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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第六章 殺人狂気神話
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バトル系クトゥルフ神話

最近執筆の時間が削られがちです

 偵察というのはいくつか種類がある、大概は魔獣についてかマッピングについてだが、その中でもマイゲスが担当するのは魔獣についてだ。



 まあ最近は<ダンジョン>に入るだけで魔獣の詳細が把握できていたから仕事は無くなっていたが、ともかくそれがマイゲスの仕事。もちろん生きて帰ってくることは業務内容に入っている。



「マイゲス、体は大丈夫か?」

「おう、おかげさまでピンピンしてるぜ」



 よかった、治癒は成功しているらしい。



「完全治癒はまだだけどね」

「うえ?」

「骨だけじゃない、筋肉の繊維もいくつか切れてたのよ。それだと動けないから先にそっち治療したの」

「骨はどうなってるんだ?」

「んー、[再生]のおかげで寝ている間にかなり治ってるみたいだけど、衝撃が加わったらまたすぐ折れる程度の耐久性ね」

「どれくらいで完治する?」

「ざっと3時間。耐久性が問題なくなるのは1時間ってとこかしら」



 メーノの職業は<魔女>で本来は魔法によるアタッカーだ。



 しかし俺たちの中に回復ができるやつがいないため必然的に回復師(ヒーラー)の役割も担っている。



<ダンジョン>探索だけでない、日常的に怪我はする。そして戦いに身を投じているからこそケガの量は周回している人よりもさらに多い。



 慣れというのもあるのだろう。メーノは当初よりはるかに治癒能力が発達していて、さらに<ポーション>などの<魔道具>も作れる。もちろん魔法攻撃の腕も常人より遥かに上手い。



 このパーティの貢献度を比べたらダントツで1位だろう。



「待つか?」

「できれば待たないほうがいいでしょう。急がなければならないのでしょう?」

「シートの言う通りだ。このまま出発するぞ」



 シートは俺たちの中で最もダメージを出せる。故に俺はいつでもシートを守れる位置にいることが多い。



 弓が上手い、だけではない。標的の弱点となる攻撃に自動的になる且つ自動的に当たるようになる<魔技>、<完全射出>が扱えるのも要因の一つ。



 遠距離攻撃で、絶対に当たり、しかも弱点をつくことができる。シートが<覚醒>した時に得たスキルではあるが、その性能は他の追随を許さないほど強力。他人からしてみれば、俺やマイゲスの攻撃なんかはちっぽけに見えてしまうだろう。



「カミラ、準備はできたな?」

「も、もちろんです!」

「ひっさびさに要介護なカミラだな」



 カミラは俺たち<勇者>の中で唯一まともな戦闘能力がない。まあ小型の魔獣くらいならなんとかなるらしいが、しかし弱いことに変わりはない。



 しかし<パーティ>には欠かせない存在だ。彼女がいなければ彼女に任せっきりだったマッピングなどの<ダンジョン>探索に必須の技能が失われる。



 故に彼女を守る。特に今回のような初見攻略時などは、俺たちが一番優先することは魔獣に対してカミラに指一本触れさせないこととなる。



「よし、じゃあ...行くぞ」

「扉開けたら暗闇だ、カミラ頼んだぜ」

「はいはい。<暗視>」

「...本棚であることは変わらない、か」



 となると、この<パーティ>で俺はいったいなんの役割があるのだろうか。



 そう考えてすぐに出てくるのは、他4人のやること以外の全て。<勇者>としての顔然り、<勇者>を率いることやまとめること然り。



 リーダーというには頼りないが、いやしかしシートとは違うダメージを出すことが主な仕事でもある。



 以上この5人が<勇者>。人間の中でもかなり強い<パーティ>であると自負できる、そんな奴



 キーン!



 恐らく早くて見えなかったのであろう攻撃を反応で防ぐ。



 どうやらそれは体の色が黒であるらしく、暗闇そのものが保護色として機能しているらしい。



「ソルス!」

「問題ない、とは言えないか」



 そしてもうひとつ。こいつの筋力はやはり高かった。



 両手ではじき返すように防御したにもかかわらず、今の俺の腕の痙攣は止まりそうになかった。



 よくマイゲスは単独でこいつから逃げられたものだ。俺だったら確実に死んでいた。



「カミラ、識別は生きてるんでしょ!?まだ!?」

「もうちょっとです!」



  <暗視>を使用しているとはいえ暗闇で見えにくいことに変わりは無い。ましてや保護色ともなればさらに識別は難しくなるだろう。






 予想よりも大きい体は、長くそして全てが肉体で構成され、のたうち回るように絶え間なく動いている。



 そしてその体にはあまりにも似つかわしくない小さな羽一対が、必死に羽ばたきホバリングしている。空を飛ぶ、という点だけ見れば前の階にいた<夜鬼>の方が飛んでいると言えるだろう。こいつはどちらかというと浮いているだ。



 しかしそれらよりも特徴的なものがある。頭だ。



 人の顔、と言おうと思えば言えるのだろうが、よく見てみればそれは魔獣の前の姿である今は亡き動物のあらゆるそれに見えなくも無い。



 つまるところ見たことがないおぞましい顔をしているのだ。



 そして当たり前のように大きい手が一対とそれに付随する爪。



  <食屍鬼>よりも不気味で<夜鬼>からさらにおぞましさを際立たせた、そんな存在だった。



「め、名称確認...か、<狩り立てる恐怖>です!」

次回、戦闘

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