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閑話「がーるずとーく」 12

 千葉県の田舎にある千葉県立北総高等学校通称北高。


 その敷地の端にポツンと建つ古い木造校舎の一室では、この部屋を部室として占拠している関係者たちが男らしさの欠片もないことにかけては唯一無二の存在であるその男子部員のぶざまな姿に嘲笑を浴びせながらとりとめのない会話を楽しんでいた。


 それはまったく中身のないものである。


 しかし、彼女たちのことをよく知るすべての北高関係者は口を揃えてこう言う。


「部活動がおしゃべりをしているだけ?結構なことではないか。彼女たちがお菓子を食べて雑談しているだけで済むなら我々にとってこれほど幸せなことはない」


 彼女たちが属する組織。


 その組織こそ悪名高き創作料理研究会であり、それを統べるのが小野寺麻里奈なのである。


 さて、今回は……。


「この変態」


「○%×$☆♭♯▲!※○%×$☆♭♯▲!※」


「まったく貴様はどこまで変態なのだ」


「いいがかりだ、濡れ衣だ、えん罪だ。これぞ捏造案件○%×$☆♭♯▲!※」


「捏造とは貴様の存在そのものを言うのだ。変質者」


「○%×$☆♭♯▲!※」


 その日、麻里奈、博子、まみが部室である第二調理実習室の前までやってくると、いつものように言い争う男女の声が聞こえた。


「またやっていますね。恭平君とハルピ」


「それにしても今日は早いですね。橘さんが春香さんの気に入らない余計なひとことでも言ったのでしょうか?」


「まあ、春香の場合は気に入らないかどうかなど関係なく時間があれば恭平をお仕置きしているけどね」


「哀れな恭平君です」


 恭平が春香に厳しいお仕置きをされている原因は三人が部室に入るとすぐに判明する。


「ふ~。まったくひどい目に遭った。先生も北高の教師ならこの惨劇をぼんやり眺めていないで、こいつの理不尽な校内暴力からかわいい生徒を救う義務があるでしょう」


「それは別料金になります。もちろん前払い」


「くそっ。まったくひどい教師だ」


「おい、橘。他人のことより自分がおこなった変態行為を反省しろ。そして、死ね」


「俺はやましいことなど何ひとつしていない」


「やましいことはしていない?どうやら、貴様は私のスカートの中を覗き見したという裁判なしで即死刑に処されるような変態行為をおこないながらまったく反省していないようだな」


「○%×$☆♭♯▲!※。そんなに見られたくなかったら、まずスカートを長くしろ。それから言っておくが見たくて見たわけでないぞ。というか、見たくないものを見せられた俺こそが被害○%×$☆♭♯▲!※」


「無礼者。覗き魔である貴様ごときの指図は受けない。しかも、どうやったら覗き魔である貴様が被害者になるのだ」


「○%×$☆♭♯▲!※」


「恭平、春香のパンツを見たの?相変わらずいい趣味しているね」


「でも、まりんさん。同じ覗きでも対象が小学生のパンツから高校生のパンツに進化しています。これは驚きの事実です。どうやら恭平君は二階級特進を果たしたようです」


「たしかにそのとおりだ。恭平、褒めてやろう」


「ふざけるな。それに何度も言うが見たのでない。見せられた○%×$☆♭♯▲!※」


「貴様、言うに事欠いてそのような戯言を。今日という今日はセクハラ行為をおこなうためだけにこの世に存在している貴様の腐った性根を叩き直してやる」


「○%×$☆♭♯▲!※」


「でも、スカートの長さに関しては私も橘君と同意見だよ。春香のスカートは短すぎるでしょう。春香は何でそんなに短いスカートなの?それでは春香が自分にパンツを見せたいと橘君が思っても仕方がないと思うよ。ねえ、春香。あなた、実は橘君にパンツを見せたいのでしょう」


「アハハ。きっとそうだよ」


「いいですね。その新解釈」


「冗談ではない。なぜ私がこの変質者にそのようなサービスをしなければならないのだ」


「○%×$☆♭♯▲!※○%×$☆♭♯▲!※。おい、言ったのは先生で同調したのは麻里奈とヒロリンだろう。なぜ何も言っていない俺が理不尽な暴力を受けなければならないのだ」


「おっと、ちょっとした手違いだ。だが、それはおまえという存在がこの世界にあるからこうなったのだから、結果的にはまちがっていないと言える。それに、おまえにとってこれはご褒美だろう。もったいぶらずに『ご褒美ありがとうございました』と土下座して泣きながら感謝の言葉を述べたらどうだ」


「ふざけるな」


「それで春香はなぜそんなにスカートを短くしているの?」


「この方が涼しいということもあるが、何よりも動きやすい。それに、スカートが足にまとわりつくこの感じがどうも気持ちが悪い。だからスカートは短ければ短いほうがよいのだが、ひとつだけ問題がある」


「何?」


「もちろん、こいつの存在だ」


「○%×$☆♭♯▲!※」

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