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ワールドロード  作者: オメガ
序章・our first step
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新たなる旅立ち・後編

(最近はどうだ?)


 冒険者ギルド内の飲食コーナーで一人、椅子に座り心の中で尋ねる。周りでは冒険者達が依頼表を吟味したり、食事と酒を楽しんでいる。今回は仲間を連れていない。

 話し掛ける相手は昔の旅で戦った相手。当時は仲間達が居てくれて、支えてくれたから勝てた。今もう一度戦う事となったら、確実に負けると言い切れる。


(……返事は無し、か)


 昔は向こう側から話し掛けていたのに、時間が進む程声が聞こえなくなって行く。話がしたい、君の意見が聞きたい。心に日々強く出てくる不安を、取り除かせてくれ。

 仲間の為に自身は君と戦い、君は自分自身を守る為に自分達と戦った。あの時、もしかしたら心の何処かで君の考えに賛同していたんだと思う。それでも仲間を信じ、戦って勝ったのにな。


(今思い返すと、敗けた方が良かったのだろうか?)


「ちょいっとごめんね~。尋ねたいんだけど、君はこの辺りに住んでる人かな」


「あぁ、今はこの辺りに住んでいる」


 思い返していると、突然話し掛けられた。声から察するに女性だが、ハキハキと元気の良い口調だ。例の似顔絵を思い出すも顔を隠す様子もない上──

 全く違う。自ら被っていたローブを外して見せる幼さ残る顔付き、黒い眼と髪じゃ似顔絵の勇者紛い御一行とは似ても似つかん。それに強い、間違いなく。


「実は人を探してるんだよね。この三人組を見なかったかな?」


「この似顔絵は……」


 敵ではない。そう信じて返答すると、探している三人組の似顔絵を見せてきた。二日前、ベビドから見せて貰ったあの三人組だと直ぐに分かったが。仲間達は誰一人として見ていない。

 現れれば国中に情報が回るだろうし、メイド達の世間話にも当然出る。似顔絵は見た事はあるが、まだこの近辺では噂位しか情報がないと話す。


「そっか。うん、情報をありがとう」


「構わない。その三人組がどうかしたのか?」


「まあね。勇者を名乗る不届き者がいるからさ、旅の途中でも見付けたら身柄を拘束して連行しろ。って言われててね」


 余程我が物顔で行く先々を荒し、勇者の名を汚しているらしい、そう言い下されると言う事は。話している相手と同じローブを着、顔を隠した男が此方へ駆け寄って来た。


「目撃情報は?」


「この国にはまだ来てないっぽいね」

  

「他の冒険者から此処より少し離れたヴァルト村で、誰かに手痛く負かされた姿を見たって言う話を聞けたぞ」


「よし。それじゃあ、最低限補給してヴァルト村へ急ごう」


 ヴァルト村か……ゴブリンや魔獣討伐依頼で何度か行った緑豊かな小さい村だったな。森と密接しているから、時折逃げてきた魔物とかが住み着き易い。

 あの村はポーション職人が多く、何処にも属さないと言う人達が多い反面。他国が職人と森を狙って、わざと依頼金の値上げを恐喝する質の悪い王国お抱え冒険者も居る。

 此処、ヴォール王国はヴァルト村と互いに良好な関係を築こうとし、相手側の中立主義を守りつつ困った時は助け合いの協定をしたんだとか。


「あ、そうそう」


 言い忘れてた。と言わんばかりに此方へ向き直る。何んだろう? 疑問符が頭の中に浮かんでいると相手は口を開く。


「声は聞こえているよ。でも、返答出来ない状態って言うのが現状かな。風邪とか酷いと余り話せないでしょ?」


「何の話?」


「ちょっとした話。ほらほら、急ごう」


 正直驚いた。まさかソレを返してくるとか予想外過ぎる。仲間と思わしき人物の一人が質問するも、のらりくらりと回避し話題を変え男を連れて行った。

 あの人達が誰かは兎も角、使命を果たして旅を無事終わらせれたらいいな。ま、他人様の心配より自分の心配をしろって話だがな。


「先程の女性、勇者候補の方ですね。他の候補者を捕まえに来たんだと思います」


「候補? 正式な勇者じゃないのか」


 今日の仕事を終えたのか、それとも休憩時間か。受付嬢の服装を着た巴が真向かいの席へ座り、話し掛けてきた。あの女性との話を聞いていたのか。

 ふと候補と言う言葉に疑問を持ち、素直な好奇心からどう言う事か聞いてみた。すると巴は溜め息を吐きつつ、呆れた様子で勇者に就いて語ってくれた。


「十三年前。自分は勇者だ特別な人間だと自惚れた方がとある村を襲ってる魔物と戦い、捕食されたそうですよ」


「……どんな魔物?」


「こんな魔物です。それで急遽新しい勇者を選別し、心身共に勇者となれる者を育てている。だから勇者候補なんだとか」


 見せてくれた写し絵は今回倒したアイツ、ベーゼレブルだった。どうやらアイツが妙にデカかったのは此処で戦う数日前、前任者の勇者を喰らい魔力を大量に摂取。

 増加した魔力に蓄えれる体へ大型化。しかも面倒臭い事にソイツはそこそこ強く、喰らう事で急激なパワーアップを果たし此処へ来たのか。いい迷惑だ。


「最近は魔物や魔獣に加え、貴紀さん達の報告で聞くナイトメアゼノ・ラプターの被害も増えてます」


「ラプターしか現れていないのが、救いかな」


「そうですね。ラプター相手だと青等級以上の冒険者でないと、返り討ちな上に増殖を手助けするだけですし」


「ユウキが居れば、あの機動力を封殺出来るんだけどな……」


 今やナイトメアゼノ・ラプター討伐は低等級の壁やら青等級者入りの証、と言われている。高い機動力は冒険者を惑わし、刃は逃げる者と立ち止まる者の首を刈る。

 死体から同胞を作り出す為、甘く見ると奴等の仲間入りを果たすだけ。報酬金は高めだが好んで狩る冒険者はおらず、大体は自分達が進んで倒す。

 なんとか出現数は減らせているが、出現ポイントはバラバラでゼロ達は最近ラプターの駆除で大忙し。此処に居てくれたら……と、ポツリと名前を口に出してしまった。


「ユウキさん?」


「あぁ。昔、自分を鍛えてくれた師匠の一人であり、お兄さん的な人だった」


「だった、と言う事は……」


 今でも鮮明に思い返せる、あの日々を。厳しくもあり優しく、戦闘の基礎を叩き込んでくれた人。過去形で言うように、自分を庇って死んだ仲間の一人。

 ユウキ=マドカブレイド。重力と言う強力な能力を巧みに扱い、格闘能力も高く一度も模擬戦で勝てた試しがない。ラプターみたいな機動力が高い相手を得意とした。


「もう行くよ。そろそろ、ゲートの向こう側へ行く時間が迫ってるし」


「あ……ま、待って下さい!」


 そろそろ城に戻らないと、出発の時間におくれてしまう。時間や日程も拘らない個人的な用事なら兎も角、チームで行く以上遅刻はしたくない。

 理由を言い席を立ち、戻ろうとしたら巴に呼び止められた。本人も意識せず呼び止めてしまったのか焦っていたが、何やらスカートのポケットからペンダントを取り出し此方へ差し出した。


「これ、お守りに持って行って下さい!」


 黒い石の付いたペンダントだ。まるでラブレターを渡した自分を重ねてしまうから、そんな風に渡されるのは断り辛い。受付を見ると大将がニヤニヤしてやがるし。

 周りの酔っ払い冒険者共も、野次馬宜しく冷やかすから、巴が顔を真っ赤にしてんじゃねえか。一度この手で呪物渡されて酷い目にあったから断りたいが、受け取る事にした。


「分かった。有り難く貰おう。んんっ、付け難いな」


「わ、私がやります!」


 以前お洒落で付けてたけど、やっぱり自分で付けるのは苦手だ。巴の申し出は素直に受け、ペンダントを付けて貰い、礼を述べて城へ戻りつつ手持ちの道具を確認する。

 彼女の気持ちは嬉しい、向けてくる好意も理解しているつもりだ。自分に惚れた女性は不幸になるか死ぬジンクスでもあるのか、泣く場合が多い。




「戻ったか、王。ん? そのペンダントは」


 城へ帰った自分を出迎えてくれたのは、人間の姿に戻ったルシファーだった。何やらじぃっとペンダントを見るので、貰った経緯を話す。すると──


「ふむ。確かにそのペンダント、いや。石は王に向いているな」


「この石がどうかしたのか?」


「知らんのか。その石に込められた意味は──」


「ゲートの先へ突入するオラシオン、及び選定された方々は集まってください!」


 話の途中で集合が掛かり、一旦この話は置いておき集合場所である地下室へと向かう。到着するとゼロと霊華もおり、自分を含めると全員で十人か。

 オラシオンは六人だが、二番の席は今も空白で誰もまだ試験に合格していない筈。では何故メンバーが十人なのかと言うと、ヴァイスが混じっている。


「あ、貴君。今回の任務、頑張ろな~」


「お、おう」


 間違いない。この喋り方、顔も間違える筈がない、ヴァイスだ。右眼がある、四肢も。しかも今回の任務に同行するって、あの時見た朱色ツインテールのメイドは君だったのか。と、今更驚く。


『貴方が(わたくし)達と修練を積んでいる間に、オラシオン見習いとして仮編入に食い込んだのです』


「義手義眼でオラシオンに見習いとは言え、食い込むとか凄いな。好奇心で体験したが、キツいなんてもんじゃないぞ」


『えぇ。番号によって試験は変わるものの、彼女は見事に乗り越えて見せました。シオリ曰く、血の滲む訓練をしたとか』


「執念の為せる技、か。やっぱり人間が一番恐ろしいかな」


 自分が修行してる間に、ヴァイスも血の滲む訓練をしていた。あの時言った言葉と夢を叶えようと努力した結果が今、と言う訳か。敵味方問わず執念とは恐ろしい。

 因みにアインスの試験はトップに立つと言う事もあり基本的に、オールマイティが求められる。ツヴァイは判断力と行動力、ドライが魔力量と魔法技術レベルの高さ。

 フィーアはドライの試験にプラスして奇跡に使う力、霊力検査と技術レベルが追加。フュンフの試験は体力と判断能力、弓兵にビーストテイマーに野伏。

 ゼクスは槍術やら色々。でも基本的にメイドとしての仕事も試験に出るし、生身でも大変なのに義手義眼でクリアとか……恐ろし過ぎる。ツヴァイは受けれなかったから知らんが。

 ……本当、自分の言葉で喋らない? それに此方の心を先読みしてるのか、スケッチブックをめくると必要な文字が書いてて、内心驚きの連続なんだよなぁ。


「全員集まったな。向こう側に何が待ち受けているかは一切が不明だが、無事任務を達成し帰還して欲しい。以上だ」


「手短な話って良いよな。長々と話されると眠たくってよぉ」


「私語は慎め、ゼロ」


 まあ、長々と話されても内容が頭に入ってこない場合もある為、自分としても手短な話の方が助かる。けれど今この場での私語は慎めと言う、ルシファーの言葉も正しい。

 話している間に心が浮遊する透明な結晶に触れると、少しして起動するゲートを見て不思議に思う事が一つある。七つある鍵穴に差し込む鍵は、何処にあるのかと。


「それでは諸君、健闘を祈る」


 ゲートの空洞が白い光で満たされ、転移可能状態へなると合図とばかりに自分達へ軍隊宜しくなお言葉を頂き、次々ゲートの向こうへ入って行く。

 念の為、各々食料と聖光石と言った必要な物を持っている。自分の所持品は腰に巻くタイプの鞄に、フュージョン・フォンと各種ポーションや食料等を入れている。


「念の為にもう一度言っておくぞ。ゲート再起動には聖光石を使う。砕いた際、直ぐにゲートをイメージするんだ」


「判ってる。それがゲート召喚方法、そして維持する時間は聖光石の大きさに比例する。だよね」


「そうだ。色々無理を言ってしまっているが、全員揃って帰って来い。頼んだぞ」


 再確認も終わり、ゲートの向こう側へと飛び込む。敵は魔神王達だけじゃない、自分に近い魔力反応や環境すら敵となる可能性だって捨て切れない。

 みんなとは一分程遅れて入ったけれど、向こう側との時間差はあるのか? また空が闇で覆われているのだろうか? 疑問が膨らむ中、向こう側が見えてきた。新しい旅の始まりだ。






キャラクター紹介


・アバドン

年齢:???歳

身長:188cm

体重:98kg

性別:男性

種族:悪魔

設定

 元々は天使だったが、人間の放つ膨大なマイナスエネルギーに触れ、善から悪へと反転してしまった悪魔。超古代時代、貴紀が帰還し不在な時を襲撃し、文明を滅亡させた経歴を持つ。

 心情ゆかりの心と人のマイナスエネルギーを利用して現代に蘇り、魔法で暴れまわるも同じく現代に蘇っていた貴紀と戦闘。

 追い込まれた時、取り込んでいた人間に寄生していたベーゼレブルに体内から食い破られ、そのまま取り込まれ体と能力を奪われて退場してしまった。

 特徴は頭に生えた二本の捻れた角、魔法の威力を常時底上げするスキル、悪魔らしく耐久力にも優れた体。元天使の頃の面影は無く性格も酷くなっているが、今や過去の性格は一部を除き、判らない。


『所有スキル』

・魔法使いLv10

 火・水・風・土の四属性魔法の他、雷・闇と言った多くの魔法が使える才能。Lv10にもなると、威力調整や大きさも自在に変えれる他、自身や相手を縮小や物を浮かせて撃つ事も出来る。本編では大幅弱体化した貴紀を嘗めた上、ゼロと言う予想外の存在により戦況を覆された。


・無詠唱Lv7

 呪文を唱えず、魔法を使えるスキル。Lvの高い魔法使いは殆ど持っているとも言え、威力を詠唱有りより少し下がる代わり、詠唱を破棄して魔法が使える。使用回数は普段使える回数に、プラスで二回分増える。


・悪魔Lv6

 自身の魔力を底上げし、魔法の使用回数を二回分増やす固有スキル。種族が悪魔であればLvに限らず必ずは単体なり複合で持っているが、ハーフになると効果も半分になる。



・ベーゼレブル 序章・第一回戦目

年齢:???歳

身長:188cm

体重:98kg

性別:男性

種族:地球外生命体

設定

 無限郷時代から貴紀と激突しており、何度倒されても蘇る不死身の肉体と魂を持つ。喰らった他者の能力を自分のモノとし、喰らう程強くなる能力で、弱っていたとは言え内側からアバドンを喰らい、姿を乗っ取って現れた。

 不死身と言ってもベーゼレブルの場合、自動再生ではなく『捕食再生』であり、回復するのに栄養分となる被害者が必要。貴紀や操られた心情ゆかりと三つ巴で戦うも、技の撃ち合いに破れ行方不明となった。

 貴紀曰く『暴食野郎』と言われ、捕食対象次第では姿が容易に変わる為、毎度現れる時は姿が違っている事が多いとか。何故貴紀の前に現れ、戦いを挑んでくるのかは本人しか知らない。


『所有スキル』

・ベーゼレブルLv10

 『不死・融合・再生・強化』のスキルを複合したスキル。捕食対象は人間に限らず、生きている全てが獲物。喰らった相手の容姿や声、記憶やスキル・魔法・奇跡・異能全てを奪い、自身の体を取り込んだ別人に変化したりする。

 一番気を付ける点は、行方不明の仲間や知らない存在が突然現れた際は、必ず警戒する……など。


・ディーテ 第一回戦目

年齢:3歳

身長:162cm

体重:78kg

性別:女性

種族:女性型アンドロイド

設定

 対オメガゼロ・エックス対策にとオルタナティブ・メモリー時代、調律者達に造られたガイノイド(女性型アンドロイド)。

 核となるコアは主力となる右腕にあり、オルタナティブ・メモリー時代に戦い、一度貴紀に敗北し、ボディを粉々にされている。

 再戦ともなる現代では、貴紀が大幅弱体化を受けており、パワードスーツを着込んだ状態と戦った。

 結果としてはまたしても敗北したものの、パワードスーツを大破させる戦果を残し、結果的に切り取られた世界を取り戻す旅へ行かせた。


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