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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
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>狂気なる旧き研究者<

いよいよ登場です。

「......構成完了......これで、よし!<解呪(デスペ)>!!」



 メーノが<魔法陣>を起動する。



 部屋全体に描かれた<魔法陣>が光を放つ。立体的な光の線による図形が、1点に集約する。



 俺の手に、光が集まってくる。その光は温かく、また手を包んでいく。



 すると、手の甲に描かれている何かが端から塵となっていく。



 パラパラと崩れていき、10秒も経てば跡形もなくなってしまった。



「...消えたな」

「ああー、もう疲れた...家に帰って寝たい...」



 2日寝ていなければ、どんな人間だろうと疲れる。



 だがその疲れを取るのは間違っても今じゃない。



「飲むか?」

「ん...」



 <インベントリ>の中から<エナジーポーション>を渡すと、メーノはゆっくりと飲み始めた。



「...おええ」

「我慢しろ。良薬は口に苦しだ」

「あの苦さはいまだに慣れねえけどな」



 マイゲスにも1本渡して俺も飲む。



 ...この苦さは時に利点になりうる。眠い時だ。



 絶対に覚醒させてくれる以上、眠気が襲ってくる時に飲めば一気に目が覚める。



 デメリットが大きすぎて起床直後とかには飲めないが、そういう時は単純にこれと同じ味のものを飲めばいい。効果を回復にした苦い<ポーション>は緊急用に俺も1本持っている。



「それに飲み慣れればクセになる味だしな」

「の、飲み慣れたくないですけどね...」



 本当なら体力回復薬を飲むのが一番いいのだが、いかんせんあれは手に入りずらい。



 早く量産化の目処が立ってほしいものだ。



「よし、出発するぞ。カミラ、マイゲス、マッピングは終わってるか?」

「はい。すでにマッピングは終わらせて、最短経路も絞ってあります」

「メーノの言うとおり、他の場所はここみてえに角が埋まってなかったぜ。<解呪>して正解だったな」



 本当にな。それに俺とメーノ以外はしっかりとした休息が取れたはず。



 これならパーティのパフォーマンスはほぼ最大と言っていいだろう。



「さっさといきましょう。時間は有限なのでしょう?」

「ああ、そうだな」



 扉を開き、<ダンジョン>を進む。



 おそらくあの部屋で攻めきれなかった場合はこの道で詰める手筈だったのだろう。まるで俺たちを狙い撃つかのように角が人工的に設置してある。



 しかも道がどんどん狭くなっている。最終的にはかなりきつい状況に陥っていたことだろう。



 少なくとも後衛が1人で対処できる奴らじゃなかった。メーノは防御手段があるから耐えられるかもしれないが、アタッカーであるシートは2体同時に相手どるだけで苦労するはず。カミラはもってのほかだ。



「こっちです」



 しかし俺の<呪>はとうに消えた。奴らはまずもう追ってくることはないだろう。



 最短の道を進むこと5分。やはりそこまで広くないが、本来は次に進む道を見つけるために4択をする他なかったはず。



 斥候はやはり重要だ。そしてその過程をすっ飛ばせるカミラのスキル、[完全勝利]は言わずもがな強い。



「ここです」



 そしてついた場所。



 それは、扉の前だった。



「階段じゃないんですね」

「安全区域は全部階段だ。でもその全部が次には進めなかったぜ」

「消去法でここになる、と言うわけか」

「そーゆーこった」



 持ち物を確認する。最終チェックだ。



 回復系は全てポケットに入っている。アルカマも、目立った欠けとかはない。



「すまないな、アルカマ。このところずっと戦いっぱなしだ」

 "安心してください。これが終われば休息を求めますから"



 頷き、構える。



「問題ない」

「他の奴らもいいな?」



 全員、頷く。



「よっしゃ、なら...いくぜ」






 第一印象は、みたことがある。だった。



 どこで?あの<魔王>の出した異空間。その部屋の壁と瓜二つだった。



 幾何学模様と後で知ったそれに囲まれた部屋には、作業机と一つの椅子、それと本棚があるだけだった。



 いや、それだけというのは違うか。



「ふむ...まさか鉄壁のティンダロスセキュリティを突破してくるとは。私としても、それは想定外だ」



 見知った顔がいた。



「ヌト、か」

「<神話生物>です。名称は...」



 すると<ダンジョンボス>のステータス表示が出てくる。



 ーーーーーーーーーーーー


 >الباحث القديم مجنون<



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 ーーーーーーーーーーーー



 やはり読めない、か。



「ああ、自己紹介がまだだったか」

「...何?」

「私はヌト改めヌトス=クァンブル。旧神の1柱で、君達のいう<神話生物>のうちの1つだ」



 ...こっちはすでに構えている。なんならシートはすでに発射準備を整えている。



 なのに自己紹介する余裕がある、か。



「ここでは戦闘する気はないからね。君たちは、2つの目的を持ってここに来たんだから」



 2つ。1つは<神話生物>について記されている本を入手することだが。



「君たちから見て右側、上から2、右から16の本がそうだよ」

「...どういうつもりだ」

「言っただろう、ここでは攻撃するつもりはない。遠慮なく取りなさい」



 ...油断なく、剣先を向けたまま取りに行く。



「ソルス...」

「奴から目を離すな。バーストと同じだったら一瞬が命取りになる」

「おお、バーストとは会ってるのか。彼女は血気盛んだからねえ、その様子から察するに、怒らせること...猫、いやネコマタを殺すようなことでもしたかな?」



 ...ゆっくりと本棚に近づき、本を取る。



 そしてすぐにカミラに投げる。



「よっ」

「カミラ、どう?」

「...すぐには詳しいことは分かりませんが、一つだけ」

「何?」

「見たことのある姿はありました。<狩り立てる恐怖>の姿が」

「...」



 本物、か。



「一体、何が目的だ。お前たちは人間に、ひいては<魔王>に肩入れし俺たち<勇者>に仇なす存在のはずだろう」

「勘違いをしてもらっては困るな。どちらかと言えば私たちは、君たちを守る側。怒髪天を衝いてしまったバーストを見たらそんなことなさそうに見えるかもだが、私たちは結構君たちを気に入っているんだよ?」



 こちらに語りかけるヌトス。



 その目に光はなく、冷たい眼差しだった。



「その証拠にほら、私は君たちを今すぐにでも攻撃できるのにしていない。ここを壊されたくないというのもあるけど、やろうと思えば君たちを殺せるのにそうしていないだろう?」



 どうやら、彼らとは意思疎通が困難らしい。



 やはり<魔王>が言っていた通り、制御するのは不可能なのだろう。



「...まがいなりにも、君たちから神と崇められた存在だよ、私たちは。操るなんてできるはずないじゃないか」



 相手にするだけ、無駄か。



「おっと、踏み込むなんて野暮な真似しないでくれよ?私は少なくともここでは戦いたくないんだ。一応ここは私が長く使った研究室だからね」



 少しヌトスが移動する、とその後ろに扉が現れる。



「移動しよう。ここより戦いやすい場所がある」

ヌトス=クァンブルは旧神の中でもかなりヤバい奴です。



どれだけヤバいかというと旧き印、エルダーサインというものを作ったくらいヤバいです。



普通はこれじゃあわからないと思うのでエルダーサインについて軽く説明(後々神話生物をまとめてあるところで詳しく書きます)すると、それ自体はただの図形なのですが、それが描かれているものを身につけているだけで旧支配者などの神話生物からの干渉から防いでくれる。だけでなくその他色々な機能があるらしい図形です。



もっと噛み砕くと、めっちゃ効果のある、しかもそれ1つ1つがすごく強いものを付与してくれる、物でもなんでもないただの図形を生み出した奴です。ね、ヤバいでしょう?

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