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AIBO学園恋物語  作者: AIBO学園教育課
20/20

20.オタクな彼ら

やしかです。

ドゥフフ、出番ですぞ。

小路(こじ)さん、おはようございます。昨日の『宇宙遊泳ギャンダラス』見ましたか?」

 僕は、廊下から隣のクラスをのぞき込み、一番出口の近くに座っている小柄な女子生徒に声をかけた。

「見た見た!先週からの急展開に次ぐ急展開をハラハラしながら見てたよ」

 小路亜由美。小柄な彼女の名前だ。女子にしては珍しく、ギャンダラスをはじめとしたロボットアニメが好きな数少ない僕の友人だ。

「まだ修理中のギャンダラスが出撃できないからって、無理やり妹の機体ギャンダラスシータを起動させるとは思わなかったですね」

「私あそこの小さいコックピットにぎゅうぎゅうになって入る慎太郎が面白かった」

 笑いながらそういう小路さん。残念ながら僕は小路さんと付き合っていないが、いつか、勇気が出たら告白しようと考えている。

 僕みたいなかっこよくもない、ただのオタク。好かれる可能性なんて低いから。

「あれはゆか専用機として作られてますからね。そんなコミカルな一面を入れるところがあの監督らしいといいますか」

「あー確かにそうかも。デビュー作の『チットマン』でもシリアスな場面にコミカルな要素を入れていたよね」

「そうですそうです。さすが小路さん、分かってますね」

すかさず褒める僕。悔しいけど、これくらいしかアプローチできないんだ。

「そんな、山口君には劣るよー。すっごく詳しいじゃない」

「いえいえ、僕と語れる女子なんて小路さん以外にいないですよ」

「ありがとう」

 そういってはにかむ小路さん。その顔が好きなんだ。

「そうそう、今日はギャンダラスのプラモの発売日だったよね?一緒に買いに行かない?」

手をパチンと叩いて笑顔でこちらを見つめる。そんな顔、ずるいよ。

「そうですね、僕も寄ろうとしていたことですし、小路さんの都合がよければ一緒に行きましょう」

「オッケー、じゃあ放課後、校門前で待ち合わせましょう」

そ、そんな恋人同士のようなシチュエーションで待ち合わせるの?

「わ、分かりました」

 断り切れず、僕は承諾した。

「それでは放課後」

 そう言って、僕は自分のクラスに戻る。浮足立つのはどうしようもないことだった。



 今日一日、上の空だった。ギャンダラスのプラモデルの出来も気になってはいたが、それより、小路さんと一緒に買い物に行くのが楽しみで仕方なかった。小路さんもプラモデルを買うのだろうか。ならば僕は完成したものを、塗装してみよう。頑張って2つ買い、片方は先週出てきた破損寸前のギャンダラスを作るのもいいかもしれない。小路さん、褒めてくれるかな。もしかしたら小路さんと一緒にプラモデルを作ることも可能かもしれない。

 そんなことを考えていたら、あっという間に時間が経ってしまった。



 放課後になると、僕は真っ先に机を片づけ、小走りで校門に向かった。まだ、小路さんは来ていないようだ。安心して立ち尽くしていると、手を振りながら僕の方へ駆け寄る女子が。もちろん小路さんだ。

「ごめん、先生の説教が長くて。待った?」

「いいえ、今来たところです」

 両手を合わせ謝る小路さん。そんなところもかわいいんだよな。

 というか。ここで僕は気づいてしまった。これは実質付き合う前のデートなのではないか?

 待ち合わせ場所にどちらかが遅れてごめん、待った?のセリフ。昔からアニメや漫画、小説とかで使われてきたシチュエーションそのままのような。

 僕、おしゃれとか全くしてないんですけど?何なら今日クラスメイトに寝ぐせを指摘された程気を付けてないんですけど?僕こんなので大丈夫?

「どうしたの?忘れ物とかした?」

「いいっ!?」

 いきなり小路さんが僕に顔を近づけてくる。たまにこんなことがあるのだが、すごくドキドキしてしまう。ドキドキしてしまうが故にこんな変な声が出てしまうのだ。

「いや、なんでもないですよ」

ドキドキをこらえつつ、僕と小路さんはプラモデル屋へと歩いていった。



「山口君プラモ改造とかするんだー。すごいね」

 結局僕はギャンダラスのプラモデルを2個買い、改造用の細かな部品まで買ってしまった。バイトで潤った財布がもう干からびている。

「いえ、実は初めてで……」

「じゃあ初めての挑戦か!頑張って!」

「いい作品ができればいいのですが」

 照れているのを隠しながら歩く。

「そうだ!私美味しいクレープのお店知ってるんだ!一緒に寄っていかない?」

「お誘いは嬉しいのですが僕はもうお金が……」

「大丈夫!私もバイトしているから。山口君の分奢るよ」

 Vサインを出してくれる小路さん。ここは男が奢る番だが、本当にお金がない。でも大好物のクレープは食べたい。

「……お願いします」

 僕は深々と頭を下げた。

「うん!じゃあ行こっか!イチゴ練乳クレープが人気らしいよ!」

「イチゴですか。僕好きなんです。楽しみだなぁ」

僕たちはクレープ屋へと歩き出した。






 私は大あくびをした。一昨日は遅くまでバイトだったし、昨日は早朝から放送されている『宇宙遊泳ギャンダラス』というアニメを見るために早起きをした。そして夜遅くまでギャンダラスの監督が作った他のアニメを見ていた。こんな生活をしているのだ、あくびが出るのも仕方ないことだろう。

 昔から好きだった訳ではない。彼と一緒の話題が作りたかったからだ。何だかんだ面白いと感じる自分もいる。

 彼が好きなもの。ロボット系アニメ。クレープ。イチゴ。ベタな恋愛小説。全て知り尽くしている。ギャンダラスのプラモデルの販売開始日も、近所に最近できたクレープ屋の情報もばっちりだ。

「ふふふ……、今日こそ告白してくれるかな」

 1人ほくそ笑んでいると、寝ぐせがひどい彼がやってきた。

どちらがオタクなんでしょうね?

それでは次の方どうぞ。

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