛んだ。



「いてて...まあ、端的に言ってしまえば、それはつまらない。どうせなら楽しい戦いが、フェアな戦いが君たちもしたいだろう?」



 剣弓杖の全てを捨て、それらは消滅した。



「だから作ってあげたのさ。今後君たちが<銃>を作れるように、その原型となるものをね」



 手の上に何かを生み出した。



 それは...小さな金属の塊のようだった。



「そうすれば、君たちも戦争で<銃>を使う。もちろんこっちも<銃>を使うんだ、戦いは熾烈を極めるだろう。しかし同時にフェアな戦いでもある。お互いに、簡単に敵を殺せるのだから」



 もう一つ生み出す。



 金属の細長く小さい箱のようなもの。それに先ほど生み出した金属塊を入れていく。



「最も、私は研究者だ。戦闘は得意でないし、ものづくりだって上手くない。<旧き印>だって、図形じゃなかったら作れなかったよ。戦争だって、私は後ろで色々と作ることに専念して、指示は私以外の、例えばノーデンスあたりがやるだろうね」



 入れ終わったのか、それを白衣のポケットに入れる。



 そしてこちらに背中を向ける。



「だけど今回は戦闘しなければならない。<魔王>であるマリアに会うためにも、とりあえずここは生き延びなければならない」



 そう話すと、ヌトスは下に手を広げた。



 そして、白衣の袖から<銃>が現れ、手に収まった。



 両手に。



「だからまあ...手加減してくれよ?」

「来ます!」

いらない(震え)。

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