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ワールドロード  作者: オメガ
序章・our first step
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報酬

 暗雲が晴れ、青空から降り注ぐ午前中の太陽光が、機都・エントヴィッケルンへ降り注ぐ。

 渦巻く風が寧宅の玄関前へ降り立てば風は止み、自らを神獣と言う朱色の着物を着た妖弧によって。

 パワードスーツを着たまま眠ったのか、全く身動きをとらない貴紀が室内へ運び込まれ、二日が過ぎた。


「動けそう?」


「なんとか……な。魔力の回復が遅く、思う様に動けないが」


 白く清潔感あるベッドへ寝かされ、窓から朝陽が差す中。目が覚め、白い天井を何も考えず眺めていると。

 後ろ髪が背に届く茶髪の少女、未来寧が様子を見に来ては、心配する言葉と共に顔を覗き込んでくる。

 自然回復する魔力量が予想していたよりも遅く、一応動ける程度位である事を伝え、上半身を起こす。


「あの戦いから、どれ位経った」


「二日だよ。貴紀君が此処に運び込まれてからずっと、眠り続けてて」


「二日……本来なら、魔力も回復し切ってる筈なんだが。何か、回復を阻害する物でもあるのか──ん?」


 休憩も無い連続戦を勝利し、眠り続けて二日間。

 以前なら二日もあれば、魔力は全回復していたが、今はそうじゃない事へ疑問を抱く。

 そんな時。部屋の扉を少しだけ開け、此方側を覗く、蒼い瞳の人物と目が合う。


「お客さん、来てるの?」


「お客さん……と言うか、君が運んで来た子だよ。ほら、入っておいで」


 見知らぬ人物故、来客が来ているのかと思い訪ねれば、自身が救い、運んで来た少女だと言われ。

 悪魔共と戦う前に、病院で助けた人物だと思い出し、無言で頷く。

 入っておいでと呼ばれ、ゆっくり扉を開けて入って来たのは──青い男性用パジャマを着た身長154cmの腰まで届く金髪、豊満な胸を持つ少女。

 二人を警戒しているのか、おどおどしながら近付いてくる。


「ど、どうも……情報屋・M改め、マキナ・オブ・シュナイダー・エックス……です」


「機械の仕立て屋……未知数?」


「長い。愛称はマキ、今後はそう呼ばせて貰うよ。自分達の事は、好きに呼んでくれていい」


 二人の顔色を恐る恐る見ながら、自身が何度も連絡を送っていた人物、情報屋・Mである事やフルネームも明かす。

 名前から意味を口に出すも、最後だけが変になり、別の意味があるのでは? そう考える寧を余所に。

 長い名前の少女へ愛称を与え、自身らの事も好きに呼んで構わないと言う。


「自分は紅貴紀。彼女は未来寧、コードネームはスレイヤーと協力者・FNだ」


「……スレイヤーであり、オメガゼロ・エックスでも、ある」


 一応知っているとは思いつつも、直接会って話すのは初めての為、自己紹介をすれば。

 今は寧と極一部しか、自身がオメガゼロ・エックスだとは知らない筈が言い当てられるも、貴紀は特に驚いてはいなかった。


「その通り。ま、今はしがない冒険者……!!」


 肯定し、現在は冒険者を生業としていると言い出した瞬間。

 開いたままの扉の前に、麦わら帽子を被り白いワンピースを着た幼い少女が立ち、此方へ向けて拍手して歩いて来ていた。

 突然な出現、出来事に三人は目を見開き、驚く。


「副王。今度は何の要件だ」


「今回は仕事の報酬を渡しに来たのよ」


「報酬……あ、マキからも報酬まだ貰って無かった」


「あ……」


 副王と呼ぶ少女の出現に、何か要件をいい渡しに来たと思って気構え、真剣な眼差しで聞くと。

 任務達成の報酬を直接渡しに来たらしく、異変や事件の解決に集中し過ぎた為か、頭から報酬の二文字がスッポリ抜けていた。

 そして悪魔と一体化し纏めて倒したΣ(シグマ)は、送られてきた依頼(クエスト)に書かれた達成条件。

 しかも受注者が望む報酬を渡す。

 等と安易に書いてしまった為、思い出された今、何を報酬に言って来るんだろうか……と弱気になる。


「一つ目の報酬は彼女の回復」


「マキの回復が、報酬?」


 彼女の回復が報酬。その意味を考えるも、生まれつきの難病か何か──程度しか思えず、聞き返す。

 副王曰く、マキはとある人体実験の被害者。

 魂が肉体から分離し、電子機器へ強制介入出来たのも人体実験が原因で、肉体成長停止と分離した魂を元に戻したと言う。


「ふふっ。彼女、貴方と似た所があるから、直ぐに仲良くなれると思うわ」


「どう言うこっちゃあ」


「一つ目って事は、まだ報酬があるんだよね」


 微笑み、貴紀とマキは共通点があるから直ぐに仲良く出来ると言うが。

 共通点だと言う内容を知らない本人からすれば、何の事だかさっぱり判らない。

 まだ報酬がある。そう考え聞いてみたら、身長差で顔は見えないものの、口元がニヤリと笑っていた。


「コレは個人的な報酬」


 そう言って何処からか取り出したモノは──赤く立派な鶏冠(とさか)、白い羽に引き締まった身、黄色く鋭い(くちばし)に足が見える。


「にわ……と、り?」


「だな。マキが見てもそう見えるんだ、鶏に違いねぇわ」


「シュリュウダンヲナゲロー」


「前言撤回。何だコイツ」


 何処から、誰がどう見てもただの鶏。

 だと思い、口にした矢先──人語を話し始めた為、聞こえた瞬間に前言撤回。


「宇宙クソゲー闇袋ガチャの景品。特賞らしいわよ?」


「まだクソゲーやってんのかよ。てかこんな特賞、あってたまるか!」


「ハボクック!」


 普通の鶏では無いと判断して問うと、宇宙で決定されたクソゲー専門の福袋ならぬ闇袋。

 そのガチャガチャを回して獲得した、特賞だと言う。仕事を下の者達に任せ自身は自己都合と緊急時以外、クソゲー三昧と言う事実を知るからか。

 まだやっている事や、変な鶏が特賞のガチャへ対してツッコミを入れる。


「で、もう一つの報酬は情報」


「情報?」


「人喰いの金髪妖怪、桔梗が生きてるそうよ。情報源は貴方を助けた狐から」


 二つ目の報酬は情報。

 だが自身が求める情報でなければ、報酬としては魅力は全く無い。ジト目で見つつそう思っていたら──

 ド直球で欲しかった情報を言われ、思わず二度見し、もっと詳しく教えて欲しい。そんな気持ちが体に出たからか。

 ベッドから身を乗り出して右手を伸ばすも、まだ思う様に体が動けない事もあり、床へ倒れ込む。


「どうやら彼女、貴方が自分を覚えているか試したみたいね。だから狐に自分の名前を名乗らせた様よ」


「私も……電子機器に潜り込んでた時、男の人が桔梗、って呼んでたの……聞いた事、ある」


「…………」


 二人の会話から、足りない頭で推測する。

 神獣と名乗る狐が自分の知る人喰い妖怪、桔梗と会ったのはいつ頃か? 答えとしては、少なくともアバドンと遭遇する前。

 何故そんな試す様な事を? と言う疑問は浮かんだものの、一番気になったのは──桔梗と一緒に行動していたであろう人物。

 彼女を騙しているんじゃなかろうか、まさか四天王が率いる配下の誰かでは? 疑問と不安が心の中を渦巻いていた。


「ま、彼女達を飛ばしたの……私だけど」


「お前が原因かぁ! お陰で次元に穴が空いたわ、仲間が次元に飲まれて遭難してんだぞ!」


 嬉しくも不安な悩みに頭を悩ませる最中、自らが原因で貴紀が仲間と離れ離れになったと罪を告白。

 それを聞き、腹筋と背筋だけで倒れ込んだ上半身を起こし、文句を言うが原因となる本人はそっぽを向いて聞きやしない。


「少なくとも全員無事。後は貴方が此処で行うべき事を全てやって、迎えに行けば良いだけ」


「まあ、そうなんだけどさぁ……」


「衛生兵ー!!」


 幾ら文句を言っても結局は家族や仲間を助けて貰っており。

 言い返される言葉も正論過ぎて言い返せず、腹筋と背筋が限界に来て再び床へ倒れ込む。

 それに反応してか、鶏が何処にもいない衛生兵を大声で呼ぶ始末。


「黒いパワードスーツは私達からのプレゼントよ。ま、コレも追加で」


 悪魔達との戦いに着込んで行ったパワードスーツは、寧が改修したモノと思っていたが。

 まさかの、副王達から贈られた品物。白い説明書を投げ渡し、閉じていたバックルも開き、中には青く光る球体ランプがあった。


「拾った道具やあげた力は、何時も通り自力で使い方を学びなさい。それが、人間なんでしょう?」


 言いたい事を言い、報酬を支払うと瞬きする一瞬で姿を消し、手元に残ったのは──変な鶏だけ。

 貴紀は当たり前な事を心配そうに思う。「この鶏……使い道があるのだろうか?」と。


「少し状況をかき回されたが……マキ。君から貰う報酬に就いてなんだが」


「う、うん……」


「自分達のチームに入ってくれないかな?」


 言い出された報酬は、自分をスカウトする事だった。

 どれ程高額な報酬金額を言い渡されるのか。と思っていた為、予想外過ぎる言葉に鳩が豆鉄砲を食ったような顔で思考停止。


「あぁ~……意識が飛んじゃってるよ」


「なあ、鶏よ。マキを起こしてくれないか?」


「海軍の支援を要請する!」


「此処に海軍はいねぇよ」


 眼前で寧が手を振るも、反応が無く意識もない。

 丁度まだ朝の時間帯。

 人語を喋る鶏へ鳴いて起こして欲しいと頼めば、何故か存在しない海軍へ支援を要請する始末。

 

「ハッ……えぇっと、私をスカウト、したいんだよね?」


「うん。私達はあの悪魔達みたいなのを倒さなきゃ駄目なんだけどね?」


「生憎、以前の力が出せなくてな。今はパワードスーツと寧のサポートだけが生命線。少しでも協力者が欲しいんだ」


 意識が戻ったマキは現状把握も含め、もう一度自身が支払う報酬が何かを再確認。

 二人から軽く事情と説明を聞き、俯いて少し考えて話しを纏め終わってから、顔をあげた。


「うん。私で良ければ、力を貸すよ」


「やったぁ! あ、勿論給金も出るから安心してね」


 機械に強いマキが仲間に加わり、喜ぶ寧はあれやこれやとチーム内情報を話したり、家の中を案内して回る。


「やっぱり……魔力を使い過ぎたか。このまま眠ったら、魔力が全回復……するまで、意識が、眠りに……」


 腕を使いベッドへ戻り寝転ぶ。

 また襲い来る睡魔。しかしそれは魔力を使い過ぎた事が原因で、今眠ると覚醒した意識と記憶が眠りに着く。

 そう理解していても睡魔には敵わず、重い目蓋は閉じて深い眠りに着いてしまう。悪魔達と戦った出来事全てを道連れに……





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