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ワールドロード  作者: オメガ
序章・our first step
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目覚める時

 長らくお待たせ致しました。

 実はまあ、ちょっと色々ありまして。書く気が全く起きず、書く時間すら無く放置していました。申し訳ない。

 それはまあ兎も角。 

 また、ちびちびと更新していきますので、よろしくお願い致します。



 マキを仲間へ迎えた日より二日後の夜。

 二人並んで椅子に座り、パソコンと睨めっこしながら漸くキーボードを打ち終える。


「終わった~……まさか私達二人でも、二日も掛かるとか思わなかったよ……」


「九割がブラックボックス状態だったから、それの解析もあるよね」


 椅子の背凭れへもたれ掛かり、照明が点いたままの天井を見上げる寧へ苦笑しつつ。

「結局、ブラックボックスは何一つ解析出来なかったけど……」と付け足す。

 パソコンは着用していた二種のパワードスーツに関するデータを事細かに記載し、机上にプリントアウト中。


「でも凄いよね。この新しいスーツ。色んな空間でも戦えるように設計されてるんだよ」


「でも色んな空間で戦闘だなんて、あり得なくない?」


「そう、あり得ない。そんな幻想に私達は何度も遭遇して、貴紀君は戦った」


 プレゼントされていたパワードスーツは電様々な空間でも戦闘出来る事を前提に、設計されていた。


「捨てたゴミが合体したり、データとバグの融合体とか。貴紀君一人じゃ勝てない程、手強くて……」


「それを寧ちゃん達が協力して、倒したと」


 ネットワーク中に散らばるデータのゴミやバグ、人間がポイ捨てした大小問わぬゴミが幻想や終焉の闇勢に利用され。

 命を持ち、人類に牙を向いた事さえあった。水を汚し水不足、地上をゴミだらけにして食料不足の危機へ追い込まれた事も。

 命懸けで原因を解決しても、人類は自らが住む星を汚し続けた。


「うん。でもね、貴紀君が人類を見限り始めたのも、その頃からなんだよ」


 先程まで昔を思い返し、笑っていた顔は次第に曇り、悲しげな表情と共に語る。

 幾らポイ捨てを注意しても聞かず、皆やってる事だと言い訳し逃げるか、逆切れする始末。

 ならばそんな人間、人類など救う価値は微塵も無いと貴紀は考えた。

 寧ろ注意した人間が被害に会い、助けを求めて来た時、見殺しにした時もあったと思い返す。


「……暗い話しは終わり! 少しでも早く寝て、明日また、未知のスーツを解析しよう」


「未知のスーツ……エックス・スーツ?」


「それ良いね、うん。今からこのパワードスーツの名前は──エックス・スーツ!」


 新しいパワードスーツに名前を付け、全体の九割が未知なエックス・スーツの解析へ万全の体制で挑むべく。

 モニターの片隅には回復用ポッドへ移され、ぐっすりと眠る貴紀が映っていた。


(そのポッドはこのメインコンピューターと繋がってる。何かあれば、直ぐに対応出来るからね)


 少し眺めては様々な想いが込み上げ、速くも正確なタイピングでキーボードを叩き、パソコンの電源を切る。


「ねぇ。どうして寧ちゃんは、貴紀君と一緒に戦ってるの?」


「どうしてって。それが、私の意志だから」


 特殊な力を持っていない、一般人である未来寧が何故後衛とは言え。

 今回みたいな危険極まりない戦いを共に戦っているのか気になり、思った事を訊けば。

 共に戦う事を誰かに強制された訳ではなく、自ら選択したからだと言う。


「意志?」


「全部終わらせて、一緒に帰る。そう約束したの。遠い昔にね」


「約束……」


 全てを終わらせ、一緒に帰ると言う小さな約束。

 マキも誰かとの約束を思い出したのか……俯いた表情は少し、悲しげにも見えた。

 翌朝──


「お腹空いた……って、んん?」


 小さく唸り、飲食を催促する腹を押さえつつリビングへ足を運ぶ。

 するとテーブルへ並ぶ形で座る二人を発見。一つのパソコンを左右から覗き込み笑う姿を見て。

 微笑ましく思い、心が和んだ。


「丁度良かった。貴紀君、寸法計らせて?」


「構わないけど、スーツ製作時に計った筈だろ」


「それじゃあ、遠慮無く計らせて貰うね。そう、遠慮無く、身体中の寸法を隅々まで」


 ……のも束の間。何気ない頼み事を気軽に承諾した結果。

 本当に身体中を隅々まで寸法を測定され、やっとの思いで終わった。


「ありゃりゃ、もう夕方だ」


「貴紀君、相次ぐ実験の連続に自室でバテちゃったよ」


 窓から差し込む陽射しに気付けば、先程まで陽が昇っていた外は茜色に染まり。

 夕日と双子月が入れ替わろうとしていた。


「……パワードスーツや幾つも装備を作るって、幾ら冒険者稼業がキツいとしても過剰戦力過ぎない?」


「マキちゃんは……運命とか(えん)って、信じる?」


 大きなパソコンの横に置き、飾られる様々なスーツを見上げ、素朴な疑問を投げ掛けると。

 キーボード操作を止め、凝り固まった体を伸ばしつつ問い返した。


「え、まあ、ある程度は信じてるけど……」


「なら判るよ。多分、そろそろ来る時間帯だと思う」


「えぇ~……何が来るのさ」


 寧の言っている事、意味がマキには解らず、少し間を空けて話すも、不思議そうに首を傾げる。


「ごきげんよう。未来無き世界に住む人類よ。(オレ)は貴殿らが魔神王と呼ぶ者だ」


 突然テレビやパソコンのモニター画面が切り替わり、見知らぬ人物を映り出した。

 頭蓋骨の様な顔、マントで覆い隠した体。

 自身は人類が魔神王と畏怖し、呼ぶ者だと認め、不気味な目に紅い光が灯る。


「単刀直入に言おう。諸君らには二つの選択肢がある。一つ、何時滅びてもおかしくない惑星(ほし)と共に全人類滅亡」


「何を言ってるんだか。この惑星(ほし)が滅びるとか」


「2つ。オメガゼロ・エックスを我等、レヴェリーへと差し出し、我等が支配する闇の世界で細々と生き延びるか」


 魔神王は人類に対し、現実離れした取り引きを持ち掛ける。

 指名した人物を一人生贄として差し出すだけで、人類が生き延びれると。


「寧ちゃん!! これ、世界中に投影されてるみたい」


「予定をかなり前倒しにする必要がある、か。でも、アレ等を完成させるには、もっと時間とデータが……」


「二ヶ月後までに答え持ち、我等が待つ拠点まで来るがいい」


 この話を聴いた者達が、本気にするか否かは兎も角。

 焦るマキとは対照的に、寧は何かの完成を急ごうと思考を巡らせる。

 そんな時である。再生していた映像が急に一時停止されたかの様に、世界が止まってしまったのは──


「人類は魔神王と戦う意思を示し、戦い続け、残された貴方達に全てを託した。その結果」


 停止した世界の中で動き、此方を向いて話し掛けて来る麦わら帽子の少女。

 彼女は話し終えると指を擦り合わせ、弾いたような音を鳴らす。

 すると、どうだ。世界が遠く離れ、真っ暗闇だけが世界を支配してしまった。

 そう思っていたら──


「っ……走馬灯でも見ていた、と言うのか?」


 何十分……いや、何百、何億年。この捻れ歪んだ時空間を流されていたのか、自分は知らん。

 仲間と離れ離れになった上に安否確認が出来ず、不安感が時間経過と共に増して行く。

 幸か不幸か。ずっと着込んでいたパワードスーツのお陰で、生命維持は保たれている。


「一層の事殺してくれ。そう言う人の気持ちが分かる」


 時間経過が普通とは全く違い、巻き戻ったり大幅に加速したり。

 一秒後の筈が五十年前や六百年後で、それに連動して肉体も幼くなったり老けたりもする。

 幸いなのは時間の流れが激しい為に、若返りや老化も死ぬまで間に合わない。

 故に死ぬ事は出来ず、永遠に若返りと老化を繰り返すだけで。

 内心、安らかな死を求めていた。


「なら、選ばせてあげる。運命に導かれ生きるか、拒んで放流するか」


「何処を見渡しても見えない。誰だ、君は」


「訊いてる暇は無いわよ。さあ、選びなさい」


 突然何処からか聞こえてくる、幼い少女の声。

 彼女から与えられた選択肢は、運命の導きに身を任せ生き延びるか。

 運命の導きを拒絶し、永遠をこの捻れ歪んだ時空間で生き続けるか。の二者択一。


「私の手を取るのなら、仲間達と再会出来る可能性もあるけれど?」


「……分かった。君の手を取ろう」


 捻れ歪んだ時空に流されながら、見えない少女の声と話す最中。

 声の主の手を取れば、また仲間達と再会出来るかも知れない。

 判断材料を天秤に乗せた結果、運命の導きに身を任せる事を、彼は選ぶ。

 すると時空の流れが止まり、貴紀の目の前に少女の右手が伸びて来た。

 白く細い手を取り、引っ張り込まれた先は──




「ようこそ、私の領域へ」


 麦わら帽子を被った幼い少女が言う、自らの領域。

 そう言う現在位置は、一言で言うのであれば宇宙。

 足元へ視線を向けるも、床や地面と言った足場が存在しない。

 周辺を見渡しても、見えるのは本当に宇宙。それも、無数の球体にそれぞれ宇宙が見える。


「凄い……所、だな」


「そう? 私は見慣れて飽き飽きしてるけれど」


「っ……それで、どうやったらみんなと再会出来るんだ」


 まるで一つ一つの球体に宇宙があり、幾つも銀河系があるのではないか。

 不思議と疑問が浮かびつつ、感想を述べても素っ気ない返事しか返って来ない。

 今は下手な会話より、本題を話す方が良いと考え、話を変えてみる。


「貴方は、運命と言うモノを……信じる?」


「そんな……いや。どちらかと言えば、信じる方だけど」


 突然本題から話題を変えられ、突っ掛かりそうになるも押し堪え。

 相手の問い掛けを正直に答えると、背を向けて歩き始めた。

 彼女が着る白いワンピースの裾が揺れ、少し離れた場所で此方へと振り向く。


「目覚めの時よ。一時的な、じゃない。本格的に、よ」


 少女が此方を見上げ、紅い眼と眼が合い光った。そう思った後。

 意識が一気に遠退いて行くのを感じる。

 例えるなら、逆走する絶叫マシン……と言えば伝わりやすいかな? そんな事を考えてる間に、意識は消えた。


「おはよう。お目覚めの気分は如何?」


 背伸びをし、此方を上目遣いで見る紅眼で、麦わら帽子を被った少女が……いや、副王がいた。

 気分云々と言われても、寝起きの気分は何時も通り、体も気分もだるくて最悪だ。

 突っ立って寝ていたからか、脚も痛い。そう言うと副王は……


「それは結構。話す前に暴れられると面倒だからね」


 自分が暴れる云々の前に、例え仮に暴れたとしても、アンタなら指一本使わず殺せるだろうが。

 それだけ、自分とアンタとの間には圧倒的な実力差が存在している。


「で……話って何だよ」


「私の趣味は知ってるわよね?」


 あぁ、知ってる。嫌と言う程知ってる。

 銀の鍵を使って他人様(ひとさま)の人生を許可無く覗き見する、最低な趣味って事はな。

 自分もその被害者故、嫌みったらしく言ってやった。


「貴方にも追憶で見せた世界は、闇に支配された挙げ句、滅亡したわ」


「で、自分にどうしろと。救世主や勇者にでもなれと?」


 例え世界が闇に支配されようが、呑まれて消えようが自分には関係無い。

 人類が下した選択の結果、と言うならば尚更だ。


「違うわ。貴方には──オルタナティブメモリーを探して欲しいの」






『キャラクター紹介』


名前:紅 貴紀

年齢:22歳

身長:172cm、パワードスーツ装着時190cm

体重:68kg、パワードスーツ装着時128kg

性別:男性

種族:人間(本人曰く)


 本作の主人公。

 嘗て惑星ワールドへ闇を追い込み、封印した光が封印した後。

 遥か未来に現れた魔神王復活を阻止した、三人の内の一人。

 実力は三人の中で一番弱く、不足分を補う為、仲間が造ったパワードスーツを身に纏う。

 反面料理と音楽が好きで、料理の腕はサクヤと互角。

 戦闘面では経験で鍛えた直感、自身が持つ力と知恵、勇気を振り絞り戦う。が、実は──

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