表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
231/235

第二百三十話~逢着 三~


第二百三十話~逢着 三~



 ついに俺は、シュネたちと再会を果たす。その際、シュネが抱きついてきたのだが、その様子を見た裕樹と俊は、生暖かい視線を俺へと向けてきたのであった。





 仮にも師匠をからかうという、先のことを考えていないとしか思えない行動を示した裕樹と俊に対して、制裁という名の落とし前はしっかりと与えた。その後は普通に、他のメンバーと再会を祝う。流石にシュネとした様なハグはしなかったが、握手をしたり肩を組んだりなど、様々さまざまなやり方で再会を喜んだのだ。ひとしきり再会を祝った後、お互いの近況についての情報交換を行う。とはいえ、シュネたちは俺を探し出すのに躍起やっきとなっていたらしく、これといった大きな出来事はなかった様である。その一方で俺はと言うと、伝えることは多かった。事故なのかそれとも誰かの手引きによる事件なのか分からない予想外なランダムな転移から始まり、この惑星近郊へ到着からの不時着。そして不時着後から現在に至るまでの経緯と、盛り沢山だくさんであった。


「何ともアレね。私から見ても、シーグって波瀾万丈はらんばんじょうよね」

「言うなよ、シュネ。考えない様にしているし、考えたくもないんだから」


 実は俺自身、トラブルメーカーかもとは全く考えたこともない……ことも無かったりする。だが、基本的に俺は騒動を積極的に起こしたりしているわけじゃない。だからお前ら。そこで、シュネの言葉に頷くなよ。何せ、言葉にしたシュネだけじゃない。召喚勇者一行である裕樹たちも、それ以外の面子も揃って首を縦に振っているのだ。そして先に述べた思いもあって、内心では兎も角行動として強く表に出せない。せいぜい出来ることは、少しでもシュネや裕樹たちが俺に対して抱いている印象に対して不本意さを表すことぐらいだった。


「……まぁ、いいわ。シーグがトラブルメーカーかも知れない。と言うことについては、一先ず置いておくとして」

「そこは、置いておいてほしくはないんだけど。俺としては」

「置いておくとして!!」

「あ、はい」


 一応、突っ込んではみた物の、逆に強い言葉で返される。その勢いに思わず同意してしまうと、シュネは小さく笑みを浮かべた。こういった場面で、はシュネに対して強くは出られない。自覚はしているのだが、どうにも幼い頃からそうだったからだ。これは、大人になった今でも変わらない。そして、一生変わらないのだろうなとも思っていることであった。そんな俺の内心に気付いているのかいないのか。シュネは俺に対して小さく笑みを浮かべた後で、不思議なことを尋ねてきた。

 果たしてその尋ねてきたことだが、それはリューリとの関係性である。そんなシュネからの問いに、俺は眉をひそめた。何せついさっき、俺がリューリと行動を共にする様になった経緯について説明したばかりである。それであるにも関わらずリューリとの関係性を聞かれたのだから、俺が眉を顰めつついぶかしげな表情を浮かべたとしても、不思議でも何でも無いだろう。むしろ俺からすれば、一度説明したことに対してもう一回尋ねてきたシュネの方が不思議である。すると俺の表情から気持ちを読んだのかそうではないのかは分らないが、シュネが小さく謝ってきた。


「ああ。ごめんなさい。これ以上は、聞かないから。代わりに、彼女と話できる?」

「いや。リューリにききたいことがあるのなら、俺に聞かずに彼女へ聞けよ」

「まぁ、そうなんだけどね……」


 俺の返答に対して彼女は、苦笑を浮かべながらやはり返答する。それから少しだけ間を開けると。シュネは一つ力強く頷く。そしてすぐにリューリに近づくと、彼女へ二言三言ふたことみこと言葉を掛けた。するとリューリは、すぐに頷き返す。それからシュネとリューリの二人は、俺たちから少し距離を取ったのであった。


「分らん。結局、シュネは……いや。この場合、シュネだけじゃなくてリューリもか。一体、二人はどういう了見なんだ?」

「あー、分からないのか。そうかぁ」

「何だよ、クルド。お前なら、分かるのか?」

「そうだな。分かるぞ。もっとも、俺だけじゃないみたいだけどな」


 そう言いつつクルドは,ぐるりと視線を巡らす。するとその視線を受けたセレンやキャス。それから、裕樹や俊や舞華やサブリナと言った元勇者一行。有り体に言えば、アルとバイオロイドとガイロイド以外はクルドと似た様な仕草を示し、そして表情を浮かべているのだ。

 全く理由が分からん。何だって言うのだ、一体全体いったいぜんたい



 結局、俺自身が分らないまま時が過ぎている。勿論、クルドや裕樹たちに表情や態度の理由は尋ねた。しかし誰からも、自分で気付けなければ意味が無いといった感じの返答しか得られない。唯一違ったのは、キャスだ。

 

「頑張ってね、お義兄ちゃん」


 などという、なぜだか励ましの言葉が貰えた。但し、その言葉が俺により混乱をもたらしたのも事実ではある。キャスからの励ましの言葉に対して頭にはてなマークを幾つも浮かべながら頭を捻っていた俺だったのだが、その結論が出ないうちにシュネとリューリが戻ってきた。すると二人の表情は、ずいぶんと柔らかいなという印象を受ける。先ほど、二人で席を外す直前と比べれば、多分に穏やかだと言っていいだろう。その変化の大きさに、余計に俺は首をかしげてしまった。とはいえ、ありがたいことは事実である。理由は分からないが、二人で席を外す前の雰囲気がいつまでも続く様なら、やはりリューリとは別れた方がいい。そう考えてもいただけに、はっきり言うと険が無くなったことは実にありがたかった。


「さて、と。シーグ。これからのことだけど、まずはその大魔王の居城だったかしら。そこを押さえると言うことで、いいのよね」

「ああ。そうだよな、リューリ」

「うん。そうして欲しい」


 今さらだが、そもそも俺自身はリューリとジョフィの依頼で行動を共にしている。いわばリューリは、クライアントの一人なのだ。その彼女が望んだ以上は、それが理不尽な申し出とかでもない限り否も応もない。さらに言えば、この案件自体俺の懸念でもある。だからこそ仲間であるシュネたちも協力をしてくれているのだ。

 何はともあれ、俺たちは大魔王の居城を押さえるべく動くこととなる。だが、すぐにというわけではない。何せ今日は再会したばかりだし、どこか気持ちが浮いていることも自覚している。そこで、最低でも二日後。即ち明後日あさってまで体を休め、それから大魔王の城の押さえることに決めたのであった。

ご一読いただき、ありがとうございました。



別連載「劉逞記」

https://ncode.syosetu.com/n8740hc/

こちらもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ