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AIBO学園恋物語  作者: AIBO学園教育課
19/20

19.AIBO学園体育祭

お待たせしました。

ポカ猫です。

今回はポカ猫の作品のキャラ集結です。

勇者集結です(?)


では、本編をどうぞ!

 AIBO学園体育祭。

 この学園の体育祭には、ちょっと変わった競技がある。

 それは、全校生徒対象障害物競争である。

 対象と言っても殆どの生徒はこの競争に参加をしない。

 なぜかというと競技点数が入らないからである。

 しかし、毎年この競技はどの競技よりも一番盛り上がりを見せる。

 その理由はこの競技の優勝商品と競技選手のメンツの問題なのだ。

 優勝商品、「有名テーマパークの年間パスポート」

 選手たちはこの商品を狙って参加する。

 参加条件は二人一組での参加。

 そして、カップルであること。

 ただそれだけである。

 そして、この俺もこの商品を狙って今回の競技に参加する。

夏芽(なつめ)先輩。エントリー終わりましたよ」

「ああ、ありがとう伊藤(いとう)君。競技が楽しみだな」

 この夏芽先輩と一緒に競技に参加することになった。

 俺たちはつまり言うところのカップルだ。

 先輩から告白をしてくれて付き合うっことになった。

 俺と先輩は科学部の生徒で、今回の年間パスポートを使ってデートを計画している。

 何としてでも勝ちたい。

 しかし、この競技出場者はだいたい運動が得意な生徒が集まっており、文化部の俺たちはかなり厳しい戦いになると思う。

「伊藤君、競技が始まるようだ。行こう」

「はい!」






 グラウンドのスタート地点に立つと、見たことあるような面々が集まっていた。

「さーて、今回も始まります。全校生徒対象障害物競争!参加選手の紹介だ!!」

 歓声と共に実況を担当する放送部生徒が叫ぶ。

「まずはこいつらだ!御伽の国からっやってきた姫とナイトの名コンビ!玲&香菜!!」

「姫、頑張りましょうね?」

「勝てなかったら香菜のせいだから。分かってる?」

 学年でも知らない人はいないと言ってもいいくらい有名な性別逆転カップルだ。

 香菜さんの身体能力はとても高い。そして、実は玲さんもやはり男子ということだけありかなりの体力を持っている。

「次だ!突如と咲いた百合の花!コロコロ変わる姿に君は今何思う!?ゆの&由里子!!」

「今日の姿はスポーツ女子って感じかな?」

「ええ、絶対優勝して由里子と遊園地に行きたいな」

 こちらも学年で有名なカメレオンペアだ。女の子同士のカップルだけどそのあたりにいる男女カップルより断然幸せそうであり、見ていて優しい気持ちになる。

「まだまだいくぜ!誰も寄せ付けぬ孤高のガンマン、互いを常に狙う凸凹コンビ!弘輝&夜子!!っておいおい!銃しまえ!」

「ミスしたら承知しないぞ」

「先輩こそ足引っ張らないでくださいね」

 射撃部の先輩後輩だ。この二人はカップルなのか?

 先輩が後輩をいじってるようにしか見えないけれど……

 でも、身体能力はとても高いって噂だ。注意しないと……

「さぁ、お前らの推しの登場だ!アイドルとオタクの異色のカップル!珠美&祐也!!」

「祐也!!私テーマパーク絶対行きたい!!」

「はいはい、頑張って優勝しようね」

 珠美さんの紹介の後、これでもかという歓声が上がった。

 やはり、解散したとはいえMONのメンバーは人気なんだな……

 隣の彼氏は今どんな気持ちなんだろう。

「最後だ!恋の化学式をもとめてくれ!実験を重ねた上の最適解ペア!夏芽&伊藤!!」

「やはり、なんか浮いちゃってますね。今まで参加してなかったからですかね」

「回りの選手も今回初出場だ。私達のことを見慣れていないからだろう」

 俺たちの紹介を聞いた生徒たちは途端にザワザワし始めた。全く知らないペアが出場しているんだ。そりゃ警戒もするし、ちょっと期待もするだろう。

 どの時代もしらないダークフォースというのは注目されるものだ。

「それではスタート位置につけ!よーい!スタートだ!!」

 スタートの声と共に全員が走り出す。

 俺たちは少し出遅れてしまい、先頭集団を追いかける形となった。

「先輩……大丈夫ですか?」

「まだまだ始まったばかりだろ?全然大丈夫だ」

 先輩は運動が得意な方ではない。というより、全く持って運動ができない人だ。

 毎年やるスポーツテストでも毎回最下位に鎮座しているくらいだ。

 体力もないのでペース配分を間違えればゴールすることすら危ういだろう。

 しかし、このレースペアのうち一人でもゴールすれば良いという仕様となっている為、俺が頑張ればなんとかなる。先輩には無理はさせられない。

「さぁ、最初の難関だ!これはあるコンビが有利か!?飛んでる風船をエアガンで撃ち落とせ!」

 空にふわふわと浮く風船を、用意されたエアガンで撃ち落とすという障害物だ。

 距離もかなり遠く、先に到着していた珠美&祐也コンビがかなり手間取っている様子だ。

「一発外すごとにケーキ一つですよ先輩」

「外すわけないだろ。十二発だ」

 弘輝&夜子コンビの弘輝がエアガンを取り、空に浮いている数と同じ数のBB弾を銃煮詰める。

「おー!さすが全弾命中だ!1抜けはやはり弘輝&夜子ペア!」

 そこからもそれぞれの選手の得意と言えるような障害物ばかりが登場した。

 運がないのが俺たちに得意な種目が何一つないということだ。

「先輩そろそろきついでしょ?休んでてください」

「ああ……もう厳しい……悪いが休ませてもらう……」

 そう言って先輩はコースから外れ、腰を下ろした。

 あとは、俺が頑張らないと……

「やあやあ、男を見せるんだね。かっこいいじゃん」

 俺が再び走り出すと、その横を素早く追い抜いていく人物がいた。

「珠美さん……!」

「祐也には休んでもらってるから私も君と同じだね。でも、負けるつもりはないよ」

 頑張って追いつこうとするが、一向に追いつけない。

 どんどん差が開いてしまう。

「僕も姫の為に頑張らないと怒られちゃうからね。抜かさせてもらうよ」

 そう笑顔を見せながら香菜さんまでもが俺を追い抜いていった。

 現在俺の後ろを走るのは由里子さんのみ、現在パートナーを連れて走っている人は誰もいない。

 夜子さん、玲さん、祐也さん、ゆのさんはもう脱落している。

 最も玲さんと祐也さんは走れなくて脱落ということではないようだが……

 何より、先頭を走るの弘輝さんが早すぎる。

 普段運動なんてしないから、全然追いつけない……!

「おーい!科学部!頑張れ!!風船割り凄かったぞ!」

「バランス障害物も凄かったわよ!頑張って!」

 気づいたらたくさんの人が俺の事を……俺たち2人の事を応援してくれていた。

 科学部として色んな手を使い障害物を突破してきた。

 その異色の突破法が面白かったのか、どんどん声援は俺たちに集まった。

「こんなに注目されたら負けられないじゃないか……」

 歯を食いしばり、スピードを上げ最後のコーナーに差し掛かる。

「2人とも、お先に失礼します!」

 先程の2人を抜いて、弘輝さんを追いかける。

「もう少し……!!」

 弘輝さんの背中が近づいてくる。

 もう少し……!もう少しで……!

「あっ……!」

 その瞬間、俺は足がもたつき盛大に転んでしまった。

 すぐに起き上がり、走り出したがもう間に合わなかった。

 弘輝さんがゴールテープを切っていたのだ。

「ゴール!!優勝は……弘輝&夜子ペア!」

 その場で膝をつく。

 なんであのタイミングで転ぶんだ……!

 自分が情けなくて涙が止まらない。

「伊藤、お疲れ様。よく頑張ったな」

「先輩……すみません。優勝、俺のせいで……」

 先輩の手が肩に乗せられる。

 そしてゆっくりと自分の方に向きを変え、俺の事を抱きしめてくれた。

「いいんだ、私は君が頑張ってくれたのが嬉しかった。最後まで諦めずに立ち上がった君が好きだ。本当に愛してる」

 優しい顔をして、先輩は俺にキスをした。

 大勢の人が見ているという恥ずかしさはなかった。

「おおお!かっこよかったぞ!科学部!!来年も頑張れよ!」

 唇を離した先輩と治療の為に保健室に向かった。






「せーんぱい!年間パスポートくーださい!」

 夜子は意気揚々と弘輝に近づき年パスをねだる。

「あー……すまん。落としたわ」

「え!?何やってるんですか!?先輩!探しに行きましょうよ!!」

「もうねぇよ。俺が買ってやるから、怒るなって」

 涙目になる夜子の頭を撫でて宥める。

 銃を取り出そうとした夜子だが、頭を撫でられてしまいそのまま怒り顔を笑顔に変えデレデレとしだす。

「試合に買って勝負に負けるってのはこういうことなんかな……」

 ため息をつきながら弘輝は夜子と共に歩き出す。


 伊藤の下駄箱には何故か2枚の年間パスポートが乱雑に入れられていた……


最後まで読んでくださりありがとうございました。

ちなみに、優勝できなかった香菜は玲に怒られて甘いものをご馳走する羽目になり、珠美は駄々をこねるように大泣きし、由里子とゆのはさほど気にせず、弘輝は2年分の年パスを買わされたというのはまた別の話でございます。


では、次の方どーぞー

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