もはや当たり前のように
体調戻りました
なので次回は2話です
「マイゲス、クリアリングを!」
「おう!」
周りの確認をしに行くマイゲスを横目に、他は全員同じ場所に集まる。
魔獣との戦闘、特に今みたいな大規模な戦闘が起こった時はその音などで魔獣が寄って来る。
これにより連続戦闘が発生、それがさらに連続戦闘を呼び寄せ、最終的に死ぬ。よくあることであり気をつけなければいけないことだ。
「...よっしゃクリア!ここら辺に魔獣はいねえ!」
「ふぅーー...」
だから戦いが終わっても油断できず、魔獣の有無を確認することでようやく安寧を得られる。
最も再湧出する可能性のことを考えると今この場所は安全ではないが。
「休憩は後です。すぐに移動したいのですが、大丈夫ですか?」
「体力的もMPも問題ない。マイゲスは?」
「俺はMPが結構削られたからな。3本は飲みてえ」
「私たち後衛は今回ほとんどMP使ってないから問題ないわ」
確かに、マイゲスは今回1人で守りの要になっていた。
かなりの回数<完全連携>を行っていたことを考えると、かなりの量を消費したのだろう。
「飲ませるべきですね。今回新たな<完全連携>の使い方ができたわけですし」
「あれ、あいつから逃げるために必死になって使った結果なんだよなあ」
「結果的に自分の力になったのだからよかったじゃないか」
一気に3本のMP回復薬を開けて飲む、と吹き出しそうになっている。
かなりの量があるからな。当たり前だろう。
「...ふう、よっしゃいけるぜ」
「なら行きましょうか。ここからはマップは何も分かってませんから、警戒をお願いします」
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この<ダンジョン>は逆三角錐という形をしているらしい。
どういうことかというと、絞られるように階層を進むごとに広さが狭くなる。
1階と2階では2階の方が狭いし、3階も然り。
「そこまで広くはありませんでしたが...」
「ここはどうだ?」
「...違います。あともう一つあるでしょうから、探しましょう」
だが問題がある。階段と安全区域の形状が同じである故に虱潰しになる。
そして狭くなるといっても広いことに変わりなく、
「カミラ、MPは大丈夫そうですか?」
「<暗視>くらいなら大丈夫よ。でも戦闘はダメ、階段ついたらぶっ倒れるから」
「本当に無理そうなら言ってくださいね?さっきから一番苦労してるのはカミラで、次にメーノなんですから」
「それくらい分かってるわよ」
休めるようになったタイミングで倒れると宣言している時点で何も分かっていない。
それはともかく、おそらく安全区域2つと階段が1つな訳だが、ここまでそのうち安全区域2つを見つけている。
そこで休むことはできるが、その分4階にたどり着くのが遅くなる。
俺たちがここにきている理由の半分は、いる可能性の高いヌトの捜索。
4階にたどり着く前に休憩することはできない。まずはたどり着いて、4階の偵察をしながら休む。
「あと探索していないのは?」
「もうほとんど見ていますから...あ、あれですね」
...ようやく見つかったか。もうすでに足が棒のようだぞ。
「魔獣は...いないな」
「向かいましょう」
階段を警戒しながら降りる。特に後ろを警戒しつつ...
「ん?」
「どうしたソルス」
「いや...」
何かがおかしい。いやデザインとしては問題ないように見えるが、どこか今までとは違い違和感がある。
「あれ...」
「何かありましたか?」
「いや...なんかこの部屋、四隅がないなって」
「あら本当。埋められて角になってないわね」
それだ。この部屋は角が埋められている。
それも人為的に。本棚と地面の間がわかりやすいが、何か白い粘土のようなもので埋めてある。
天井も、壁と壁の間も同じ。
「これは...どういうことだ?」
「なんかの装飾だろ。ま、とりあえずテント立てようぜ。俺ぁもうねむい」
...何か、嫌な予感がする。
よく見てみれば4階の入り口の方がより念入りに埋めてある。見方を変えればそれは封印とも言える。まるで奥にいる魔獣、いや<神話生物>が強力であるというかのように。
1階の<食屍鬼>はそこまで強くなかった。<完全射出>で完封できたからだ。だが数がいた時はそうではなく、そこらへんの魔獣よりは間違いなく強かった。
2階にいた<夜鬼>は強かった。急に暗闇になるギミックもそうだが空を飛んでいる時点で俺たちがやれることに限りがある。その上無限に湧いてくることを考慮すると質と数を両立していると言える。
3階、<狩り立てる恐怖>は数はないものの質は上の2つを凌駕していた。少なくとも俺たちが連携しないと倒せないほど強い。
では...階層の境界にこんなものがある4階の<神話生物>とは。
まず間違いなく、この休める時間を有効に使うべきなのだろう。おそらく俺が見てきた魔獣の中で最も強いものになるだろうからな。
だーれだ?




