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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
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実は他の方法でやってる

答え合わせです。

「各自回復は済んだか?」

「そりゃ寝たからな」



 つまり回復していないのは俺だけか。



 体のだるさは少し残り、体力の回復も万全でない。



「ソルスも前借薬飲んだからって完全に回復したわけはないんだから、無理は...」

「問題ない。何度も使っているからな」



 <エナジーポーション>。これには何回も助けられた。



 一定時間肉体に一種の麻痺を与えることで疲労を感じないようにすることができる。



 悪夢などをよく見るわけではないが、休んでも疲労が回復しないことはよくある。特に階層が深い<ダンジョン>などに潜っていると終盤でそうなる。



 そういう時よく活躍してくれる。使用ごとに時間は短くなるものの終了前に使いなおせば、効果時間後使用した本数分の時間気絶するデメリットを後回しにできる点も良い。



「絶対に切らさないでね...また戦闘中に気絶されたらたまったものじゃないわよ」

「わかっている」



 あんなヘマはもう二度としない。ちゃんと1週間分持ってきている。



「では...行きましょう」



 改めて扉に向き直る。



 通路の先にあるこの装飾が一切無い扉は、むしろわざと装飾を無くしているようにも見える。



「流石にこっから先は入ってねえからな、何がどーなってるかはわかんねえ」

「カミラ、未だにスキルは復活していないんですよね?」

「はい...」



 つまりここから先は完全にわからない。慎重にいく。



 そう心の中で誓って扉を開ける。



 ギイィィィ...



「...ここは」



 目新しい扉とは裏腹に古めかしい音を出す扉の先。



 そこは何も無い部屋だった。広さは俺たちが横になっても足りないくらいでかなり広く、また明るい。



 バトルフィールドと、そう呼んでいいだろう。さっきまでの部屋と違って何も角が埋められていることもない。



「警戒してください。魔獣、いえ<神話生物>がどこからくるか検討も...」



 バタン!!



「いや。どうやらもう来るみたいね」



 急に閉まった扉の反対側の壁。



 それと床の間の角から煙が溢れ出てくる。



 これは、見たことがある。



 ちょうど今日夢に見たそれ。確かあいつらは角から出てきていた。






 今考えてみれば、最初から決まっていた。



 わざわざ角が埋まっていた理由、それはそこからやつを出てこれないようにするため。



 対策だったんだ。



「...」



 音もなく現れたそれは、前に見たやつとは姿が違った。



 四足歩行で武器は持っておらず、何か鎧のようなものもない。



 だが逆に鋭い牙を持ち、また立ち込める臭いがこの場を支配した。



「腐乱臭か...」



 瞬間、奴は口と思われる部位を開きっ!?



「な、ソルス!?」



 なんとか弾けた。まさかほぼ予備動作無しで攻撃してくるとは。



「カミラ、解析急げ。俺たちは時間をっ、いや、やっぱりいい」

「え?」

「あいつの名前を、俺たちは前から知っている。<魔王>に教えてもらったからな」



 伸ばしてくる舌を弾きつつ近づいていく。



 そんな俺を囮にマイゲスが横から近づく。



「そらっ!」

「...」



 しかし避ける。そのままカウンターまで構え、



「それはさせない」



 矢が止めた。が、効いている様子はない。



「シート、<完全射出>の準備を!」

「わかっています!」



 もう4階、後半戦だ。



 出てくる<神話生物>も並の存在ではないのだろう。



「見たことのない姿だが...お前、<ティンダロスの猟犬>なんだろう?」



 剣と爪を交えつつ話しかける。



 それを無視し俺に容赦のない攻撃を仕掛けてくる。



 マイゲスも攻撃してきているものの大概俺に攻撃することを優先してくる。マイゲスにヘイトが向いても俺がなんとかできるから問題はないが。



「...隙がないな」

「だがあいつよか弱え!」



 交える爪を思い切り弾く。



 そうして生まれた隙に叩き込まれるマイゲスの一撃、それに合わせて俺の追撃。



「...」



 もろに食らって、動きを止める<ティンダロスの猟犬>は、そのまま倒れてしまった。



「はっ、<狩り立てる恐怖>とは比べもんにならねえな」



 ...おかしい。こいつらは時間を超えてくる存在のはずだ。過去に飛んだガウスを殺しにきたのが何よりの証拠。



 なら、こいつらはそんなにすんなり倒せる相手ではないはず。



「...まだです!!」



 また煙が出てくる。しかしそれは1箇所ではない。



 部屋の四隅から1つずつ出てくる。もちろん1匹ずつ。



「なるほど、数がいるタイプのようね」



 これはまずい。奴らの質は確かに<狩り立てる恐怖>ほどではないが、しかし



「っ!?」



 ...この、飛び出る舌のようなもの。今掠ったがその掠ったところにに何やら膿のようなものが残っている。



 傷が塞がらないあたり回復阻害の効果があるのだろう。そしておそらく



「な、こいつら連携が取れてるぞ!」



 爪や牙も同じだ。



 これは...どうやらここからが本番らしい。

見返してみると<ティンダロスの猟犬>が初めて出てきた話の簡単な説明の時に性質について言及しているんですよね。



だから覚えていたなら数話前の時点で気づけたわけです。

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