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ワールドロード  作者: オメガ
序章・our first step
29/384

ゼノ

 大変長らくお待たせ致しました。

 ちょっと色々ありまして、不定期にはなりますが月に1~2更新でやって行こうと思っております。

 完結させる為にも、相方と相談しつつやろうと思っておりますので、気長にお待ち下さい。



 自分は遺跡から、なんとか自力で抜け出した。

 遺跡の『周辺だけ』は朝方のように明るく、視界もいい。だが問題は、遺跡の周辺より外。


「……暗いな」


 そう、暗い。余りにも暗い。機械的な街灯は無く、光源は遺跡を照らす何か。

 今後の事も考えて調査はしたいが、今は霊華達を追い掛けるのが先決だ。

 なのだが……目の前に広がるは闇、闇、闇。

 目が暗闇に慣れていれば、幾らかは見える筈だろう。パワードスーツのお陰か、少し明るく見える。


「しかし何だ、この世界は。世界そのものが何かに包まれている感じだ」


「それ、ある意味正解かもしれねぇぜ」


「取り敢えず動くぞ。嫌な予感がする」


「やめてくれよ。宿主様と霊華の予感は怖い程当たるんだからよぉ」


 視界一杯に広がり、纏わり付くコレは本当にただの闇なんだろうか。

 心霊現象とかで背筋がゾワッとする。と聞くが、アレに近い感覚もある。

 立ち止まってるだけで不安が募ってくる。早く行こう、直感が警報を鳴らし続けてて落ち着かん。


「宿主様、ルシファーからの連絡だ。正体不明の獣が此処から離れた里を襲ってるそうだ!」


 会話に参加しないと思ったら、別行動してたのか。

 それは正直に言って助かるが、ゼロ曰く、走っても間に合う距離じゃないそうだ。


「仕方ない。魔力を少し使うが、間に合わないよりはマシか」


「出来れば温存したいがな。四の五の言ってられんぜ、宿主様」


 他人の命なんざ、死のうが狂おうがどうでも良い。有益かつ確実な情報さえ残してくれればな。

 こんな風に考えるとは、いやはや。戦い続けてると頭がおかしくなりそうだ。

 だがまあ、今回は助けないとそれは無理そうだと判断したからこそ、間に合わせるんだが。

 さて。体を紅い光球で纏って、宙に浮いたら目的地目掛け、一直線に飛んで行こうか。


「この時代に居るって言う勇者御一行って、どんな奴等だろうな」


「至極、どうでも良い話だ」


 勇者・英雄・救世主。そんなモン、なろうとした時点で失格だ。

 そう言うのは他者から、いつの間にか与えられていたり、やり遂げた者に与えられる称号。達成した証。

 破壊者やスレイヤーと言うあだ名もそうだ。

 何処までも暗い空を昇り、愚痴る。愚痴らなきゃ、やってられんさ。

 ふむ、鉱石みたいな青白い光源に敵意を向ける獣達と、ソレを守る者達が見える。


「何をやっている、一匹たりとも里へ入れるな!」


 で……自身は後方で指示だけする輩は、何時の時代にも居るのな。

 しっかしまあ、仕方ないとは言え、よくも『あんなモン』をこの時代でも作るよなぁ。自業自得として、見殺しにしても良いんだが……

 霊華や心、自分の幼くなった体もあの里に居る。しゃあない、適当に助けるか。

 纏った光を解き、地面へ重々しい音を鳴らして、無事着地。

 青い蝶が数匹程自分の周りを飛んでるが、特に気にする必要もあるまい。


(に、逃げなくては!!)


「そ、村長!」


(アレらから、アレから逃げなくては……私は、殺されてしまう!)


 里から逃げて行った村長を見て、呆れ返る半分。無限郷で戦ってた頃を思い出すの半分、てな感じだった。

 命からがら逃げ延びて、色んな事に後悔したり、自分なりの様々な答えを見付けて、再戦したっけか。


「な、何だ?! コイツは……」


「見掛けない奴だが、アイツらの仲間か?!」


 ……ま、最初はこんなもんさ。

 助ける、助けないに限らず、村人とかに見付かれば、こんな言いがかりの他に矢も飛んでくる。

 昔は手作りの槍や弓で攻撃されたもんさ。ま、今も後衛のエルフが射つ矢、魔法が背と相手に当たってるしな。

 結局は言動と結果が物を言う。例え……いや、今はこのアンノンウンを倒すなり、追い払ってからだ。


「わ、私達には、敵意が無いのか?」


「油断するな。我々を騙す気かも知れん」


「そ、そうだな。双方に注意しつつ、化け物共から里を守るんだ!!」


 そうだ、それで良い。自分を……いや、俺を信じるな。自身の住み処を守るのは、常に自分自身。

 さて、スキャンしながら飛び掛かって来る敵の顔を殴っているが……当然ながら、女子供を狙って来やがる。

 縦長の顔には無数の口、鋭そうな異形の爪を持ち、長い手足の四足歩行で尻尾のある人型。

 馬の様な走り方ではなくどちらかと言えば、蜥蜴(とかげ)や恐竜みたいな肉食恐竜を相手にしてる感じだ。


(ナイトメアゼノ・ラプター? それがコイツらの名前か)


 スキャン結果が出た。

 結果は予想通り、『アレ』だった。コイツらが此処の連中を狙う理由も分かる。

 しっかし。悪夢のナイトメア、異端・異質・異種を意味するゼノ、猛獣でラプターとは。的確にも的を射た名前だ。


(恐竜と例えるがな、宿主様。コイツら、そんな生易しいモンじゃ無さそうだぜ?)


「なんだ? 急に距離を取り始めたぞ」


「うろたえるな!! 距離を取ったなら、弓の出番だ!」


 ムッ。度重なる経験上、嫌な予感がする。

 前衛のエルフや人間の男達は木製の盾を構え攻撃に備えている、が。

 何故ラプター達は距離を空け、暗闇の中へ身を引いたのか? 疑問に思った矢先、その答えが『飛んで』来た。


「な、んでっ?!」


(野郎、武器の特性を理解しやがった!)


 前衛で守りに徹していた男達だが、構えた盾ごと体中を次々と黒く長い矢で串刺しにされ。

 倒れては微かに見える足下の緑が徐々に赤く染まり、広がって行く。

 暗闇に隠れての遠距離攻撃……奴ら、此方の攻撃を体験し、成長して……い、る──


(どうするよ、宿主様)


 どうする? どうするって、そりゃあ……どうしようどうしようどうしようどうしようどうしたら良い、どうすれば良い?

 同じ思考が壊れたカセットテープの如く、何度も頭の中を駆け巡る。命が目の前で消えた事で、頭がパニックになっているのが自分でも判る。

 助けよう。助けるしかない助ける他ない、助けなきゃ意味が無い存在価値すら無い、誰にも認められない求められない……


(……イ、聞……ルカ? シッカリシロ、王!!)


 っ……喉元にチクッとした痛みが走り、何故か気分が落ち着いた。

 戦闘中に動揺してる場合じゃない。今は目の前の戦闘にだけ集中しないと!

 前衛は人間とエルフが三人ずつ殺られたのを切っ掛けに、先程の俺同様かそれ以上にパニックを起こし、集落の中へ逃げ帰って行く。


(来ルゾ、王。チャージヲ済マセロ)


「済ませろって。どうやるんだ、っ!」


 油断……じゃない。ソレは余りにも予想外。

 死体に刺さったままの黒い矢は音もなく伸び、タコの触手さながら俺の首や四肢に絡み付いて来た。

 クッソ。コイツは蜥蜴の尻尾と同じか、それとも以上に厄介らしい。刺さった矢が死体を汚染だか侵食して、仲間を増やしやがる。

 此方が身動き出来ないと見るや否や、好機とばかりにジリジリと近付く、全部で九体のラプター。


(えぇい、俺に主導権を渡せ!)


 少し間を空けつつ、迫り来るラプター達。俺はゼロ達に急かされ、左腕に付いている腕時計を見る。

 それには俺とゼロ、ルシファーや霊華を表す四色があり、体の主導権が奪われた俺は自身を指していた赤い矢印をゼロを示す青へと回し、叩いて押す。

 するとバイザーに『CHANGE(チェンジ)ZERO(ゼロ)FORM(フォーム)!!』と文字が映り。

 パワードスーツを動かす為、魔力を流動させる全魔力経路が緋色から青色へ一段と強く発光。


「出力調整をする人数が一人少ない分、何時も以上に頼むぜ。ルシファー」


(任セロ。最低デモ、イエローゾーンギリギリデ抑エテヤル)


(すまん。なんとか、力が出せる様に頑張ってみる)


 何時もはゼロ、霊華、ルシファーの三人に魔力などの『出力を調整』して貰っているが。

 相手に対して主導権を交代し、臨機応変な戦い方をするのが俺達のやり方。

 勿論主導権が変われば声、姿も交代した者に依る。

 ゼロは筋肉隆々のボディビルダー体型。多少装甲の絞まりが緩んだが、スーツはパツンパツンだ。


「世界が生んだ、原初……ニシて、最後……の、ミスクリエーション(出来損ない)な……諸刃の希望」


「あぁん? その呼び方を使うって事ぁテメェら、調律者のモンか!」


「調律者。無駄な足掻きをする、愚者」


 てか、日本語喋れるんかい。調律者勢じゃない、とするなら……魔神王の手下か?

 まあ、んな事言いつつも、飛び掛かって来るのはどうなのか。いや、戦闘中なら当たり前か。


「さあ、救済の時間だぜ。哀れな魂共! スキル・タイラントカオス!!」


 ゼロの固有スキル、タイラントカオス。

 名前の通り、暴君の混沌。身体中の魔力を高め、身に纏い物理攻撃を行うシンプルかつ誰にでも出来そうなモノだが、ゼロとルシファー。

 二人は種族がちょっと訳ありで、いわゆるエリート。同じ事を人間がしても、結果は全く違う。

 そう。今目の前で殴るわ蹴るわ、プロレス技のブレーンバスターを繰り出しているが、その全てが必殺級に強化されている。


「努力と筋肉は裏切らねぇ。何時の時代もな」


(流石の筋肉馬鹿、だよなぁ。このパワー、同じパワードスーツを着てても出せるとは思えんよ)


 ボディビルダーさながらポーズを決めるゼロを見て、つい自分の劣っている部分と比較してしまう。

 筋肉の質や量、絶対に勝てない。ルシファーには技の豊富さや機転の良さ、頭の回転すら勝てない。


(王ヨ。重戦士ト盗賊ヲ比ベテモ、意味ハ無イゾ?)


 頭では……判っている、つもりだ。

 自分が無意識にやってしまう比較は、痩せた人と筋肉質なボディビルダーを比べる様なもの。


(ソレニ、ダ。未来組織・終焉ノ闇No.S・実体化都市伝説・宇宙的恐怖共ヲ倒シタノハオ前ダ。王)


(光闇戦争時の出来事、だけどね)


 未来組織ワールドエスケープ壊滅、元同胞を撃破、実体化した都市伝説や宇宙的恐怖の鎮圧。

 どれもこれも。人間と『ある力』が関与していて、その後始末に走らされた。

 当時は全力が四十%しか出せず、今は十%の出力が限界だ。もし、奴等との戦いで命を落とせていたら……


(ふぅ、スッキリしたぜ)


(奴等ニ関スル情報ハマタ今度、ダナ)


「戦闘終了。さっさと退散しよう」


 気が付けば主導権が返されていて、パワードスーツも魔力経路も自分専用に戻っていた。

 長居すると変な勘繰りをされるし、退散しようとしたら……暗闇が漂う森の中で、宙に浮かぶ蒼い炎が円を描いている。

 ヤバい。何かとんでもなく恐ろしい奴が出て来る。ゲームとかでも割りとある演出だし。


(出て来たぞ!)


(鬼神ヤラ邪神等ハ見テ来タガ、イヤハヤ……コレハ初見ダナ)


 描かれた円。ゲートと思わしきモノの中から這いずり現れたのは四、五メートルはある大きな骸骨。

 スキャンしてみても『表裏一体融合骨』とか『ナイトメアゼノ・スカルフェイス』と言う名前や。

 幾つもの骨が集まった集合体としか情報が出ない。その姿はまるで、返り血で鎧を赤く染めた戦返りの武将。

 右手に持ってる日本刀も規格外に大きく、一目見ただけで殺される。と、恐怖心を更に煽って来る。


「看守……の、目。まだ、多い」


「っ!」


「そんな身体でよく戦えるものだな。オメガゼロ・エックス」


「なっ!!」


 短時間で二度も驚かされるとは、全く思わなかった。

 さっきのゼノシリーズと違い、通信機的な役割とかじゃなく自我を持ち話せる事。

 まだ副王にすら話していない身体の事を、初見で言い当てた事へ。

 不味い。活動限界時間を知らせる為、魔力経路が点滅している。


(相手は二体。機動力を生かせばなんとか)


「ほう。目の付け所は正確だ。ただ、本調子ならな」


 暗闇と木々に紛れ、背を向け合う奴等の右側面から殴り込む。のだが、最悪な事に奴等が気付いた瞬間。

 身体が、足が動きを止めてしまった。それを相手の一体が確認した後。


「赤く、丸い……檻。破る……にはマダ、時間モ、力も……足りナい」


 二体目がそう言った矢先、右腕の大振りな一撃で宙に払い飛ばされ、活動限界を迎えたパワードスーツは光となって消滅。

 当然今は中に人など入っておらず、何も残らない。自分の意識や記憶は、此処で途切れてしまった。






 スキル紹介


 『スキル』とは、生命体なら誰しもが習得&修得可能な技能で、スキルを与える方法は二通りある。成長限界レベルは例外無く10。

 一つ目はそのスキル所有者から学び、理解し、実際に行い真似をし続けてLv1を獲得。反復練習や実戦で経験値を積み重ね、スキルレベルを上げて行く正当な方法。

 二つ目は強大な力を持つ者が、効果と反動を一組で創造し『祝福』もしくは『ギフト』として他者に与える方法。この場合、スキルレベルは固定、成長は一切しない。


 また、成長限界を迎えた所有スキル次第では複数のスキルが混ざり合い、新たなスキルになる事もあり、これを『複合型スキル』と呼ぶ。

 中には限界の殻を破り、『ランクアップ』する場合もある。ランクアップしたスキルはLv1に戻るが、腕前等が下手に戻る訳ではなく。

 戦士から騎士や魔法戦士になる。と言った上位転職みたいな『ランクアップ』で、より良い成長が出来、中には未来予知に近い回避行動も取れるらしい。



 序章での紅貴紀のスキル


 ・積年の努力

 次元を飛び越える前から繰り返し努力し続けた結果、生まれたスキル。

 素手による武術や扱える武器が増え、レベルが上がると一度も使った事の無い武器でも、短時間でコツを掴み易くなる技能。


 ・火事場の馬鹿力

 体力や気力が減り、傷付き命が危険に近付く程、力や免疫力が高まり続けると言う。

 負けず嫌いが大元となり、誕生した緊急時強制発動型スキル。

 レベルアップすると全能力強化に加え、妨害&阻害系魔法等に対する抵抗力も大幅にアップ。

 反面、スキルが解除されると負荷・疲労・空腹感が纏めて押し寄せて来る為、解除場所やタイミングも重要となる。


 ・料理好き

 料理が得意、と言うよりは作るのが好きな人に発現し易いスキル。

 レベルが上がると作れる料理が増え、レシピ無しでも自信を持って料理が出来る。

 但し万人受けする料理は当然無理な上、知らない材料&調味料等を使い無知で作ると、不味い料理になる。


 ・直感

 元々居た世界で何度も死線を潜り抜け、生き延びた事で培った常時発動型スキル。

 ラッキースケベやテストの回答など、命に関わる事以外には発動しないが、その真価は戦闘時に発揮される。

 相手の即死系には過剰に反応、敵の動きをある程度予測する事も出来る他。

 Lv6に上がると一点集中が出来る様になり、反応速度や弱点看破も可能。タイマン戦に強くなる。

 反動としてエネルギー消費量が増え、果実や甘味を求め食欲も増加。何気にパワードスーツの活動限界時間を早く、短くしてるのがこのスキル。

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