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ぐらとぐら  作者: シクル
23/52

第23話「メモリーオブロボPart2」

妙に美しい少女だった。

さらさらした美しい白髪。

これでもかと言うほどに白く美しい肌。

どこか人間離れしたものも感じた。

「このが…?」

俺が田原に問うと、田原は照れながらコクリとうなずいた。

なるほど。

確かにかわいい。

こんな娘に会えるのなら雨も好きになれるだろう…。

それにしてもさっきから感じる違和感は何だろう……。

妙な感じだ。

この娘、無機質な感じがする。

「…どうかしました?」

少女が不意に俺の顔を覗き込む。

「い、いや、何でもない」

「兄さんはね。今君をどうやって犯してやろうかと考えていたところなんだ」

「羅門、後でお兄ちゃんとお外で遊ぼうか」

とりあえず今は軽く一発叩いておく。

「そういえば、名前は?」

羅門が俺に叩かれた頭を痛そうに押さえながら問う。

「ロボ子」

「……なんて?」

迷わず即答する田原。

その答えに違和感を感じた俺はあえて聞き返す。

「だから、ロボ子。彼女、ロボットだから」

「ロボット……?」

「はい」

戸惑う俺に彼女、ロボ子は微笑んだ。

これで初めて見た時の違和感の原因がわかった。

あの無機質な感じ……。

彼女がロボットだと言うのなら納得出来る。

「まさかとは思うが、田原が造ったのか?」

俺が恐る恐る尋ねると、流石にそれは違うらしく、田原は首を振った。

まあこんな普通の高校生にそこまでの科学力があってもおかしいしな。

「ロボ子はね。雨の日に倒れていたんだ」

「倒れていた?」

「それは兄さんが鬼畜なまでにレイ……」

無性に腹が立ったのと発言が危なかったので羅門の腹部を強めに殴る。

「僕が中学の時なんだけど…。帰り道に目の部分が壊れた状態で倒れてて……」

それで包帯を巻いているのか…。

「あちこち壊れてる部分があったからそこは僕が直したんだ。流石に目の修復までは出来なかったけど……」

目の修復までは出来なかったものの、他の部分を修復出来るくらいの技術は田原も持っているようだ。

「親とかは何も言わないのか?」

「うん…。ほとんど帰らないから…。いる時は隠れてるし…」

田原の表情が少しだけ曇る。

ロボ子がいるとは言え、親と交流出来ないのは寂しいのだろう。



その後俺達は適当に談笑し、程よい時間で帰宅することにした。

最初は戸惑ったが話してみるとロボ子も普通の人間と同じように喋り、考えるらしく、いつの間にか違和感なく会話していた。

かなり高機能なAIのようだ。

現代の科学でここまでのことが出来ることにも驚いたが、やはり一番驚いたのはそんな彼女が道端で倒れていたということだ。

ロボ子自身も田原と出会う前の記憶は飛んでいるらしいので詳しいことはわからなかった。

が、本人達は幸せそうなのでわざわざ救命する必要も、首を突っ込む必要もないだろう。

何か起きそうな気もするが………

そんなことを考えながら風呂に浸かっていると、不意に羅門が入って来る。

無論、全裸だが。

「兄さん兄さん」

「なんだ?」

「背中流しっこしようよ」

「……もう洗ったんだが」

「もう一回洗おうよ」

面倒なのでつまみ出した。

羅門をつまみ出してから数分浸かり、風呂を上がると羅門が全裸で待機していた。

「ラショウー、ラショウー」

全裸で絶叫すんな。

っつか時事ネタやめろ。



事が起こったのは俺達がロボ子と会ってから数日後だった。

特に用事もない休日。

俺と羅門が適当なテレビゲームをしている最中だった。

ピンポーン

不意にインターホンが鳴り響く。

「お、客だ」

「喰らえッ!!エターナルエクスタシーファイナルクエストファイティングドラゴンファンタジーエクシードギルスディバイドォォォッッ!!!」

「こら、ポーズ画面に戻せ!それとそんな長ったるい技名はそのゲームにはないぞ」

俺は急いでゲームをポーズ画面に切り替えると、すぐに玄関へ向かった。

ドアを開けると、そこにいたのは田原であった。

「おう、田原か。どうした?」

遊びにでも来たのかと思ったがそうでもなさそうだ。

走って来たらしく、肩で息をしている。

「神宮君……!」

非常に焦っているようだ。

「落ち着け。一体どうしたんだ?」

「…すけて」

「…え?」

「助けて下さい!!」

「え!?」

思いもよらない言葉に多少動揺してしまう。

「お前、追われてるのか?」

「僕じゃないんです…!!」

とするとじゃあ……

「ロボ子が、ロボ子がいないんです!!!」

何か、起きてしまった。



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